山賊{2}
ネタをクレー
山賊を始めた理由はこんなところだろうか。しかし、やっぱりこのタケノコは美味しいな。
俺は五杯目のたけのこご飯を食べながら考えていた。
「そういえば、五人ってどこで会ったんだ?」
五人を代表して野島君が答えてくれた。
「この世界で初めて会った時に警官服と話していましたでしょ、なぜかみんな同じ考えを持っていたらしく、たまたま盗みに入った家で鉢合わせしてしまったんです。」
「凄い確率だな。」
「本当にそう思います。」
そんな風に野島君と話していた時、萩原さんが慌てた様子で駆け寄って来た。
「獲物だ、上級国民だな。会った明確な基準を分けてある。
貧乏人は俺らから見て悪人じゃなければ見逃す。
金持ちや上級国民は俺らから見て善人だった場合一定量まで奪う。悪人だった場合すべて奪う。
こんな感じだ。しかし、これを免れた上級国民もいる。それは、家族が病気などでそれがないと生きていけなくなる場合は見逃した。ちゃんと裏を取ってからだ。
さて、今回はどっち側かな。殺すことにならなければ良いのだが。
「全員配置について。いつもの通りに。小樽護衛の人数は?」
「ちょっと待ってろ、……七人だな。」
解析担当は小樽だ。戦闘も十二分にできるというのに解析が好きらしい。メラン曰く「ここまでのハッキング能力はやばいっすね。世界のトップレベルに匹敵するっす」 だそう。別名『電子の魔法使い』。
警察服もこのことは知っているらしく最重要人物らしい。ちなみに政府公認だったらしい。
「……多いな。一人一体受け持ってくれ。」
「一体って……。」
「速く。」
「わかりました。」
織斑さんと野島君が弓を構えながら指定の位置につく。おっちゃんと萩原さんは前衛として。メランはどこにいるかわからないので除いて、皇と俺は中衛の位置につく。ちなみに今回の俺の武器は刀だ。最近は武器の種類を色々試していき弓の次に適性があったのがナイフと刀だったのでこうなった。もちろん魔石と交換で手に入れたものだ。
その名は『霧雨』特殊能力はないが合成で作り出している仮にもBランクの魔石四個分の価値がある刀だ。鋭い切れ味があり、なおかつ壊れないようにできている。
おっと話を戻そう。そろそろ馬車が近づいてくる頃か。
馬車が狙い通りの道に行ってくれた。
「攻撃だー-。」
一斉に襲い掛かるが、俺らのことを知っていたのか多少の焦りを見せながら対処してくる。しかし
【矢織】
【束縛の魔眼】
うん二人以外は技使わずに倒してしまったようだ。こいつらも強いんだろうが所詮はレアの上位か。
「馬車の中身を調べるぞ。」
早速調べようとした時だった。メランが護衛の一人を殺していた。
「おい。」
咎めるように、メンバーの誰かが声をかける。しかし、メランは気にした様子はなくすでに他のも殺そうとしていた。
「中見りゃわかるっす。」
慌てて見てみるとそこには人肉と思われる肉塊が異様に綺麗に積まれてあった。
不思議とその綺麗さが皮肉をきかせている。
「ふざけるな」
メンバーの口からも怒号が聞こえる。皇も必死に怒りを抑えているようだ。
「ち、違うんだ。それは死んだ人間のなんだよ。」
上級国民と推測できる男が喚いた。しかし
「嘘か。どうしようもない奴だなお前。」
これはもう無理だ。今も五月蠅く喚ているこいつを見下ろしながら一言。
「死んどけ」
次の瞬間俺はそいつの首を切っていた。
他のみんなも覚悟を決めたようで各々殺していく。
「これが人を殺すというものなのね、気持ち悪いわ。」
「これはやばいです。」
「すまん、吐く。」
野島君、織斑さん、小樽は耐えきれなかったようで次々と吐いていった。
おっちゃんはもうすでに殺したことがあるからそこまで抵抗がないのか立っているだけだった。
萩原さんも軍人だからこういったのは慣れているんだろうな。
メランも名の知れた暗殺者だそうし……。
皇はどういうことだろうか?
「皇は落ち着いているな。何でだ?」
「それは……。過去にちょっとだけね。そういうあなたこそどうなんだい?」
「はは、一本取られたな。お前と同じような感じだよ。聞かないでくれるとありがたい。」
突如笑い出した俺に対し皆は話かけて来なかった。
俺は……、俺は……、旧世界において、既に十人以上の犠牲の上に成り立っている存在なのだ。
俺の生存本能はここからやってくるものかもしれないな。そしてこのことを知る者の中で味方はすでにいない。
ある者は病気によって死に。ある者は老衰で死んだ。
そして最後の理解者は新世界において俺が初めて殺した人物だ。
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皇君の過去を知る者はまだいません。だって作者も知らないから。