湿地の村巡り。{8}
遅れて申し訳ない、ほんとに戦闘回は苦手なんだ。
さて、他の四人達についても見に行ってみよう。
まずは、おっちゃんこと竹田である。言いにくいのでここではおっちゃんと呼ばせてもらおう。
初手、他の三人が散ったのを見ながらおっちゃんはシーサーペント三匹相手にそれを使った。
【鋼鉄化】
自身の体を瞬時に鉄にすることが出来るスキルだ。これを使い、防御力や攻撃力を上げるのがおっちゃんの戦い方である。
シーサーペントの目の前に驚異的な脚力で迫り、重い一撃を与える。
鈍い音をしてシーサーペントが吹っ飛ぶが、他の二匹が加勢してくる。さらには、
【水槍】
水の槍が襲い掛かって来たのだった、
「こりゃまずい、【硬化】」
急いで、姿勢を低くして、防御態勢に入るが間に合わず、多少はダメージを受けてしまう。
しかし、おっちゃんも負けてはいない。その後は水槍が飛んできても難なく躱す、躱す。たとえ攻撃が当たろうと、部分的に体を硬くすることで、ダメージを和らげる。
そして、【熱鉄剛拳】
たった一撃、しかしレアの特色でもある大技によって、三匹まとめて、沈んだ。
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横目で見ていてすごいと思う。
はっきり言っておっちゃんはのスキルはそこまで強いとは言いえない、レアの上位、エキストラには絶対に届かないレベルだろう。
人が持っているスキルの中では、弱い部類に入るはずだ。
おっちゃんは純粋にうまいのだ。ゲームで言うところのプレイスキルだな。そっこが驚異的ともいえるほどうまいのだ。
こういうタイプは強い。たとえ弱いスキルであろうが、適切なところでうまく使うことが出来れば、ユニークにすら勝ってしまう。
さらに、最近判明したレアスキルの特色、たった一つの大技の威力だけだと、エキストラの大技の威力も上回る。それを、適切な場所で使うそのセンスに恐れすら覚える。
おっとそんなことを話していたら、こっちにも来たらしい。後衛なんだけどな。やるしかないか。
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四人の中で一番危なかったのがメランである。
本来、メランは暗殺を得意としており、今回のような二十匹相手に戦う技は、あまりないのだ。
数の暴力によって、どんどんダメージを負ってしまう。
「ほんとは使いたくないっすけど、あぁ【悲壮なる絶対死】」
それは、試練である。この技に指定された物が逃れるすべは、一つしかない、この技を使った相手より意志力、つまり思いが大きければ逃れることが出来る。しかし、それ以下の場合は絶対なる死が訪れる。そんな凶悪な技なのだ。
しかし、代償もある。それは精神的ダメ―ジを負うというもの。それを乗り越えることが出来なければ、発動者さえも死んでしまうのだった。
「ふぅ、ほんとにきついっすね。」
こうして、危ない場面もあったがメランも勝利を飾ることが出来た。
最後に八咫烏だ。
それは、圧倒的、いや蹂躙劇だった。
八咫烏が使った技は一つだけ。
【八からなる黒翼 】
体から、八つの黒い翼が出るというその名にふさわしいスキルだ。この八つの翼を駆使し、八咫烏は天を駆ける。
そして、10秒後シーサーペントの大群は抹殺された。
終わったか、八咫烏が意味わからんことをしたのを見届けながら、俺も最後の一匹を刈った。
それを、見たのかハイド達も駆け寄ってくる。しばらく生存を祝った後、俺たちは出発した。
「行くぞー-。」
「またね。」
連絡先も聞いたし、魔石の件もいいだろう。今は、ちゃんとした陸地に着きたい気分でいっぱいだ。
いや、湿地も悪くないけどね……。
そんな感じで、のんびりしていた時だった。
「敵の接近です。これは……やばいですね。……アレッタ様すいません。」
【衝撃の波動】
いきなり、八咫烏が船ごと俺らを吹っ飛ばしたのだった。それは相当な威力だったらしく。十キロも飛んでしまった。ってどんだけだよ。
一瞬反逆か?と考えてしまったが、その後ろを見て考えを変えた。反逆ではないな。
いや、反逆のほうがありがたかったのか?
そこには【嫉妬の水蛇】がいた。
つまり、
「お前、まさかおとりになるつもりか!? やめろぉぉー。」
すると、八咫烏は脳内回線を使って。
「問題ありません、今回の勝利条件は相手がこの場所を荒らさないこと。私は、こう見えて強いのです。多少は弱体していますがね。」
「クソッタレェェェェ」
八咫烏には退場してもらおう。次回八咫烏VSレヴィアタン




