第10節 授業第7週/第10・1節 別れ
第7週1日目、私は何食わぬ顔で大統領を迎えた。
私:「ようこそお越しくださいました、大統領。」
大統領「・・・。」
私:「まずは座ってください。もしご気分が優れないようでしたら、授業の再開は明日でも構いませんよ。」
大統領:「先生方はすごいな。どの先生も落語の先生の話をしない。」
私:「そうですか。」
大統領:「すまないが今日は休ませてくれ。他の授業も休んだんだ。明日は来るから、絶対に来るから。」
私:「わかりました。では明日、お待ちしています。」
大統領:「ああ、また明日。」
第7週1日目の授業は、こうして終わった。
私は寮の部屋で少し寝た後、遅めの夕食を取りに食堂へ行った。
そこに儚げな女性が座っていた。
不思議なことに、周りには誰もいなかった。
儚げな女性:「お久しぶりね、先生。少しよろしいかしら?」
私:「もちろんです。お隣よろしいですか?」
儚げな女性:「どうぞ。文部科学大臣とだいぶ仲良くなったようね。良いことだわ。」
私:「ありがとうございます。」
儚げな女性:「大統領を導いてあげて。あなたが最後の希望。」
私:「それはどういうことでしょうか?」
儚げな女性:「先生ならもう気づいているでしょう。大統領は副大統領の操り人形。でも文部科学大臣は秘密を握っている。大統領と大臣を引き合わせてくれた先生には感謝しかないわ。」
私:「大臣から大統領へ何かを語らせたいということでしょうか。」
儚げな女性:「先生は賢いわね。今週末、私は病院へ入院することになったの。先生とお会いできるのも、これが最後。あの兄弟の動きには注意してね。では失礼するわ。」
私:「いろいろなアドバイスありがとうございました。」
私は、儚げな女性が見えなくなるまで立っていた。その後、食堂の調理師が声をかけてきた。
調理師:「先生、食券は買われましたか?」
私:「ごめんなさい。今日は部屋で食べることにします。」