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「銀河騎士隆盛記 零」オッサン銀河騎士は太古の地球に不時着し、縄文文明期の古代剣法を習得し、その剣、五次元の域に達する。  作者: ジム・プリマス


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銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+コッポ弟子連+ボーア編)56~57 譲り刃を醸せ


譲り刃を醸せ


56

 カンデンが目にしたアシナシ様が記録したコムロのタチの舞の中でも、異彩いさいを放つ舞いの型があった。


 下段に構えたタチを右肩の側に引きながら、ゆっくり右肩で立ち上げ、右の肩の上で倒して、抱える。続けてつかから左手を離して、その手をゆっくりと前に突き出し、手のひらを正面にさらす。


 同時に右肩に抱えたタチを背中側に回す。さらした左手をゆっくりと戻し、同時に背中に回したタチのつかを正面に戻しながら、左手でつかを握り戻し、右肩から正面に振り上げ、そこで最速の速度で振り下ろすという型だ。


 ヤシキの外に出て、その技のことをボーア老師に説明しながら、皆の前で、樫のトーウで実演して見せると、ボーア老師は「それは『ゆづ』という技じゃな。相手の油断を誘う技だと口伝が残っておる。難しい技じゃ。」と語り始めた。


「まず、左手を意味なく突き出し晒すのではない、そうすることで相手のタチの『見切り』を葉一重の際まで突き詰めて、相手の間合いの際に詰めるのが極意の一つ。すべの動きを途切れなく、いわおしたたる水のように緩やかに動くことが極意の二つ。打ち込みの刹那せつなの雷光のごとき迅速じんそくな出足。これが極意の三つじゃ。理屈を説明することは容易いが、体得するには、たいそう骨の折れる、柔と剛を兼ね備えた大技じゃな。」


 あっぱれという顔をして「流石さすがはカンデン。見逃さぬなあ。」と言ってボーア老師は胸の内で唸った。この異界から来た弟子は、果たして、ただものではなかった。


57

 この談義の間、カンデンとボーア老師の言葉の仲立ちをしていたのは、当然のことだが、PE57Qである。突き詰めて言えば、カンデンとキンタが話す銀河標準語は、簡潔で理論的な言語だ。その分、現実的だが冷たい。  


 それに対してサンマナの民が話す言語は表現が豊かで、そこには自然の姿を模した言葉があり、季節を表す言葉があり、複雑だが、優しい音を発する、情緒じょうちょ、豊かな言語だ。この言葉の相違をうめるのはとても苦労する。しかしそれはPE57Qにとって楽しい時間だ。


 PE57Qはこのサンマナに来てから自由思考する時間が、長くなっていることを不思議だなとまた自由思考していた。


「カンデンよこの技を体得したいか?」ボーア老師はカンデンに問うた。カンデンは慇懃いんぎんに「是非ぜひ、我がものにしたいです。」と答えた。


「この技を無限に繰り返すのじゃ。そして、この技をかもすのじゃ、それしかない。」カンデンにそう言いながら、ボーア老師は胸の内で、この男ならいつの日かこの技の極意を体得するかも知れぬと思った。ふところの深さが図り知れぬのだ。この男がワシの前に現れたのは、決して偶然などではない。その想いが、日にひに強くなるボーア老師であった。


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