血が出ない町{5}
「もっと私を楽しませなさい。」
「何なんだよ。こいつは……。」
元上級国民たちの巣穴ある建物にて虐殺が発生していた。
【血液操作】
彼女の後ろに血でできたナニカが生まれすべてを喰らっていく。そのナニカに襲われた人間はミイラになっていた。
【火炎放射】
突如、建物内に炎がまき散らされた。屋内で同士討ちの可能性があるため使えなかったのだが上級国民はこの場面になってようやく腰を上げた。
そう、今までは前座、所詮は腰巾着でしかない。
【居合】
その証拠にある老人が放った技だけでナニカは崩れ落ちた。
その様子を見て彼女は微笑んだ。
「そうよ。そう来なくては楽しくないわね。」
【血液凝固】
それは選別の技。体内の血液を固める技である。これにあらがうことが出来るものこそが初めて彼女に立ち向かうことを許されるのだ。
【気円斬】
すぐさま対応したのは老人だった。円状に広がる斬撃を放ちながらサラに切りかかる。
【血流操作】
しかし、自分の血液を強化した超人的な肉体性能に阻まれる。
【岩波】
【毒霧】
続けるように範囲攻撃が襲う。
「霧には霧ですわ。【血霧】」
サラは飛び上がりながら同種の攻撃で相殺する。
【炎の息吹】
【炎血触手】
炎の範囲を広げられると共に適応した触手を出した。
「流石ですなあ。公爵になるだけの強さはあるようです。感服いたしました。」
老人が愉快そうに言った。
「そうね。そういうあなたも強いわよ。これだけの力があれば普通の人間にはやられなかったんじゃない?」
「いやいや。儂は上級国民ではないのです。今は傭兵としてここにいます。」
「へぇー、他に傭兵っているの?」
「いません。」
「なるほどねぇ。じゃあ、君は殺さないであげるわ。そろそろあちらも終わっただろうしね。」
そういうと共に、突然のことで驚いている敵を横目にサラは技を発動する。
【虚血喰牙】
指定したものすべての血を喰らい糧とする。そしてたとえ防がれたとしても。
【虚血獣】
自らの血を素材としてあってはいけない化け物が生み出されてしまうのだ。
老人以外のすべての者はそれにより倒れた。
「流石ですなぁ。これは参った。最初から戦う必要もなかったのでは?」
「そうね。しかし、万が一というのもあり得るからね。その証拠にー。」
【炸裂爆弾】
【血界】
「ッ!?」
「爆弾魔クリスね。アレッタから捕まえたと聞いていてのだけれど。どうやったのかしら?」
「ハハ、我は強いのだよ。あの程度の縄に縛られるわけがない。」
「そう。まあいいわ。殺しなさい。【虚血獣】」
「おっと、俺はさっさとトンずらしたいんでね、お前らに構っている暇はないんだよ。だからな、やっちまえ【操り人形】さんよ。」
「了解だ。消えてしまえ。」
突如、サラが倒したはずの人間からエネルギーがあふれ出る。又、老人の腕からもそれが発生した。
すぐさま老人は自身の腕を切り飛ばし死んだ連中の方に放り投げる。
【血界】
サラは血界を発動させたが、予想外の強さに驚いた。
(まずいわね、仲間というか、この老人さんがすぐに腕を切り飛ばしたのは予想外だったけどいいことをしてくれたわ。後で治してあげなきゃ。)
血界をさらにかけていこうとした時突如爆発が収まった。
【結界】
いくつものサラの血界よりも強力な防護幕が死んだ連中に覆いかぶさったのだ。
近づいてくるのは一人の男だった。
「大丈夫でしたか?」
「ええ、助かったわ。」
「しかし逃げられましたか。兄からは絶対に殺せと言われていたので惜しいですな。」
「そうなの?」
「ええ、仇だそうです。」
「なるほどね、そういえばあと一人いたわよね。」
「長さんですね。」
「大丈夫かしら。」
「敵は無視できない存在でしたね。相当なレベルです。」
「応援に行きましょう。」
俺たちは駆け足で向かった。