銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+コッポ弟子連+ボーア編)50~51 コムロの神憑り
コムロの神憑り
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コムロは朝霧にまばらに差す木漏れ日を受けながら、自然の波に合わせるように自由闊達に、風と一体になって優雅に舞っていた。タチを振り降ろし、振り上げ、構え、同じような動きを繰り返すのかと思えば、緩急をつけながら、それは流れる水のように変化した。
カンデンはその姿を目で追う。アシナシ様に録画を残すようにいうのを忘れていたほどだ。キンタは息を殺して夢中で見入っている。
カンデンは観察しているうちに、変化がないことが一つだけあることに気づいた。コムロの両足が地から離れることはなかった。すべての動きをこなしながら、コムロの足さばきは、変わることなくすべて摺り足ということだった。
カンデンとキンタとボーア老師はコムロのヤシキの側の林に、水入りの瓢箪だけを持って、早朝から夕刻まで四日間、通い詰めた。
コムロが神憑って三日目に通い始めたから、コムロは七日の間、神憑っていたことになる。
三人が八日目の朝に、いつもの林に来ると、そこにコムロの姿は無かった。
コムロのヨナ(嫁)を気遣って、カンデンとキンタはそのまま自分たちのヤシキに戻り。コムロのヤシキをボーア老師がひとり立ち寄り、ヨナ(嫁)にヤシキの外から声をかけるとヨナ(嫁)はもう起きていた。
ボーア老師がコムロの様子を聞くと、ヨナ(嫁)は静かに眠っているという。その日はボーア老師もそのまま引き上げたそうだ。
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次の日、コムロのヤシキを朝餉が終わるころにボーア老師が訪ねると、コムロはもう起きてヨナ(嫁)と朝餉を済ませて、くつろいでいる処だった。
カンデンが後から聞いたところによると、師から声をかけられて、コムロは何事もなかったのようにボーア老師に「先生、おはようございます。私になにか御用でしょうか?」と問うたという。
拍子抜けしたボーア老師はこの七日のことを覚えてないのかと聞くと、コムロは神憑りの間、自分の前に、白い衣を着た武人が現れたということを淡々と語り始めた。
黒い瞳で、黒い髪をまとめて後ろで縛り、手には朝日の光のような色の光輝く、抜き身のタチを持ち、口髭と顎髭が生えていたという。
その武人は言葉は一切、語らず、身振り手振りで、コムロを誘ったが、コムロには武人の言わんとすることは、手に取るように理解することが出来たという。
武人はタチを手に、一度、舞って見せて、自分の真似をするようにコムロを促した。
神憑っている間、一度、雨が振ったことがあったが、武人の髪も衣も一切、濡れなかったという。
武人と一緒にタチを振るうことに何の疑いも感じなかったのが、今にして思えば不思議だったとコムロは語った。




