樺太{3}
驚きではあるがここは戦場、相手が呆けている隙に矢を放った。
直前でジャンヌは気づきてよけようとするも肩を貫通した。
「落ち着け。今は考えるな。」
「そうね。」
【聖斬剣】
【盾鎧】
さらに敵の能力が上がっていく。
本来ならみんなで合わせて戦った方が良いのだが……。
俺の頭にある思いが廻った。
「八咫、閻魔、白狐。行けるか?」
「勿論です。」
「そうか。ならば命じよう。」
【我が意を示せ】
それは言霊。突然仲間の力を見たいと思ったアレッタの心が生み出した【強力な強化魔法】である。
【御意】
漲る力を手にしそれらは動き出した。主人の意志にを示すために。
一方、均衡していた戦場だが所々でほころびが発生し始めた。
最初に始まったのはクレの戦場である。
【虚空喰】
何処からともなく現れる槍に対し次第にクレはいなすことが出来なくなっていった。
【月兎の宴】
自らの戦場を用意しているのにも関わらずそれは一瞬で破壊されていった。
【三日月斬】
全方向に斬撃を繰り出し敵の方向を探る。
相殺された音の方に急接近し刀を振るがそこには何もいない。
「遅い。」
声と共に肩を槍が貫いた。
「これが【樹皇帝】の腹心だと言うのか……。あれほどの者がこんな奴を!?虫唾が走りそうだ。」
小ばかにした様子で12席は笑った。
クレは何とか体を動かそうとするが
【聖鎖縛】
槍の先から現れた鎖によって締め付けられてしまった。
力なくうなだれているクレを置いて12席が次の戦場に向かいだそうとするとき空間が歪んだ。
「へぇ、バレるっすか」
「……何者だ?」
「ヴァセロ帝国名誉公爵メラン。」
名乗りと共にメランが超速で移動する。
危なげに12席は弾き返した。
「名誉公爵。まさかこんな者がいるとは。【異端審問官】12席だ。」
「わざわざ隙を作ってくれるんっすね。」
12席が名乗りを終えたと同時に方から血が噴き出した。
体を糸で縛り、動くことが出来ないようする。
「口ほどにもないっすね。何でクレがやられたんっすか?」
「俺のことをいじめてますか?」
縛られたまま、クレが言った。
「それで、そいつは殺すんですか?」
「違うっすね。もっといい利用方法があるっす。」
そういってメランはスキルを展開させた。
【静寂】
【自分が指定した人間と自分たちの情報を禁止。伝えようとする思考が働きその行為に及びそうになった時自動に殺害。……認定されました。】
情報規制と仕掛け。
内部に亀裂を生じさせるためにメランが仕組んだのは表向きにはその二つ。
糸を時間経過で取れるように設定しておくと、メランはクレを開放して次の戦場に向かった。
「いい加減にくたばれ。」
「そっくりそのまま返してやろう」
フィロと建築士の戦いはすでに1時間を経過した。
【樹剋土遺跡】
ここぞとばかりに土に対する圧倒的な優位性を付けるスキルを使い戦いを決めにかかった。
瞬く間に戦闘は一方的になっていく。
建築士の焦りが最大値に達したタイミングで思わぬ伏兵がとどめを刺した。
【渦】
建築士の足元を渦が絡めとりそこに銃弾が叩き込まれたのだ。
そう、十兵衛である。
「【樹皇帝】様。手柄を奪ってしまい申し訳ございません。」
飄々と十兵衛は謝る。
「ッチ、狙っていたな。まぁきっちりと殺せたならば良いか……。」
フィロは納得がいかないようだが気持ちを切り替えて周りに指示をしていった。
「兵士たちはとりあえず捕らえておけ。俺は他に伏兵がいないか調べてくる。油断するなよ。」
「「了解です」」
不穏な気配を感じフィロは走り出す。
500メートルほど走ったときそれは突然現れた。
「悪魔か。」
「ほぉ、知っているのか。いかにも私は悪魔だ。」
「目的は?」
「言うとでも?と言いたいところだが別に何がしたいとかそういうものではない。面白い物が見れそうでな観察に来ただけさ。」
「嘘なしか。だが見逃すことは出来ん。」
「ハハ。貴様の立場ではそうだろうな。良かろう、楽しませてくれよ」
「勿論だ。」
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