小樽{4}
【崩壊】
白狐が生み出した幻影が崩れ落ちていく。
「ククッ、やはり偽物か。」
俺がこの悪魔に抱いた印象それは「やりにくい」ただそれだけだった。
ほぼすべての攻撃が防がれてしまう。
「しかし、【暴虐の悪魔】と言った感じはしませんね。どちらかと言うとそのまんまの【崩落の悪魔】と言った方が良いような……。」
「黙れ……。」
【崩落魔手】
フォルテの手がひび割れ始める。
【魔壊】
八咫烏も対抗して同種の技を出した。
【魔符:百焔】
【死を刈り取る狂風】
八咫烏が矢面に立っている間に回り込み防御できない間合いまで入り込む。
「ッチ」
フォルテは瞬時に上に飛ぶ。
しかし、そこには八咫烏が居た。
フォルテの体にひびが入る。
【裂風】
白狐がそこに鎌をえぐった。
【暴虐の悪魔】
フォルテが崩れ落ちる最後、真の姿が解放された。
頭には王冠を被り、手には赤い剣を持つ。頭は馬だ。
【我に力を】
【■▲□○■◇】
(おい、八咫烏。なんて言っているか分かるか?)
(「我に力を」ですか?)
(もう一つの方だ。)
(分かりません。が、色々と面倒くさそうな方向に流れていっているのは分かります。)
(だな。強化される間に倒すぞ。)
(了解です。)
【不完全なる図書館第二章:垂り紙】
紙の塊が空から降ってくる。
【読書家】において現段階、単体最強の大技だが……。
「少々痛かったぞ。」
フォルテは無傷だった。
「なるほど、ならば……。」
(八咫烏、白狐。時間を稼げ。勝てるぞ。)
(今の出分かったんですか?)
(ああ、頼む)
(了解です。)
力技で倒す気満々の二人だったが主人の技を信じることにした。
【絡め風】
【粘着羽】
風で羽を舞わせて意識を翻弄する。
「ちょこまかと動き回って……、鬱陶しいわ、この羽虫風情が」
相手の攻撃が自分に届かないことが分かっているのでフォルテはつけあがっていく。
「どうした?効かんぞ?」
「そうですねぇ。」
しかし、二人はこれをちょうどいいサンドバックと勘違いしはじめていた。
攻撃が聞かないのをいいことに次々の性格が悪い技を連発していく。
【蝕蟲蟲毒】 【蜀蝕陽】
【禍風】
相当の毒を怒涛の如くぶち込んだ。
【赤剣】
しばらく切り結んでいたがフォルテがそのスキルを発動した瞬間に空気が燃えた。
「遊びは終わりだ。さらば……。」
【暴虐惨殺】
領域魔法式と同じ性質を持つものでありその範囲内にいる敵に数々のデバフをかける優れもの。範囲が狭いのが難点ではあるが、十分通用する。
しかし、
「甘いな。」
【朱雀:聖死骸閃】
灼熱の炎を纏わせた聖剣がフォルテを貫いた。
(【存在軽薄】今く行きましたね。)
(だな。)
少し誇らしげなのはヘカテである。
「あとは誰だ?」
「禍渦と呼ばれる人物だけですよ。」
「そうか……、準騎士爵の実力を見せてくれるかな。」
この町の幹部にしてフォルテの知人でもあるバルロスは困惑していた。
「何故、攻撃が当たらないのだ……。」
自分に与えられた屋敷で寛いでいたのだが、いきなりその半分が爆破されたのだ。
慌てて出ていったらいたのはたった一人の若造だけだった。少しほっとしながらも相手をすることになったバルロスだったが戦いを繰り広げられていくにつれ自分が不利だということを悟った。
(はぁ~、何でこんなことに。知人のよしみで来たけど完全なハズレくじだよ……。ってフォルテ死んでるじゃん。死因は……調べるおやめておこう。と言うか、これで心置きなく逃げれるじゃん。)
悪魔のくせに中々愚痴しか言っていない。彼の本来の名前が泣く。
「相性が悪かったようです。ではまた。」
瞬間的に突風が吹き、次の瞬間にはバルトスの姿はなかった。
【狂風の悪魔】バルトス。悪魔と禍渦の始まりの出会いだった。
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