自分が壊れるくらい愛おしい君との一年。
その日は、快晴で、風が強かった。
4月3日午前8時。とても不安だった今日、僕は中学校に入学する。同じ小学校の人はいなく、独りぼっちでの新学校生活のスタートだった。
母と一緒に何も喋らずただ歩き学校へと向かう。
桜は満開だった。
集合団地を通り、坂を登っている途中に右手には大きな施設がある。
その左には誰一人いないお墓がありそして、その奥に切り開いた様にある綺麗な中学校。
入学式という看板の前で写真を撮る。
ここで母と別れる。
「気をつけて。自信を持って。」
そう少し心配そうにこちらを、見つめながら母は言った。
「分かったよ。」
本当は不安なのにそう答えて少し早く歩き教室へと僕は向かった。
僕は新しい教室の扉を横に開ける。
少し早く来たせいか、人はまだ少ししかいない。
光が差し込んでいる中、教室の中はとてもいろんな人がいた。
こんな入学式なのに、静かに読書をする人や、いつもの仲良しメンバーと会話をする人。そして明らかに緊張している人。様々な光景が見れる中自分の先へと座る。隣の席の人は早くも来ていて、静かに教師が来るのを待っていた。
「初めまして。」隣の髪が長くてとても美しい女性が僕に声をかけ、少し会釈をしながら微笑んでいる。
僕はかなり不安がほぐれ自分も会釈をした。
「君、名前なんて言うの。」
不安だった中での精一杯の声で僕はそう聞いた。
「私?私は玲。神楽玲って言うの。あなたは?」
「僕は早乙女凪っていいます。」
はぁ…なんとなくだけど疲れてしまった。
とても初対面とは思えない感じで話してくるこの感じは僕はとても苦手だった。
「へぇ…古風でお洒落な名前だね。」
少し低めの声で、そう言った神楽さんはとても美しく僕は思えた。なんとなくだが少し恋愛感情が芽生えた気がする。