偉大な人間には種類がある。
久しぶりの二話更新。
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「ふぅ」
その男はいきなり立ち上がった。
それを見た執事らしき物が慌てて駆け寄る。
「その体……、何がありましたか?旦那様」
旦那様と呼ばれた男は返した。
「片割れが死んだ、まさかあんなスキルがあるとはな……、」
男が執事に事情を説明する。
想定外の出来事に執事の男は驚愕を隠しきることが出来なかった。
「まさか、あれは十分な強さだったではないですか。一体誰が?」
「そうだな、【巨氷狼】や【吸血姫】……【刀鬼】もか。それくらいしかあれを殺すことはできないと考えていたがな、まさかあんな奴がいたとは。」
「旦那様、すぐさま調べるように申し付けてきます。」
「頼む。」
執事が部屋から出ていった。
誰もいない部屋で男は喋る。
「力を回収できたのは良いことだ、だがあれによって保険が一つ消えてしまった。恐ろしい存在だな。仲間もそれなりの強さだったしな。一人しか殺せないとは。しかしその一人にしても死に方が解せぬ、爆弾なんて俺はつけていないはずなのだが……、まさか他の勢力が動いていたのか?だとしたらまずい。他の部隊をよんで一人ずつ見ていくしかないな。」
男は執事が帰ってくるのを察知し次なる指名を与える。
「片割れを殺した奴を調べるとともにこいつも探すように言っておけ、それ片割れを殺したやつとは敵対するな、あれの非は俺らにある、あの町の腐敗もあいつらが治したようだしな。協力しとけ。」
「了解しました。旦那様はどうするのですか?」
「俺は個人で動く、気にかかることがあってな。」
「ご武運を」
「お前もな、決して死ぬなよ。」
努力して偉大になった者
【宮廷庭師】 フィロ・ヴァセロ
・・・・・・・
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彼女以外誰も入ることが出来ない部屋にて彼女は笑った。
「強者のにおいがするわ、それもなかなかの強さね。今度はどれだけ利用できるかしら。楽しみだわ。」
圧倒的カリスマ、それが彼女だ。
武力、頭脳。どれをとっても桁違いの実力を持ち、他の追従を許すことがない。
世界が置き換わったあの日、最も早く動いたのが彼女だ。その圧倒的カリスマ性によって人々を引きつけ纏めた。
数多の反対勢力が出ようとしたが彼女には及ばなかった、秘密裏にそれらの物は消し去られた。
否、武力だけなら勝るとも劣らないものもいた。だが、力及ばず倒れた。
「【姫】失礼します。」
「入りなさい。」
彼女のもとに一人の女性がやって来た。
「かの物が到着しました。」
「あら速いのね。」
「ご冗談を、これすらも予想していたことでしょうに。」
「ふふ。」
「しかし、これであなたに勝る者はいなくなることでしょう。」
「あら、わからないわよ。【巨氷狼】や【刀鬼】だっているでしょう。あの一族も可能性はありますし。【宮廷庭師】も気を付けなければ……。」
「何を言う、私に勝っておいて。」
そう、女はかつて彼女に敵対し、下った者なのだ。
「あなたは頼りにしてるわよ。でも世の中には出てきていない天才もいるものよ、旧世界においてある部分では私に勝っていたものもいたのよ。」
「そんな人物が。」
「しかもおじい様から直々に教わった弓だというのにね。」
静かに女の顔に緊張が走る。
「なぜ今それを?」
「お、そこに気づくのね。……近づいてきているのよその人の匂いがここにね。そろそろ着くわよ。」
「それはそれは面白そうですね。」
「ほんとにそうだわ。一波乱あってほしいのだけど……。」
そういう彼女の顔は血塗られているような狂気に染まっていた。
生まれたときから偉大な者
【吸血姫】 イワクラ・サラ
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「そろそろ見えてくるはずだ。」
流石に歩きだときつかった。
あれから5日の夕方俺は青森の町につくことが出来た。
門を抜けたそこにあったのは
「すごいっす。」
「凄いなこれは。」
俺らの目の先にあったのは城だった。
「いや、なんでだよ。何でこんな城があるんだよ。」
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