訓練{1}
「楽しそうっすね。」
「ああ。妖精の村のときにも感じたがやはりみんなで集まることは大事だな。」
「そうっすね。ただ若干眩しいっす。」
大きく燃え上がる鍋の火を見ながらメランが答えた。
「ああ、あれだけ燃え上がっているんだそりゃ眩しいだろうよ。ただ、確かに俺達には眩しすぎるようだ。」
手で光を遮りながらアレッタは言った。
「星でも見るか。」
「そうっすね。」
今日の撤去作業の合間で見つけていた小高い丘に行って二人で星を見た。
世界から多くの光が消えたおかげで綺麗な星々が輝いている。
その光景に目を奪われたのか、しばらく二人は黙っていた。
「綺麗っすね。」
長き沈黙の後、先に口を開いたのはメランだった。
「そうだな。始まりの頃を思い出す。」
「始まり頃っすか?」
「ああ。幼馴染み4人と一緒に世界が変わった直後に星を見たんだ。これと同じくらい綺麗だった。」
「自分は見れなかったので見たかったっすね。」
「すまん。」
「いや、良いっすよ。」
「しかし、疑問なんだがお前クラスの強者がなんであんな奴に支配されていたんですか。」
「あのスキルの条件が所有者に絶望した場合、強制支配なんっすよね。母と妹が殺されたときに絶望したんでその時のことをスキルが認識して支配されたようっす。あれさえなければ一瞬で殺せたんすけどね。」
「だろうな。」
「でも助かったっすよ。あのままだったらそのうち死んでたっすからね。アレッタはなんで自分を連れてきたんっすか。」
「強いて言うなら直感かな。それと黒服の中では一番腕が立っていたのもそうだ。」
「手加減していたとはいえそうっすね。」
「あれで手加減というのがおかしい。」
「あのクソ男は支配しているものの力量をちゃんと図れてなかったのが敗因っす。あれなら遅かれ早かれ滅んでたっすね。」
「まぁ、確かにな。」
「そういえばあのくいとか言った男がマフィアを潰したそうっすね。」
「そうだな。圧勝だそうだ。」
「流石っすね。これでアレッタの計画には近づいたっすか?」
「ああ。これが終わったらいよいよ計画を開始するよ。」
「やっとっすか。」
「ああ。まだ掛かりそうな予感はしてるがな。」
「長くなりそうっす。」
「気長にやるさ。時間は十分すぎるほどある。」
「そうっすね。そういえば【魔石取扱人】は残り何人いるんっすか?」
「100人、初期の十分の一だ。いくらなんでも死に過ぎなような気がするな。汎用性でいえば一番強いスキルなのだが。」
「試練っす。アレッタも強い敵によく当たるっすよね。それと同じことが起きたとすれば不思議ではないっす。
「・・・なるほどな。しかし、その試練とやらには今は関係あるのかな。」
「わからないっすね。」
丘の麓にはいつの間にやら魔物が集まっていた。
しかし、その多くは雑兵。
【不完全なる図書館】
すでに準備を進めていたアレッタにとって試練とすら認識されないレベルであった。
すでに人類の強者の一角を担っている2人である、もはや半端な魔物は餌としか認識されていなかった。
魔石を取り出しながら友人の家へ帰っていった。
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