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廃れた世界の魔石取扱人  作者: 八咫
inヨーロッパ
94/110

英雄たちの活躍{5}

その人物は何もない場所から現れた。


とっくに死んだものと考えられていた、元【庭園】の一員、ディア。

フィロの旧友でありそれなりに仲も良かった。


「ヨーロッパに行ったっきり戻ってこないから死んでいると思っていたぞ。」


「いやごめんね。楽しすぎて忘れてた。」


「・・・生きていたならそれで良い。それよりも案内を頼むぞ。」


「りょうかい。」


フィロとの通話を切ってヴィアはため息をついた。


「僕だって遊んでたわけじゃないんだけどな。」


そのとおりである。

ある事件のせいでヴィアはヨーロッパにいながらも別の場所にとらわれるという状態に陥っていた。

やっとのことで脱出できたと思ったら今回の大災害である。

なかなか連絡がつかないのも当たり前ではあるのだ。


世界が変わってからは人助けをしていて回っていた。

自らのスキルを使って各地に移動しながら魔物を倒していたのだ。

【魔女】と出会ったのもその時である。

その頃から教会の力は増し、異端と呼ばれる人たちが不当に扱われていたヴィアもなるべく逃げるために手伝っていたのだ。


それを買われ、今では【魔女】の名誉幹部という役職についている。

いずれは庭園に戻るつもりなのでそういうことにしてもらったのだ。



「それよりさ。いるなら出てきなよ、異端審問官7席だったっけ?わざわざご苦労さま。」


通信を終えて、ヴィアは誰もいないはずの茂みに声をかける。


ヴィアの予想通りに現れた7席は、何も言わずに剣を構えた。

地形を気にせず、最短距離で詰め来る。

ヴィアは危なげなく回避するとすぐにUターンし、また一直線上に向かってきた。


何がしたいのか全くわからずヴィアは眉を潜めた。

カウンターを仕掛けようにも威力だけはあるので受け流すので精一杯である。

それが何回か繰り返された後突如7席の動きが変化した。動きが緩やかになり手数が増していく。

周囲に斬撃を繰り出しながらヴィアに肉薄した。

急いで転移し逃げるが7席も速い、すぐに追いつき切り裂ことしてくる。


(急激な変化が狙いか)


このままでは魔力が持たず負けてしまうと考えたヴィアは攻勢に出た。


【空間転移斬】


【旅の木】


7席の攻撃を避けながら自らを強化する木を作り上げ自動的に発生する空間の刃を設置した。


細かく空間を移動しながら7席と対峙する。【気まぐれな一撃(ランダムショット)】を狙いながらカウンター主体で戦っていくのがヴィアの戦闘スタイルである。


なかなか当たらないヴィアに嫌気が差したのか突如7席が双剣を持ち出す。


【円環双斬波】


斬撃が当たりを埋め尽くし、圧倒的な質量攻撃により空間すべてを潰していく。


急いで異空間に逃げ込むヴィアであったが、左肩に大きく傷をつけられてしまった。

まだ左で良かったと安堵するヴィアであるが余裕はもちろんない。



魔力が尽きる前に覚悟を決めて空間から飛び出た。

決戦衣装とも言える羽織を纏い、空から襲いかかる。

先程のお返しというべきか、大きく相手の左肩を切り裂いて着地した。


「ッチ。なんのつもりだ。」


「・・・これで終わりにしようかと思ってね。勝負は公平でなきゃ。」


「何が公平だ。貴様、いま殺せたよな。」


「なんのことかな?そんなこと言ってると負けちゃうよ。」


そう言うと同時に転移、そのまま首を狙った。

なんとか7席は防ぐが勢いを殺しきれずに自らの剣で首に浅い傷を作ってしまう。


本来の持ち味であろう双剣を発揮できなくても7席は強い。

だが、相手が悪すぎた。

その後の斬撃で7席の心をへし折った。


「来るなァァ。」


腰を抜かし、何もできない状態の7席にゆっくりと近づいていく。


「君の剣は偽物だね。何が双剣なの?一つは偽物の剣じゃん。

僕も同じような空間系のスキルだよ。ちゃんと使いこなせれば僕もさっきの攻撃で死んでたはずだよ。」


「黙れ、黙れ、黙れ」


「今までこんな剣でたくさんの命が奪われてきたのが驚きだね。君の剣はショック死を引き起こす程度のものなんだったとは。」


ヴィアは先程の攻撃でなぜ左肩の負傷だけですんだのかが不思議であった。だが、今までの対戦などを思い出しこの結論にたどり着いたのだった。実態の持たない虚仮威しの剣、それが7席の本当の能力である。


「本物を見せてあげよう。」


【放浪の刃】


何人にも拒めぬ絶対の刃が静かに7席の首をはねた。










5月25日。異端審問官第7席 【嘘剣】 死亡。


後に【旅人】事件と呼ばれる。

異端審問官たちを揺るがした事件である。


面白いと少しでも思ったら評価お願いします。

広告の下の☆を押すだけでいいので。

物凄くモチベになり、書くスピードが上がります。

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