銀河騎士隆盛記 零 地の章(PE57QとYWC2+カズイ編)41~42 タチの切れ味と道具
タチの切れ味と道具
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カズイとしては自分で仕上げたつもりのタチを、アシナシ様が研ぎなおしてしまったことに不本意な思いがあったことは確かだ、だが、カネノカタが、刃先を上にして手に持ったタチに、持参した大きな葉蘭の葉を落として見せた時、彼は納得した。
カネノカタの手からフワリと落ちた葉蘭の葉は、タチの刃の上に落ちた時、ヒラリと二つに分かれた。タチの鋭利な刃は自重で落ちた葉蘭の葉を二つに切ってしまったのだった。
それからカズイにカネノカタが渡してくれたものに彼は感嘆した。それはカネノカタとアシナシ様がカズイの為に用意した様々な道具類だった。
アルミというカネで出来た二つ折りのテーブル。それに手元を照らすためのテーブルライト。
切りだしの為の大小のナイフが三種類。木材に彫刻をするための彫刻刀、三角刀、平刀、球溝刀、直角溝等の大小が三種類。木材に交互に、三角溝を掘る為のチェッカリング刀。
ハサミという薄いものを切断するための道具。柄に目釘を打ち込むための樹脂の取っ手がついたハンマー。
漆を塗るための刷毛というものが三種類。柄のグリップを止めるためのネジと、六角形のレンチというものが一本。ネジ用の溝穴を開けるための、専用のドリルリーマという道具が一つ。
木と木をくっつけるためのボンドというチューブというものに入ったニカワ。ヤスリという木材とカネを削る為の、黒いカネの棒が大小合わせて十数本。
ノコギリという木を切るための道具が二本。木に溝を掘るためのノミという道具が数本と、それを使うときに必要な樹脂ハンマーが大小二本。木を割るためのナタという道具が大小、二本。
これらは一週間の間に砂鉄からアシナシ様が複製し、カネノカタが組み立てたという。
道具の持ち手てや、鉄以外の部分は合成樹脂原料でできている。ハサミやテーブルなどはカンデン一行がブルーノーズ号から持ってきたものだ。
カネノカタが一つひとつ、使い方を説明してくれるのを聞きながらカズイは、今まで感じたことのない、自分の為の道具をもらえるという喜びを感じていた。
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カネノカタと族長のダイとボーア老師の三人は、タチを仕上げるツクリチィを選ぶにあたって色々と話し合いをした結果。ボーア老師のタチに関する伝承を再現するのには、カズイが良いと、ダイが太鼓判を押したのだ。そんなことを知らないカズイは、族長のダイにタチを扱わせてくれるように頼み込んだという訳だ。
カズイより器用なツクリチィは何人かいるが、何より、誰よりも熱心に仕事をする彼が選ばれたということだ。
ボーア老師はカズイとアシナシ様にタチの関する伝承について、幾日にもわたって自分のヤシキで、長々と話をして聞かせることになった。
柄のグリップや鞘には、よく乾かした朴の木が良いとか、柄のグリップにはエイの皮を使うと良いとか、鞘の外側には漆を重ね塗りするのが良いとか、そういう細かなことまでだ。
カズイはタテグチィから食糧庫の中に残してあった、古い朴の木の幹を一本もらって、早速、柄のグリップや鞘を作り始めた。




