小樽{1}
「ここは?」
「知らん。」
俺はここの住人ではないのだ。知っているわけがないだろう。
「えっと、ありがとう。助かったわ。」
「余計なおせっかいでなくてよかったな。」
「貴方たちは?」
「ヴァセロ帝国準騎士爵【禍渦】」
「へ~、準騎士爵になったんだ十兵衛。ヴァセロ帝国公爵アレッタだ。」
「公爵?」
「名誉公爵だがな。」
「ヴァセロ帝国ってあの【樹皇帝】と【吸血姫】のところ?」
「【樹皇帝】?奴の二つ名そうなったんだ。そうだそのヴァセロだ。」
「でも、公爵ですか。聞いたことがないのですが……。」
「う~む。本格的に二つ名生み出した方が良いのか?」
「【陰陽師】とかどうですか?」
「まんまじゃないか。」
「いいじゃないですか、それで。」
「しょうがないか……。で、聞いたことがない理由だが俺の相方が有名になってはいけない役職についているのが関係しているのだろう。俺自身は青森では有名のはずだ。」
「そうですね。」
「そうなの、知識不足ね。私は抵抗軍の幹部よ、名前はわけあって話せないわ。」
「了解した。」
「それで、何でヴァセロ帝国の貴族たちがこんなところにいるのかしら?」
「宣戦布告にやって来た、この小樽はヴァセロ帝国領、五稜郭に攻撃を仕掛けたからな。使者としてきたんだが攻撃されたので、逃げ去ったふりをしてここに来た。」
「情報量が多いわ。でもこっちにとっては良さそうね。」
「ああ、でなければ助けていないさ。」
敵は内側から壊すの方が楽だ。
「しかし、こんな場所があったとはね……。」
「知らないのか?」
「あらかた隠れ家になるところは探し回ったはずなのに……」
「こんな場所で悪かったな。」
「「「っ!?」」」
<油断していました。>
油断していたとはいえヘカテの察知能力を上回るだと!?
「そんなに警戒しなくても良い。わしゃ、お前さんたちと同じ立場だよ。」
「信じられるか。」
出てきたのは老人だった。老人と言っても白髪が綺麗な腰が曲がっていない老人だが……。
「奴らの戸籍に載っていない、そういえば信用してくれるか?」
「ああ、なるほどね。少なくとも奴らの味方ではなさそうね。」
「そうじゃな。取りあえず上がって行け、この小屋は見せかけだ。地下がある。」
「有難い。」
「ここ最近は物騒だ、騒ぎも起こったようだしな。」
「……じいさんはどういうことをやっていた人なんだ?」
「わしゃか、大したことはやっていないよ。まぁ、この辺りでは【賢老】と呼ばれているんな」
「【賢老】の爺さんか。」
少女が飛び上がっていった。
「知っているのか?」
「ええ、私たちが今まで活動できた理由の一つだわ。支援者よ。」
「なるほどなぁ、じゃあ信じてもよさげか。」
「ええ。」
「じゃあ、単刀直入に聞くぞ、この町の実質的な支配者は誰だ?」
「……わかるのか。そうじゃのぅ、悪魔と言えばいいかのう。比喩でもスキルでもない、正真正銘の悪魔だ。」
「……」
(ヘカテ、分かっているな。)
<勿論です。すぐさま検索しますね。>
<ヒットしました。悪魔とは知性を持つ魔物のことで例外を除き全員がBランク以上の強者です。自らを魔族と呼びますが人類がスキルによってなる魔族とは違う部類だそうです。>
「知性を持つ魔物でBランク以上か……。」
「ほう、良く知っているな。その通りだ。」
「そんなバケモンが……」
「いや、私はあの人が何で知っているのか知りたいのだけど……。」
「アレッタ様ですか……、フィロ殿下の友以外の情報がないんですよ。突然、我々の前に現れました。」
「つまり、貴方もあの人の実力は分からないと……。」
「ええ、僕などはにもかけぬほどの実力者なのは確かだけどな。」
「そうなのか?」
「公爵というのは想像以上に強い、もしくは能力を持ったものしかなることが出来ない。【星墜ち】エトアル殿も先日公爵になった。その時、アレッタ様と戦ったそうだが、余裕を見せてアレッタ様が勝ったそうだよ。」
「凄いわね。」
俺について、ひそひそ話が行われているが聞かなかったことにした方が良いだろう。
「【暴虐の悪魔】フォルテ、この町を支配している悪魔の名だ。
「ランクは?」
「B+。お前さんなら倒せないレベルではないだろう。」
「ああ、しかし、そこに知性がないという条件を付ければの話だけどな。」
「問題はそこだ。奴は頭が良い。一対一で戦える状況まで行ってもお主では厳しいだろう?」
「負けることはないが、勝つのは難しいな。」
「負けることはないか……、少し侮っていたようだ、眠らせている者には気を付けなければな。」
「気づくのか、流石だな。」
【来い、八咫烏】
「承知いたしました。
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