俺、仕事を探す。
しばらくお茶をしながらレナと話をし、今の状況を整理している間に俺たちは大きな問題に直面していた。
「つまり、俺たちが急に現れたからお金が足りないんだな?」
レナはずっと、この町の3階建ての家で一人暮らしをしていてらしい。だから、俺たちが来てしまうと食料や日常用品のお金が足りなくなってしまうらしいのだ。
「どうしたら、いいんでしょうか…」
ヘレナ達はそういって考え込んでしまった。すると、レナが、思いついたように言った。
「魔物を狩って来て、お金をもらうのは?」
「「嫌です」」
「武器を鋳造して売り出すのは?」
「「無理です」」
「坑道での作業員を募集中らしいですよ!」
「「絶対に嫌です!」」
なんで、こうにもレナが出すものはハードなのが多いのだろうか……
すると、悩んでいた俺にひとつのアイディアが浮かんだ。
「ここを書店にするのはどうだ?」
「え、書店……ですか?」
レナが聞き返してくる。
「ここにある本を売り出すんだ。そうすれば、みんなは本が読めてハッピー、ここは片付いて、レナはお金に困らなくて済む。みんなハッピーだろ?」
すると、レナは急に明るい顔になって。
「それはいいですね!そうしましょう。ちょうど場所にも困ってましたし、これ以上本が増えても狭いですしね。」
俺らはこうしてお金の問題を解決し、みんなで本の整理をすることにした。
「『アクア諸島ーアンジェノワーゼ著』……『恋愛と魔物ーミシュマ編ー』……色んな本があるんだな」
俺がそう呟くと、ヘレナが耳打ちしてきた。
「アサギリさん、どうやってこの本を読んでるんですか?」
「え、読んでるって……普通に読んでるだけだけど」
「私、全く理解できない言語なんですけど……」
俺はそこで初めて自分がおかしい事に気がついた。確かに、表紙に書いてあることは理解出来る。しかし、書いてある言語は俺の知らない言語で、もし俺がこの言語を書くことになったら書けないだろう。
「なんで、俺読めてるんだろ……」
「ほんとです……意味わかんないからアサギリさん後は頼みます」
そう言うとヘレナは椅子に座ってくつろぎ始めた。どうやら全てを押し付けられたようだ。