最高峰
村を離れ守りの中を馬で駆け抜けていった。
道中魔物に襲われることもあったが特になんともなく通り抜けることができた。
「後ちょっとで街に出るよ。」
「やっとか。」
「疲れたっす。」
このまま俺たちは街に出ると思われたが、そう上手くは行かないようだ。
「山賊か」
「どうする?」
「潰しておいたほうが安心っす。」
「そうだな。」
このまま走り抜けることもできたが、今後の安全と村人への手土産を兼ねて潰すことに決めた。
俺たちが馬を止めると、あたりから剣や手銃、弓などを持った人間が現れた。
「荷物全部おいて立ちさ…」
言い終わる前にメランが接近して殺してしまった。
【玄武】
愛用の弓を取り出しメランの近くにいる人間を片っ端から殺していく。
ヴィアも反対側で5人相手に暴れていた。
「こいつら強いぞ。」
「臆するな。初戦は3人、数で押しつぶせ。」
必死に指揮官が鼓舞するが目の前で人が殺されていく恐怖には抗えずに尻込みしてしまう。
「ヒィッ」
メランの足元にうずくまった山賊はいくらかマシだっただろう。
冷酷に見下ろしながら静かに殺していく。
痛みも感じずに死ぬことができたのだから。
一方ヴィアの方はひどい、ヴィアが悪いと言うよりスキルが悪いのだ。完全ランダムなせいで一撃で死なない人のほうが多い。
そのままアレッタの援護射撃で大体は死んでいくがたまに暴れるせいで避けてしまう時がある。
急所に入らずに永遠に苦しんでしまうのだった。
雑魚どもを他の二人に任せてアレッタは指揮官を朱雀で殺した。
「ボスはいるのか?」
「いないな。俺が指導者だ。」
「そうか。地獄でせいぜい反省することだ。」
指揮官を殺すと周りで戦っていた山賊も
「俺は人を殺したことがない。助けてくれ。」
指揮官の参謀だろうか必死に命乞いをしてきた。だが、
「嘘だな。お前から死臭がする。怨念がまとわりついているぞ。」
「ッチ、あいつそんな匂いをつけたのかよ。」
一瞬で本性を表した参謀は大鎌をアレッタに向けて斬りかかる。
「異端審問官13席。どこの誰だか知らんが計画を邪魔するものは殺す。」
怨念をまとわせながら幽霊のように切りかかってくる。
しかし、時すでに遅し。メランが背後に回り、背中に短剣を突き立てた。
「弱いっすね。」
「いや、お前が強いだけだろ。」
対人、少人数戦においてのスペシャリストがメランである。
マルコシアスのような化け物でもない限り魔物相手にも十分強いがやっぱりメランは人間相手の方が強いな。
「こっちも全員終わったよ。きれいに片付けて戦利品だけ持っていこうか。」
価値の有りそうなものや討伐の証拠になるものを奪い、後は遺体とともに埋葬した。
13席は服などももらっておいた。後々必要になるだろう。
スキルにものを入れてまた馬で出発した。
軽い運動になったので先程よりも調子はいい。
15分ほどで街に入った。ヴィアの友人の家に泊まらせてもらうことになっている。
ここは七つの大罪の悪魔の被害にはあっていないので比較的建物の倒壊はない。
ここから少し進めばモスクワに入るがそこにはよらずに直接、【魔女】のアジトに行くことになっているそうだ。
泊めて貰う代わりに瓦礫の撤去を手伝った。
ヴィアは空間の能力で転移させていたがそんな便利な能力を持たない俺達は身体能力強化によって驚異的に上がった力をもとに手伝うしかない。
正直、あそこの宿より、ヴィアの友人の家のほうが格段に寝やすかった。
朝方、友人の奥さんの飯を食べながら魔女などの人柄についてきいた。
「魔女様ですか。謎多き人物ですね、いい人には間違いありませんがなかなか会ったことがないので私からはなんとも言えません。」
「そうですか。まぁ、いい人とそこまで言えるならば信じることにしましょう。」
御飯のあとはまた撤去作業である。
特に死体などが出ることもなく淡々と作業が進められていく。
俺たちに任せられた場所が終わったときにはもう日が傾きかけていた。おそらくこの世界になってから一番淡々としていた日であろう。
夜になると近所の住民が集まって鍋などを作るそうだ、てっきり闇鍋かと思って身構えてしまったがそんなことはなかった。
ちゃんと全員がきっちりと食材を持参していた。
俺も【魔石取扱人】でお菓子などを出し、子供たちに配っていった。
こんな世界になっても子どもたちは元気である。
スキルで遊びながらお菓子をじゃんけんで取り合っていた。
負けまくって半べそになっている子には後で内緒であげることにしよう。
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