銀河騎士隆盛記 零 天の章 59~60 カンデン一門の悟りとその波紋
カンデン一門の悟りとその波紋
59
その会議の議場では、カイゼル老師が率いる主流派の長老達が、カンデン一門のジンウ力の増大という事態を、無視しようとする論調を強要しようとゴリ押ししたが、ズーカイルを含む三名の長老が強固に、その論調に立ち塞がった。
彼らにはジンウ長老会の真の権威は、ジンウ力の維持と継承にあることを、本当に理解している現実主義者としての矜持があった。
惑星アスラという別世界に伝承されたコッポという武術に、ジンウ力を増大させる秘密があるのなら、彼らはそれを学ぶべきだと考えていたし、それをカンデンが継承しているのなら、彼を正式な導師として、ジンウ長老会に迎えるべきだと主張したのである。
この提案をカイゼル老師、率いる主流派の長老たちは、どうしても受けれることは出来ないとして、会議は紛糾した。
かれらにしてみれば、自分たち長老が、導師として迎えるカンデンの風下に、一時でも立つということは、すべての権威の失墜を意味することだからである。
結局、その会議では結論は出ず、ズーカイル老師が発案した暫定案が、とりあえずの結論として、採用された。
それはカンデン一門の修行の実情を、ズーカイル老師が聞き取り調査をして、それをジンウ長老会に持ち帰って、再度、検討するという、言わば、ただの結論の先延ばしに過ぎない案であった。
ツバクラメの伝授
60
カンデン一門は、ブルーノ―ズ号監査問題の陰に、そんな裏事情があることなど、露ほどもも知らないまま、修行に邁進する日々を送っていた。
カンデンはキンタに「ツバクラメ」をベルセラに授けることについて、どう考えるか尋ねた。それに対するキンタの答えは明解だった。
「先生。ベルセラは正式な銀河騎士だし、一日に一万回以上の素振りをこなして、風切り音も発するほど、修行も深まっているのなら『ツバクラメ』の技の鍛錬を始めても、問題はないと僕は思います。」とあっさりと答えた。
「ツバクラメ」の創始者のキンタがそういうなら、問題はないだろうと考えたカンデンは、正式にキンタに、ベルセラに対する「ツバクラメ」の指導をするように伝えると、キンタは「私が指導して良いのですか?」と聞いてきた。カンデンは「お前が編み出した技なのだから、お前が技を伝授するのが筋というものだ。」と答えた。
キンタとしては正式な銀河騎士として、認められていない自分が、正式な銀河騎士であるベルセラに技
をつたえても良いのかという思いがあるようだ。
カンデンとしては、コッポを伝承する一門として、実力主義で競い合う姿こそが正しいと考えており、騎士としての身分で、修行に手心を加えるつもりはなかった。




