湿地の村巡り。{7}
なぜか、戦いを詳細に書けた。
人生は小説より奇なり という言葉があるが今の状況はそれに近いものがある。初めて見たかもしれん、フラグってほんとに立つものなんだな。半信半疑だったんだが……。
<悠長なこと言ってる場合じゃないでしょう、向かいうちますよ。>
(はいはい。)
と言っても、炎は聞かないだろうしなー-。
【全軍鼓舞】
あ、まずいスキル使われた。と思ったら力が上がってくる?どういうことだ?
<マスター、司令官の子のスキルです。>
………
……
…
と、ともかく何とかしなきゃまずいな。
「おっちゃん、一匹任せられる?」
「おう、たぶん行けるぜ。」
「他の子たちは一匹だけでも倒して、無理そうだったら時間だけでも稼いでくれ、頼む。 八咫とメランは一匹ずつ倒していって、俺も何とかする。」
「さあ、開幕の合図だ。【爆炎矢】」
燃え盛る矢がシーサーペントに襲い掛かり、爆発する。それが開幕の合図となった。
一匹。しかし、それは激戦。
ハイド達はなんとか、一匹だけを誘い込み、戦おうとする。しかし、シーサーペントは口から水を吐き出し、動きを鈍くしながら、飛び上がって応戦した。
両者にらみ合いが続く中、密かに、指揮官が全員に指示を出していく。全員の準備が終わったとき、最初に手を出したのは、
「くらいやがれ、【身体能力8倍】」
言わずと知れた男だった。
しかし、シーサーペントは仮にもB-ランクである。8倍程度では聞かずに、どんどん傷が増えてしまう。しかし、
「【単体治癒】」
仲間からの支援によってすぐさま回復していくのだ。
「続けー---」
【鉄壁】 【土壁】 【耐久上昇】
その様子を見て仲間も突撃する。攻撃の要である、敵の攻撃を一身に受ける前衛は誰一人欠けることがないよう、交代で担っていく。
後衛や中衛もそれに感化され、より最善の方法を探って攻撃する。
戦況を動かしたのはあの双子だった。
両方からの挟み撃ちに加え、上と下の上下攻撃を仕掛けたのだ。
息もつかぬような連撃、シーサーペントは防御することもできずに、傷が増えていく。さらに、
「よくやってくれた【賢者は歴史から学ぶ】」
偶者は規格外だが、それは賢者も同じ、偶者は自分のしたことを、もう一回できるが、賢者は他人がしたことを、そのまま同じ結果にすることが出来る。今回の場合は、
「シーサーペントの傷が倍になった!?」
「そう、これが私の力だよ。」
しかし、仮にもB-ランクすぐさま動き出し、その獰猛な口をあけ、鋭く尖った歯を回転させて噛みつこうとする。
「っ! 気を付けt」
すぐさま司令官からの注意がいく。しかし問題なかったようだ。
「問題ない、【全種混合魔法】」
またもや賢者によって放たれたそれは、本来混ざってはいけない魔法ですら混ぜた、真なる混合魔法だ。堅い外骨格を無視し、脆い内側を狙う。当然のように、シーサーペントはもがき苦しみ始めた。
「く、まだか。もう一回放てるけど、今度は口を開いてくれないよな……。」
「問題ない、【偶者は経験から学ぶ】」
賢者ときたら偶者。実はこの二人仲が良く、一緒によく遊んだ仲なのだ。
そのスキルどおりにシーサーペントは口を開いてしまう。
「ありがとう。【全種混合魔法】」
二回もの理を外れた魔法により、シーサーペントはついに力尽きた。
「よっしゃー--」
「やったー」
歓声が上がる。しかし、その音につられて二匹ほどつられてしまったのだ。
「まずいです。どうすれば……。」
みんなが慌てている中、攻撃に全く参加していなかったハイドだけが落ち着いていた。
「全員で一匹は受け持って、【偶者の一撃】を使ってもいいから、早めに。」
「わかった、誰か足止めを。」
「やるぜ。【泥手】」
一匹の下から、泥の形をした手が出てくる。そこまで、拘束力はなく、一時的に動きを止めることしかできないが、それで十分。なぜなら、
【偶者の一撃】
刹那、光線が、シーサーペントに迫った、終わった後、仲間が見たとき、シーサーペントは、深い傷をおいうずくまっていた、しかし代償も大きい、偶者こと橘花は呼吸困難に陥るほどダメージをおっていた。
「はや...く...ス...キル...を...」
それでもなんとか、賢者こと、紬に要件を伝える。
「しゃべらなくていいから、【賢者は歴史から学ぶ】」
同じように攻撃が入る。しかし、賢者にとってこれによる代償はない。
「すぐに、回復を」
「他の人は、ハイド君のサポートに……、要らなかったようだね。じゃあ休んで強者たちの戦いを見学して、これ以上の戦いは無理だよ。」
そう、ハイドはすでにシーサーペントを殺していた、それも無残に。
少し時をさかのぼってみよう。
一匹のシーサーペントが捕らえられたとき、ハイドはすでにスキルを発動させていた。
【黄昏の蜃気楼】
「これは幻想の世界、発動条件が難しいんだけどね発動してしまえばこっちのもの、意外と強いんだよ僕。そうでもなければリーダーなんてできるわけがないしね。」
そう言いながら、ゆっくりと進んでいく。さらにある地点を過ぎたところから、ハイドの姿が、一人、二人と段々増えていった。
焦れたシーサーペントが攻撃を開始する。しかし、その攻撃は、ハイドに当たろうとすると、通り抜けてしまうのだった。
「何で、攻撃が当たらないのか気になってるね……、今いる全部の僕はちゃんと僕だよ、偽物とかではない、正真正銘の僕。僕は、今体を蜃気楼にしているのさ。だから、こっちの攻撃は君に当たるよ。」
その言葉を証明するかのように一人のハイドがシーサーペントを傷つける。もうかつての面影はない、シーサーペントは怯えるウサギのように体を丸めてしまった。
「……なんだよ、面白くないな。ま、いっか。せっかくだしこれも使っちゃお」
【黄昏の終焉】
「この世界からは逃げれない、せいぜいもがき苦しむんでおいてね。」
全てのハイドから死を呼ぶ赤き光が世界を照らし、
シーサーペントは死に絶えた。
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