山賊{7}
やっと出せました。
「えっとアウム兄、この方たちは?」
俺がいうとアウムは鬱陶しそうに手を振った。
「俺の嫁と娘だ。姿を偽る必要はないぞ。」
嫁のほうがほほ笑んだ。
「娘がお世話になりました。ほらお前も。」
「ありがとうございました!」
なんだろう、こんな時だが心が和むな。
「お気になさらず。」
俺は変身を解いて答えた。
「お兄ちゃん凄いんだね。姿が変わった!」
「ありがとうお嬢ちゃん。アウム、紹介を頼む。」
「分かった。こっちが嫁の桔梗で隣が娘の霞だ」
「桔梗さんと霞ちゃんですね。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
そんな俺たちの会話に焦れたのか、アウムが話しかけてきた。
「自分たちはこれからどうすればいいですかねぇ。」
アウムに行ってほしい場所は……、
「今は各地を巡って情報を集めてほしい。特産品とかだな。商人にとって必須じゃないのか?」
「ふふ、そうですね。しばらくは東北をまわって確認したのちあなたを拾って岐阜まで行くことにします。」
「助かる、おそらく俺は青森にいるからな。」
アウムは一瞬、思案顔になったがうなずいてくれた。
「青森ですか……、了解です。」
いつもの奪っているについたので馬車を置き荷物を取り出す。そして、山賊にやられたと見せかけるために馬車を壊し始める。
「出発するぞ。」
合図とともに山を登っていく、俺はこの後青森へ出発することを山賊仲間とも話し合って決めているが。アウム達は何日かいるそうだ。
何事もなく、住んでいる家に着いたのだが、一息つくことはできなかったようだ。
向こうのほうに武装した集団が見えてきたのだった。
「小樽、管理をたのむ。いつもの感じで戦うぞ。」
野島君や織斑さんが弓をもって指定の位置についた。
俺は小樽を除くその他のメンバーとともに山を下りる。
「兵たち、あそこの人たちに続きなさい。」
おお、アウムの兵たちも来てくれた。弓兵は野島君に預け、近接担当の人は俺らの後ろについてもらった。谷での戦い始まりだな。
駆けつけてきた武装した集団の真ん中の男がまず名乗り出た。集団の人数は30人といったところか。
「我らの名前は【剣豪連合】町を壊した山賊どもめ成敗してやる。」
街を壊したのはアウムなんだけどな。連想ゲームでも働いたのだろうか?
しかし、【剣豪連合】ね、手加減できる相手じゃなさそうだ。なんて考えているうちに戦いが始まった、アウムの兵はまとまって戦い敵を近づかせない戦い方だ。やりやすい。
さて相手は。
「っと」
俺が先ほどまでたっていた場所に無数の剣が突き刺さっていた。向かってきた相手は先ほど名乗りを上げてきた人、つまり隊長だ。
「貴様が将か。いざ尋常に。」
声を無視して切りかかる。
しばらく応戦が続いたが状況が悪くなっていくのを感じたのか男が何かを言った。
「むう、このままではジリ貧ですな。……【茨刀】」
突如地面から無数の刀が出ていき、アレッタを切り裂いていく。無残な姿になったアレッタを見下ろしながら、その刀たちを操り、けしかけていった。
「このままだと勝てそうですな、街を壊しかけた悪人どもと聞いていたのですが……」
男はそう呟き、まとまっている兵士に目を付けた。
「いい的で...!?」
男は背中に焼けるような痛みを感じ振り返る。するとそこにはいるはずのない男がいた。
男は取り乱したように言う。
「なぜ貴様が生きている。」
その男、いや少年は笑った、
「冥土の土産に教えてやろう、お前が殺したのは俺であり俺ではなかったということだ。」
「どういう...」
男が最後まで言うことはできなかった。きづけば少年は男の首を刎ねていた。
まったく俺を殺そうとしてくるとは、殺すしかなくなるじゃないか。せめて拘束ぐらいにしとけば…、スキル的に出来そうでもなかったな。
「手加減できる相手じゃないことはわかったし、そろそろ行くか。」
【不完全なる図書館 第一章】
【紙吹雪】
今まで使っていた技が進化し名前がついたようだ。第二章もすでにある。
いつものように無尽蔵に紙が散り、切り裂いていった。
「相変わらずきれいだな。」
場違いなことをつぶやきながら戦いは終わった。
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