裏社会
やばい忘れるところだった
【三頭犬】は旧世界で言う、裏社会を纏めるためにアレッタから聞かされた人物に会いに行った。
「俺は戦闘は得意だが経営なんかはできねぇ。頼もしい人材が来てくれて助かったぜ。」
そう言って笑う男の名は「くい」だ。
裏社会と言っても数は多くなく、2030年頃から頭角を表し既存の勢力をすべて潰してしまったマフィアが主な戦闘の相手である。
マフィアにもいくつか派閥があり、8つある中の7つをすでに攻略済みだそうだ。
多少経験もあり、マフィアにも所属していたくいは外側からでなく内側からも組織を切り崩していった。
かつて役に立たずに捨てられた少年はついにマフィアのすべてを壊すまでに上り詰めたのである。
最後の大詰めの前に膨れ上がった、くい自身の組織もまとめなくていけなかった。
くいは戦闘のプロではあるが経営などはできない、その要望に答えるためにアレッタが送った3人衆はまさに適任だと言えるだろう。
氷の姫は財政を担当し、
重力は人材を担当する。
火炎瓶は物資の担当だ。
それぞれの得意分野でうまくまとめて序列などを作り形体を作り上げた。
マフィアには最後の勢力が残っているがそれもくいの活躍によりすでに虫の息、手を加えるまでもなく崩壊しそうではあるが責任を取って4人が直接手を下すことになった。
最後まで見送る義務があると思ったのである。
経営を担当している3人ではあるが戦闘も得意である。
すぐに終わらせるために奴らが拠点とするビルの頂上まで組織のスキル使いによって空から運んでもらい侵入した。
窓ガラスを割って入ったので流石に警備の人間が駆けつけた。
正面から戦っても構わないのだが面倒なので火炎瓶が対応した。
【デコイ】
4人にそっくりな囮を生み出し混乱させている間にボスがいる部屋に踏み入った。残っているマフィアの幹部も集結しておりここで終わらせる覚悟ができているのだろう。
「形あるものはいずれ壊れる。こうなることは覚悟していたさ。だが、俺たちの誇りだけは保たせてくれ。」
そう言うとマフィア全員が武器を構え、続けて4人も構える。
「いざ尋常に。」
「参る。」
掛け声とともに一斉に飛びかかってきた急いで離脱しながら火炎瓶が煙を撒き散らしながら
距離を取った。
【散水】
しかし、マフィアの魔法によりすぐに消化され距離を詰められた。
【重力】
【氷剣乱舞】
一秒は稼ぐことに成功、他の二人が自由に攻撃を行う。
くいはすでにマフィアのボスとタイマンを繰り広げていた。
一人を切り捨て、もうひとりを射殺した姫と火炎瓶はお互いに背中を預けて人数不利の状況で戦っている。
重力は早々に離脱して安全圏から仲間の援護をしていた。
中には耐えきれずに重力によって押しつぶされたものもいる。
最初は多くいたマフィアも段々と数を減らしていき、10分後、残っているのはボスのみになった。
3人はくいに手助けすることなく周りで見守っている。
幾重に渡る剣戟の後、ボスが倒れこんだ。
くいはボスが使っていた刀を拾い、それをボスの首に添えた。
「言い残すことは?降参するなら命は助けるが。」
「悔いはない。ここで生きては先に死んでいった仲間に申し訳がつかんわ。」
静かに言い終わるとともに、くいが刀を一閃し、首が飛んだ。
警備兵がやっとのことで到着したが時すでに遅し、組織の人間によって取り押さえられた。
雑事を組織の幹部に任せて4人はマフィア幹部たちを埋葬する。
仮にも日本の裏社会をまとめ上げ比較的マシにさせた人たちである。
敬意を示さなければいけないのだ。
静かに合掌して4人は自らの組織に帰った。
「冒険者ギルドだったか。アレッタの望みは。」
「救済であり莫大な利益を生み出す計画です。」
「いずれ日本を統一するヴァセロ帝国の名誉公爵だ。役職としては申し分ない。ヨーロッパにも影響を生み出すために行っているらしいからな。」
「世界を視野に入れておられるのですね。流石ですわ。」
組織が立て直した建物の中で4人は未来の計画を開始する。
「しかし。裏組織をまとめたとしてなにかできますかね。」
「現状の仮社会に影響を持たせるために潜入するなどはできそうだな。東京はそうだが岐阜の方面も賑わってきている。西日本に対しても潜入は必要だろう。」
「意外と仕事はありそうで安心したわ。」
「ありすぎです。潜入もできてその社会と繋がりがある人材なんて限られているのですから。」
「・・・・・・そうね。ただ、物々交換は私からすると面倒だわ。アレッタ様がなんとかしてくれないかしら。」
「そのへんは考えてくださっているさ。それよりも誰を東京に派遣するんだ?」
「私が直接行くわ。今の現状をちゃんと知っておきたいし、フェンリルとも接点を作っておきたいもの。」
「ありがたい。補助としてなら人材は送ることができるがどうする?」
「組織運営ができるのを何人か。護衛などを十数人ほどほしいわね。表向きの組織を作っておきたいのよ。」
「なるほど。それなら良いのがいる。」
「こちらからも物資をできるだけ送るつもりだ。助力は惜しまん。」
「ありがたいわね。できれば旧世界のものとかを送って欲しいのだけど。」
「承知した。すぐに手配させよう。」
「あら、まだいいわよ。先に東京に行くのだから。」
「あ、そうだったな。」
笑いの渦が巻き起こる。
一頻り笑った後、彼らは会議を続けた。
面白いと少しでも思ったら評価お願いします。
広告の下の☆を押すだけでいいので。
物凄くモチベになり、書くスピードが上がります。




