実戦{1}
パソコン壊れました。
前回から1ヵ月、ついに戦争が始まった。
相手の主力には異端審問官8席と聖騎士の連中が何人かいるらしい。
「終わらせにかかっているな」。と眉をひそめながらクトがつぶやいてた。
それほどまでに一般兵の量が多いのだろう。こちらの10倍はあるようだった。
「兵法では城を落とすのに10倍の兵力差がないと厳しいって言われてるから大丈夫なんじゃないですか?」
一人の間抜けな味方兵が声を上げた。
苦笑しながら諭したのは爺さんだった。
「いや、10倍の人数はおるじゃろ。」
「あ」
「それと、この世界でその常識は通用しないと思うぞ。」
「個が軍に勝てる場合もあるからな。」
戦力差を完全に捉えて10倍の戦力で行っても無理だろう。1がどんなに集まろうが1000を持つ個には勝てないのだから。
開戦の合図の火矢が放たれ、一斉に攻め込んできた。
2週間ぐらいかけて作り込んだ城壁だがもう既に壊れている。
というか、スキルで簡単に突破できるのずるくないか?相当な罠を仕込んだのに。
突如凍り付く壁や典型的な落とし穴。無味無臭の毒部屋、壁が迫ってくる部屋などを突破して予想以上に早く第一防衛ラインに敵がたどり着いた。
「聖騎士ヴァイン。いざ参る。」
名乗りながら巨漢が扉を破る。
罠が意味をなさなかったのも当然だな。恐ろしい筋力だ。
慌てて魔法部隊が援護に入るも味方の一人がすでに打ち取られようとしてた。
正直、一人ならまだいいかと思ったその時、打ち取られようとしていた人物がにやりと笑う。
それと同時に隣にいたクトが邪悪な笑いを浮かべた。
「ボン」
クトが小さく呟くと一気にその人形が爆散した。
聖騎士は死ぬことがなかったが重傷を負う。
一度バレたならもう用はないと言わんばかりにそこらかしこでクトの人形が爆発し始めた。
その隙に本物の前衛部隊が割り込み、一時的に均衡状態を作り出した。
「くそったれ」
悪態を吐きながら、聖騎士の補佐をしていた人物が間に割り込んできた。
片手剣で降り注ぐ矢や魔法を弾きながら聖騎士を回収していく。
「上手いな。」
「8席の可能性もありますね。」
フィロスと話していると、チェス爺が話しかけてきた。
「二人ともこの状態を利用して敵を混乱させたい、城の地下通路を使って敵の補給基地を潰してきてくれないか。」
ふむ、面白そうだ。確かに有効な手でもある。
「やるか。」
「はい。」
急いで準備を始めた。
着替えを済まして、フィロスと話しながら地下通路を歩いていく。
「僕はこうして巻き込まれてますけど、アレッタさんは日本からわざわざ来てくれるたんですよね?、何で来ようと思ったんですか?」
「昔の夢が旅をすることだった。 こんな世界になったがこれはこれで楽しもうという気持ちが湧いてな、ついでに、友の借りを返すためににここにきた。」
「友?」
「樹皇帝フィロだ。」
「え、もしかしてアレッタさんってめっちゃ偉い人だったりします?」
「名誉公爵」
「ひょっとして様つけた方が良いですか。」
「肩書というものは世界が安定したときに初めて効力を発するものだ、気にしないでくれ。」
「……分かりました。」
「それよりもついたぞ。あれが補給基地の一部だ。」
僅かに光っている部分を指さしてアレッタが手招きする。
「一部ですか?」
「敵もバカではない。確率は低いと考えながらも補給基地は分けているのだろう。」
地中から這い上がり、今まで通ってきた通路を破壊する。
「帰りはどうするのですか?」
「敵の服を着て攻め込むフリをして帰る。」
「…‥予想外です。」
「それより早くいくぞ。」
「了解っす。」
その後、闇に紛れて三箇所ほど火で物資を燃やした後、敵陣の本部へ潜入することになった。
「何でこんなことになったんですか?」
訳がわからないというふうにフィロスが聞いてくる。
「何でだろうな。」
適当に返した後、その辺の兵士の服を奪って本陣に入っていく。
特に警戒もされず門を潜っていくことができたので一安心していた時だった。
異常な気配を感じて当たりを見回す。
魔力が集中されているその場所には 浮かび上がる蝋人形と背中に魔法陣を乗せた幼女がいた。
こちらに目を向け、幼女が指をさす。
突如、突風が舞い足元を薙ぎ払う。偽装を続けるためにそのまま倒れようとするが、その風に埋められた呪いを検知して慌ててフィロスを抱えながら飛び上がった。
【侵入者だ捕まえろ】
重く響くような声が当たりを覆い尽くすとともに、それまでこちらを向きもしなかった兵士が一斉に飛びかかってきた。
「ふざけんなッ」
焦りながら自分に課してリミットを解除する。
これはもう8席とかいうレベルではない。化け物であると理解したのだ。
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