3話 ダンジョン周辺の調査
翌日。
目を覚ました俺は、布団一式をストレージにしまってからダンジョンポイントを使用して朝食をカタログから選んで取り出した。
選んだのは朝食の定番のひとつであろう食パンとベーコンそしてハムエッグである。
そして、まだ早いが御八つ用のお菓子も取り出してストレージの中にしまう。
朝食に選んだ分のそれらを食べながら、そろそろダンジョンポイントを確保していかなくちゃなといけないとおもった。
一応まだ、3000ポイント近くあるがこのまま生活で消えていくのはさすがに困る。
このダンジョンポイントは地球でいうお金のようなものなので当然無くなれば何もできなくなるのでポイントを稼がなくてはならない。
そのダンジョンポイントの獲得方法もいくつかある。
・ダンジョン内に、自身が出現させた配下ではない侵入者がいる状態である(強さによって獲得できるダンジョンポイントも上昇する)。
・ダンジョン内で死骸や糧となる何かを吸収する(その吸収した物によって獲得できるダンジョンポイントも上昇する)。
・自然回復(ダンジョンの範囲によって変化する)
以上の通りどうしてもダンジョンポイントは侵入者頼りになってしまう。
殺して死骸を吸収させればいいだろう?と思うだろうがそれがそうともいかないのだ。
なぜなら、死骸は一度きりだが生きていれば長期間いるわけだし出て行ってもまた来る可能性があるためなるべかくならば生かしておいた方が良いし貰えるポイントも多くなるのだ。
まあ、それが弱肉強食というものか。ダンジョンもまた、生物だしな。そのくびきを逃れることは出来ないのだろう。
その他には自然回復という方法もあるにはあるが、これはほとんど意味が無い。
なぜなら、四時間に1ダンジョンポイントしか回復しないから今後はそれでもありがたいと思うことはあるだろうが今はあまり当てにならない。
そして、早いところダンジョンとしての体裁を整える必要があるのだが、そのためにはダンジョンや魔王がどういう存在でどういう認識をされているのかを知る必要がある。
次は、地理か。それを早いこと知る必要がある。
これはあれだ、需要を知らなければ供給は生まれないというやつだ。
「さてと……」
朝食を食べ終わり手のパン屑を払って、視線を扉の方へと向ける。
とりあえず今は、この部屋の外に出て部屋の外を確認しなければ何も出来ないし、このまま引きこもったままだと引きこもりの臆病魔王とか言われそうなのでその不名誉だけは避けたいのでそういう意味でも外に出ることにした。俺は断じて引きこもりではないからな!
外がどのようになっているというのが恐怖よりも興味の方若干強いという感じだが……とりあえず外に出ないことには何も始まらない。
ワクワクとしながら扉を開いてみると……。
「洞窟の中だったのか?」
ダンジョンと一括りに言ってもいくつか種類があり、海の中にある海中ダンジョン、山全体がダンジョンとなっている山ダンジョン、街中にある街中ダンジョン、そして洞窟内がダンジョンとなっている洞窟ダンジョンという風にダンジョンにも種類があるのだ。
このダンジョンはそのひとつである洞窟ダンジョンだと思う。
かなりの大きさのサイズの水晶のようなよくわからない鉱石がそこらじゅうの壁に埋まっている。
そして洞窟天井部の小さな裂け目から差し込む光を反射して、周囲をほんのりと照らしている。
少し窪んだ場所には水が溜まっており、不純物が少ないのかかなり純水のよいに透明で奥まで透き通っている。
かなり幻想的な光景である。
地球だったら世界絶景10選に選ばれてそうなほどのものである。
まだダンジョン領域はあの玉座の間だけなので、この洞窟はダンジョンによって造られたものではなく自然物なのだろう。
周囲に別の生物がいないことを確認してから俺は、少し先に見える洞窟の入口らしい場所から差し込む陽光を目指して、歩み始める。
歩く度に俺の足音が聞こえてくる。
洞窟内というのもありかなりひんやりとしていて、夏場はかなり良いところだろうが今はまだ少し寒いと感じる。
やがて、入口まで辿り着いた俺の視界が一気に開けると、俺の目に映った光景は、一面を埋め尽くすほどの緑の大森林。どこまでも続いている大河。
そして、どこまでも広がる地平線と、雲を突き抜けて、見る者全てを圧倒するような広大な山脈。
その他にも滝が空から大地へと降り注ぎ、虹が掛かっている。
「これは、すごいな……」
俺はそのあまりにも美しい光景に思わず目頭が熱くなった。
それほどそこに広がっていたのは、神秘的なまでに壮大な、世界の姿だった。
まぁ、俺も人間をやめて翼なんかが生えてるし、こんな空を飛べるようになったらさぞかし気持ちいいんだろうな。
ん?その肝心な翼はどこかって?
答えは、しまってあるのさ。
なんでしまったかっていうと、寝る時に寝返りをすることが出来なくてあまりにも邪魔に感じてしまい、どうにか出来ないかと思った末に色々と試していたらなんとかしまうことが出来たのだ。
この翼は体の一部というわけではなく、魔力によって構成されているため、任意で出したり消したり出来るみたいだったので、それ以来消しっぱなしにしているのだ。
って、危ない危ない。この景色のせいで本来の目的である地理確認を完全に忘れるところだった。
それから周囲を調べてわかったことはまず、俺のいるダンジョンは切り立った崖で人里が一切見当たらないほど山の深いところにあることがわかった。
とりあえず上の方に行こうかと思ったが通れなさそうなところが多く、どこか登れそうなところがないかと探しながら山道という名の獣道を進んで行った。
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