五稜郭{5}
エトアルの攻撃を紙一重で躱し刀をはじきながらのカウンターを仕掛ける。
【空駆け】
エトアルはそれを空に飛ぶことで回避する。
【星墜ち】
そして、空から一方的に攻撃を始めるのだ。
しかし、アレッタも負けてはいない。
【空駆け】
同じ技で空に駆け上がっていくと次の瞬間にはエトアルに肉薄していた。
「っ!?」
そのまま横に薙ぎ払い、更に追撃を加えようと動き出す。しかし、突如背後に気配を感じたことで守りを固めた。
【星薙ぎ】
【玄武】
その防御はギリギリ間に合い、防ぐことに成功した。そして、玄武の能力が発動し突如出現した蛇がエトアルを襲う。
それを流しながらエトアルは体制を崩したアレッタ相手に距離を詰めていったのだ。
【魔符:月兎】
三日月と重力の合わせ技でありその能力は相手の体にかかる重力を6倍にするというもの。
【軽星】
しかし、エトアルは同種の技によって阻止した。
そして、
【星光踊行進】
発動されたらそこで終了。避けることも不可能な最高速の星々がアレッタを襲った。
「世界中を探してもこの技を避けることが出来る人はそういません。急所は外しました、降参してくださりますか?」
そう言いながらゆっくりとエトアルが近づいてくる。
血を吐きながらアレッタは言った。
「なるほど。これが【星墜ち】の由来か。」
「【星好者】ですよ。」
「ああ、なるほど。でもな…・・」
突如アレッタの体が爆散する。
「……は!?」
混乱するエトアルの首にひやりとしたものが乗せられた。
「いくら強くても当てる相手を間違えたら終わりだな。降参してくれるか?」
「……降参します。」
降参してくれた。よかったよ、上から隕石とか落とされないで……。偽物に関してだがもちろん白狐だ。分身を一体してもらった。【月兎】の相殺でこちらへの意識がなくなった瞬間に離脱したのだ。
「いや~、強いですね。」
「それほどでも」
戦いの後はその場で【商店】で出したお茶で茶会を開いた。
<茶会(二人)>
(うるさい。何でこういうところで突っ込んでくるんだよ。)
<最近出番がなくて暇だからです。>
(……すまん。)
謎の罪悪感に包まれながら俺はエトアルと話すことになった。まだヘカテの圧を感じるが無視だ、無視。
「正直、手伝ってもらえることはないよ。おせちもここの生態系がおかしいからたくさん作れたし。花火の準備も万端だし。強いて言うなら……。」
「言うなら?」
「御餅を切りための人を探してきてほしいのだけど。どこにいるのかだけでもいいから。」
「蟷螂男爵です。」
「ん?蟷螂男爵ですか?」
「ええ、本部にいると思います。見れば分かると思います。鎌を持っているので」
「了解した。今から向かおう。アレッタ殿は休んでおいてくれ。」
エトアルが一人で行ってしまったので俺は何もすることがなくなった。
<ちょうどいいので、ヨーロッパのことについて話しますか?>
(何か変化があったのか?ぜひ頼む)
<はい。ヨーロッパでは蟲人や獣人となった者達を魔物と同列のように語り討伐対象へ組み込んでいます。【異端審問】ジュジュマンが中心となってそういう組織を作り上げていますね>
(まじか……。)
<これに対抗するために【隠獄の魔女】を中心とした組織が組まれました。大きくこの二つが有名だったのですがここ最近情勢が変わりました。>
(どちらかがやられたのか?)
<いえ。新たな勢力が生まれました。勢力と言っても個人のグループなのですが実力は絶大です。>
<【勇者】アーサー【賢者】マーリン【騎士】モード【奇術師】モルガン。いわゆる勇者パーティーです。両陣営はこれを排除又は取り込むことが出来ないかと考えている模様です。>
(これ、【隠獄の魔女】不利だよな。)
<教会の洗脳度合いによりますね。>
(フィロはどっちに着くんだ?東アジアを飲み込むにしても圧力がかかってきそうなもんだが。)
<抱えている人種的に【隠獄の魔女】側でしょう>
(又は、それ以上の人材か……。)
<引きつづき探っておきます>
(頼む)
モヤモヤした気持ちを抱きながら本部に戻った。
フィロにこのことを言ったら、何で知っているんだよ?と言う的確な突込みが入ったが気にしないでおこう。
2,3何もせずに日が過ぎていった。今日はいよいよ大晦日である。
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