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君と過ごした日々 ー新大統領の茶道の師ー  作者: shoundo
第1章 君の名を聞かせて
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第3節 授業の方針/第3・1節 施設見学

何事もない休日が終わり、翌朝の9時、私達5人は会議室に集合した。

先日と違い、座席は円卓ではなく、すべての席が正面にあるスクリーンの方を向いていた。

スクリーンに時間割が映し出され、簡単な説明が続いた。


寮長:「休みは日曜日です。一か月間で何らかの成果を出していただきたいと思いますが、具体的な内容は、明日以降、所定の時間で大統領とお話して決めてください。それから皆様には、大統領府内の一部の施設が今日より解禁されます。では今から各施設の概略を説明します。」


スクリーンに施設の名前と簡単な写真が何枚か映し出された。

その中で私に関係しそうな施設は、和室と図書室、各種道具部屋の3ヶ所だけのようだった。


寮長:「本日は夕方5時に、もう一度この会議室にお集まりください。皆様には、今日中に施設や必要な道具類の確認をしていただきます。足りないものがあれば、夕方5時に集合した際、私にご連絡ください。なお、施設の詳細な説明は、それぞれの施設長に伺ってください。施設の場所は大統領府内の案内板を参照してください。それから寮に門限はありません。徹夜はお勧めいたしませんがね。では皆様、夕方5時にまたお会いしましょう。」


部屋が明るくなり、寮長が会議室から出ていった。


小柄な女性:「私は劇場が見てみたいけれど、一緒に行く方はいらっしゃいますか?」


細身の男性:「あぁ、劇場なら私も必要なので、行きましょう。」


私:「私は、図書室へ行きたいのですが、どなたか行きますか?」


体格の良い男:「では俺も行こう。そちらの先生はどうするのかな?」


初老の男性:「わしは中庭にあるという窯を見たいので、別行動じゃな。では、行くとするか。」


私は体格の良い男と、大統領府1階にある図書室へ向かった。


図書室の施設長:「ここは国会図書館にも負けないくらいの蔵書を電子データとして保存しています。コピーなどは自由ですので、どうぞ資料として寮までお持ちください。ただ、外部への持ち出しはできませんので、寮から出られる際には、コピーした資料を全て回収させていただきます。」


体格の良い男:「それは残念だ。」


図書室の施設長:「手で写したものまでは取り上げませんので、そのあたりが抜け道ですね。」


体格の良い男:「なるほど。」


私:「蔵書の目録などはありますか?書籍名がわからないものもあるのですが。」

図書室の施設長:「蔵書の背表紙だけ写した書籍があります。その名も『蔵書の背表紙』という本です。おそらくそれで調べれば出てくるかと思います。」


私:「ありがとうございます。後で見てみます。」


図書室の施設長:「何かあれば、私以外にも司書が常に2,3人常駐しておりますので、どなたかに聞いてください。では私は失礼します。」


私:「ありがとうございました。」


体格の良い男:「さて、俺は少し本を見てから行くが、あんたはどうする?」


私:「私は別の施設を見てみます。ここからは別行動ですね。」


体格の良い男:「そうか、じゃあ、夕方会議室で。」


私:「はい。」


私は8Fにある和室へ移動した。私は施設長に茶道を教える旨を伝え、茶道で使う炉が切ってあるかを聞いてみた。


和室の施設長:「和室は全部で5部屋あるのですが、残念ながら、炉のある和室はありません。」


私:「そうですか。とりあえず、5部屋全部見せていただいてよいですか?」


和室の施設長:「もちろんです。」


5つの部屋はすべてに床の間があった。

広さはすべて違い、四畳半、六畳間、八畳間、二十畳間、そして・・・。


私:「この部屋は何畳間ですか?ものすごく広いのですが。」


和室の施設長:「八十畳あります。」


私:「八十畳ですか、それはすごい。」


和室の施設長:「茶道では、どの部屋を使われる予定ですか?」


私:「そうですね、四畳半か六畳間で充分な気がします。」


和室の施設長:「わかりました。その2部屋は、毎日、暖めておきますので、他の部屋をご所望の際は言ってください。」


私:「はい。ありがとうございます。」


私は和室を後にして、道具の置いてある各種道具部屋へ行って茶道具について尋ねてみた。


各種道具部屋の施設長:「茶道具関連はあちらになります。高いものから安いものまで揃っていますが、どうなさいますか?」


私:「まずは稽古用で充分ですが、一通り見せていただいてよいですか?」


各種道具部屋の施設長:「もちろんです。」


茶道具は、薄茶と濃茶の平点前に必要な道具が一通り揃っていた。

棚物や唐金でできた茶道具は全く見当たらなかったが、帛紗や薄茶茶碗などは大量に置いてあった。


各種道具部屋の施設長:「あぁ、そこの一角は、以前、ここで茶道を教えようとした先生が発注したものです。結局使わなかったのですがね。」


私:「以前、茶道を教えようとした方がいたのですね。」


各種道具部屋の施設長:「子供教室を開く予定だったのですが中止になりましてね。もったいないですよね。ところで先生は何か発注されますか?」


私:「中々、微妙なタイミングで質問されますね。発注しにくいです。」


各種道具部屋の施設長:「いやいや、失礼。まあ冗談はともかく、何か必要なものがあれば遠慮なくいってください。爪楊枝からロケットまで、なんでも用意いたしますので。」


私:「心強いですね。まあ、今のところは大丈夫なようです。」


その後、何ケ所か適当な施設を見て回り、夕方の5時近くになったので会議室へ向かった。


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