湿地の村巡り。{5}
すいません、遅れました。
「「「え、え~~」」」
「大丈夫ですか、流石に35対1はきついと思うんですが。」
「前提が間違っている、この新世界では、量より質だ、例えGランク10万人が集まって、Aランク1人と戦っても、Aランクが勝ってしまう。そういう世界だ。」
「さっさと来い。」
「「は、はい」」
領域魔法式がいい例だ、あの魔法は格下相手なら何体居ようが殺すことが出来る魔法だ。一つの特出した個しか生き残れなくなった。力とは量ではなく質だ。時代が変わる。
化け物だ、本当にそう思う。この俺ハイドはそう思った。皆もそうだろう。
こちらの司令塔と呼ばれる連携の要は最初に落とされた、まだ指示も出していなかったにもかかわらずに一撃でだ。
「そこ、頼む。」
「オッケー、【以心伝心】」
「混合魔法【全種】って相殺された!?」
「【身体強化8倍】 くらいやがれ」
次々と自信の持てる最強の技を放つ、最初は様子見で魔法を放つなんて言ってたのが恥ずかしいぐらいだ。しかし、【身体強化8倍】ですら、アレッタさんの速度に追いつけていない。【以心伝心】の双子の片方が落とされたことで連携が崩れた。このままでは、何もできない。作戦も意味をなさないものになっている。どうしようか。
「一矢報いる、おぉぉぉ【遇者の一撃】」
ちょっと待って、あいつが使ったのって自分がダメージをくらう代わりに相手に特大ダメージを与える技……。って躱されたー!?。
「さて、そろそろ終わらせるぞ。【速連射】」
無造作に、とんでもない速度で放たれた矢は、すべての人間に当たりゲームオーバにした。柔らかい矢なのに、なぜか衝撃で吹っ飛んでいるハイドは一つのことしか考えていなかった。
(やっぱ化け物ですね) それに尽きる。
「さて、みんなの大体の能力はわかった。まずは基本事項だ。
第一に陣形。 なんなんだ、あの陣形は、指揮官が分かりやさ過ぎるだろ。
守りやすいように中心にするのは良いが、格上相手だと大体破られる。指揮官はわざと端にしたり、指揮官自身が速さをあげて逃げ回るようにした方がいい。今回の一番の敗因はそこだろうな。
第二にスキルの使い方。見極めをつけて攻撃しろ。圧倒的な相手だった場合、【遇者の一撃】だったか? あれは、誰かが犠牲になって相手を止めている間に放つ方がいい。威力は確実に高いからな。
後は……、前衛と後衛の間に入る役割が必要だな、これまでも感覚でやって来たんだろうが、今回編成は組みなおした方がいい。
ここからは個人で言うから適当に待っていてくれ。」
「まずはハイドだな、指揮官落とされて、動揺したりするのはわかるが、暗殺者である君が指揮を取るのは間違っている。あの時は、最初から全体に【存在軽薄】をかけてなかなか見られないようにするのが正解だ。どうせレジェンドなんだろ。」
「っ……」
図星か、流石にエキストラだったら、おれの解析眼に引っかかっていただろうし。
「次は【以心伝心】の双子だ。 連携が取れていて、スキを与えずに絶え間なく攻撃していたのはよかったが、何でどっちも真正面から向かってきたんだ?」
「えっと、それは喧嘩したからです。」
「ケンカしないようにね、実践だったら確実に死んでいたんだから。」
「「は、はい。」」
「次に、混合の子……、君は全く問題がない。死角からの技、仲間の邪魔にならないような立ち位置。魔法を打ちながら、適切な場所にどうできることは、二年前の俺ならできないだろうな…。」
「ですが、私の魔法は相殺されてしまいましたが……。」
「相手が悪かった、俺も使えるしな。それは、だんだん慣れていけばいいさ。」
「ありがとうございます。」
ほんとにこの子はよくやっていた。多分一番の才能の塊だろう。
「そういえば、お前のスキルは何だ?」
「えっと、【賢者】です。」
「それはまた大変そうなスキルだな。後で個別に教える。大方、スキル制御ミスったの君でしょ。」
「なんでそれを!」
「さっきの魔法どもの威力が一番高かったからな、他のじゃ間違ってもあの威力は出ない。」
それを聞いて、他の魔法使いがガックシと肩を下した。
「次は8倍の奴だ、何で俺はお前より速かったんだと思う?」
「動きに無駄がないから?」
「それもあるな。しかし、元の身体能力が違いすぎるってのがある。8倍強化は魅力的だが、それだけに頼っていると、確実に挫折する。元が一の奴が8になったって、元から10の奴にはかなわないだろ。普通に筋トレした方がいい。」
過去の俺だからな。
「次はまた【偶者】だ」
「あの、まだあるんですか?」
「お前のスキルは何だ?」
「……【偶者】です。」
まんまかい、
「お前もスキルの使い方がきつそうだから後で直接見る。」
「は、はい。」
まだまだ、あるぞ、なんだったらこっちのほうが戦った時よりきつい。
PV見たらびっくりしました。




