結婚は今すぐに‼
「俺の恩人が、また一人増えたな」
「駄目よ。そんな言葉をお兄様に聞かせたら、調子に乗るからやめておいた方がいいからね」
「そうだろうか?」と不思議がる彼が、真剣な顔になる。
「エメリーにお願いがあるのだが」
「何かしら。聞けることと聞けないことがあるわね」
「俺たち結婚しよう」
「ふふっ、それなら、喜んで受けるわ」
そう答えたものの、ラングラン公爵家にはアリアという、超絶めんどうなブラコンの妹がいるのを思い出したため、一つ確認する。
「ちなみに結婚はいつ頃を考えているのかしら」
「明日でも!」
彼が胸を張って言った。
「はぁ? 婚約期間五年で始まったのに、どうして結婚が明日になるのよ。いつも極端すぎるわ」
「俺は長年待ったからな、もう待てない」
またしても真面目な口調である。
ふざけているわけではないのだろう。
だが、それを理解しつつも、同意し兼ねる私もキリリとした態度で告げた。
「いくら何でも明日は早すぎるわ。それなら結婚式があとになるじゃない。私の理想は──」
「理想は?」
「結婚式と入籍は一緒の日がいいもの」
この要望では、さすがに明日は無理だろうと思ったが、にっこりと笑うレオナールがさらに上をいく。
「すでにウェディングドレスは用意してあるから、結婚式だけなら明日にでも挙げられるから、問題はないな」
「は⁉︎ いつから用意しているのよ……それ……」
「デザインなら問題ないぞ。毎年新しいのに買い替えているから、今流行のマーメイドドレスだし、時代遅れと馬鹿にされることはないけど」
「問題はそれじゃないから!」
「変だな、何が問題だと言うんだ? 今すぐ結婚したいという話は、両家の両親も賛成しているから気にしなくて良いんだぞ。明日から俺の部屋で一緒に過ごそう」
にっこり笑って恐ろしいことを口にする。
さすがにまだ、ラングラン公爵家で暮らす気にはなれない。
口が達者なアリアが何を考えているのか恐怖でしかないのだ。ラングラン公爵家の屋敷での暮らしは、気が重い。
毎日小姑にいびられる生活を強いられるのは、当面先まで勘弁願う。
となればせめて、彼女の婚約が決まってから嫁ぎたいと目標を定め、攻防する。
「私の理想の結婚式をレオナールが準備してくれるまで駄目よ」
「エメリーの理想の結婚式かぁ──」
宙を見上げるレオナールが、幸せそうな顔をする。
困ったな。レオナールってばこれから張り切り出しそうだけど、理想の結婚式なんて追及されても、ちっとも分からないわよ……。
はっきり言って理想の結婚式など存在しないんだもの。
白いウェディングドレスを着て教会で誓いを立てる以外、他に何があるかしらと考えている次元の私だ。憧れるシチュエーションなんて一つもない。
だけど、和解できないアリアとの同居を避けるべく、これから思いつく限り、理想の結婚式を並べ立てていこうと、こちらは鼻息を荒くする。
動揺した私は、すぐに結婚しようと言った、彼のもう一つの理由は、ちっとも気づいていなかった──。
そんな私は、記憶が戻ったと打ち明けたにもかかわらず、悪女への挑戦をこの先も続けるのであった──。
お読みいただきありがとうございます!
ここで、第一部完結となります!
お付き合いくださりありがとうございますᐡ ̳ᴗ ̫ ᴗ ̳ᐡ♡
皆さまにお願いがありまして……<(_ _)>
ここまでの読了の証に、⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎ ⭐︎を★★★★★に変えてくださると、やる気みなぎらせ、この先もバシバシ書ける気がします⸝⸝o̴̶̷᷄ ·̭ o̴̶̷̥᷅⸝⸝♡
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記憶喪失モノは、自身2作目です。
もしも、『ないない尽くしの聖女』を読んでいなければ、そちらもよろしくお願いします<(_ _)>
そっちは記憶を奪われた作品です.ᐟ.ᐟ.ᐟ
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記憶と魔力を婚約者に奪われた「ないない尽くしの聖女」は、ワケあり王子様のお気に入り~王族とは知らずにそばにいた彼から、なぜか溺愛されています!
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最近、なろうさんの仕様が変わり、以前と違って他の作品への誤投稿は、犯さない気はしておりますが、これまでも、幕を閉じる度に完結チェックを入れていたので、同じくしておきます。
(以前は投稿エピソードをバァーッと保存して、投稿作品を選ぶ仕様でしたので、同時連載中は、やらかしかけた作者です……はい)
改めまして、皆さまとの再会を願い、第一部完結。




