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「うわ、すごい嫌そう」


エリスが椅子を横に向けて肘をつきながら俺のほうを見てニヤつきながら言ってくる。


「強くなりたいんじゃないのぉ?」

「お前なあ。なんで俺が強くなりたいかわかるか?」

「私に勝つためでしょ?なら私が直々に教えてあげようと思ってさ。」


常にニヤニヤしながら俺を見ているエリスに腹が立たなくもないが……言っていることに一理あるような気がしないでもない。

ここは本当に手伝ってもらったほうがいいんじゃないだろうか?どうせこのままガムシャラにやっててもエリスに勝てるビジョンがそんなに見えない。

ちらっとドーマンを見るとドーマンも同じ考えのようだ。教わったほうがいいんじゃないか?と言っている気がしないでもない。


「なら教えてもらおうかな。今日の放課後あいてるよな?」

「えっ」

「なんだ?今日は都合が悪いのか?」

「いや、そうじゃなくて……わ、私も一緒に修行していいの?」

「お前が言ったんじゃねえか。その代わりちゃんと教えろよ。」

「う、うん。教える。」


なんだこいつ。急に大人しくなりやがって。まさか俺のプライドが高すぎて断ると思っていやがったな。

急にモジモジしだして大人しくなったエリスとは反対にドーマンが今度はニヤニヤしている。

そうしている内に休み時間が終わり、チャイムが鳴ったと同時に魔法学の先生が入ってくる。

この男の先生は毎回時間ぴったりに入ってくる非常に几帳面な人だ。魔法の説明もわかりやすく、大変お世話になっている。言葉遣いだけは凄い気だるそうなのが謎だ。



「おーいお前ら席に就けー。授業始めるぞ。」


そう声を出すといきなり黒板に文字を書き始める。早い。あまりにも早すぎる。

慌ててノートを取り出す。でもその前に。


「じゃあ放課後だぞ。場所は第3訓練場だ。絶対こい。」

「う、うん。行く。」


エリスはそれだけ言うと顔を前へ向けて授業の準備を始める。

こいつ本当に来てくれるんだろうか?少し不安だぞ。正直俺は口が悪いからな。直すつもりもないが。

ま、今は授業に集中だ。放課後のことは放課後に考えよう。


「何度も言うようだが、魔法は己の体内のマナをつかって形成し、詠唱することで……」


俺は魔法の授業を聞き、ノートを取りながら放課後のことを考えていた。
























「や、お待たせ。」

「やっと来たか。さあやるぞ修行」


時間はたって放課後になり、エリスがこちらに走ってくる。俺もエリス手にはお互いの武器を、俺は戦斧、エリスは剣を持っていた。

他の奴らからしたらエリスと二人で修行することはうらやましいらしく、教室を出る時に何だかすごい目で見られていた。俺は心が強いから耐えれたが、あの視線に耐えれない奴もいただろう。つまり俺は凄い。


「まずは準備体操だ。怪我だけは絶対にするな。」

「はーい。」


エリスは授業前の態度ではなくもうすっかり元に戻っていた。何だったのだろうかあの時の態度は。まあそれは置いといて、まずは準備運動をしてから魔力を整える。心を落ち着かせて魔法をすぐ打てるように、コントロールできるようにする。


「よし、なら早速【対エリス】作戦会議を開始する。」

「わー。本人がいるのに……」

「お前が教えるって言ったんだろうが。」

「まあいいけどね。教えたところでだし。」

「まるで勝てないって言ってるようだな。」

「うん。」

「よし決めた。まず一回模擬戦をやるぞ。ボコボコにしてやる。」

「その方がいいかもね。やってみて、何が悪かったかを教えるね。」


俺とエリスはお互いに刃を抜いてある武器を構えて少し離れてから対峙する。この瞬間が一番慎重になる。相手の動きを見て、動く。簡単なことのように思えるがエリスはとにかく速い。こちらから動くとすぐ合わされる。少しカウンター気味に動くのがいいと模擬戦の先生から教わった。



集中だ。集中。全神経を張り巡らすんだ。足に力を入れていつでも動き出せるようにする。

魔法もいつでも打てるようにする。詠唱の長い魔法は使わない。身体強化の魔法はもう使っている。この状態でエリスの攻撃に反応できないなんて事は1度もない。避けれるはずだ。



「じゃあ行くよ。




アクアガン。」


来た!!


エリスが剣を持ってない方の手を前に出し魔法を放つ。当然無詠唱だ。くそったれが。

風を切る速さで水の塊が飛んでくる。だけどまだ目で追える。避けられる。体を少し斜めにそらし水を避ける。

その間にもエリスは距離を詰めて切りかかってくる。戦斧を面にして受け止めて、勢いをつけて反発するかのようタンッと押し返す。ほんの一瞬だけエリスが態勢を崩す。その隙を見逃したら負ける。本能的にそう感じた。


「うぉら!」

「きゃっ」


俺は思いっきり戦斧をエリスに目掛けて振りおろす。怪我は絶対にするなと言っておきながら絶対怪我をするであろう攻撃だ。

しかし当然でもあるが振りの大きい攻撃なのでエリスも態勢を立て直して防御が間に合う。どうやら避けるまではできなかったようだ。しかし間に合うが力の差や武器の大きさで俺が無理やり押し勝つことができ、そのままエリスを吹き飛ばす事に成功する。

軽く飛ばされているエリスにすかさず距離を詰める為に走り出す。バランスを崩している相手にはとにかく攻めるのみ。



次の攻撃で剣を破壊できるかもしれない。そう思うとこの隙は絶対に見逃せ

「アクアバレット」


「ぬあっ!ぐっ、!くそっがああっ!!!」


エリスが態勢を崩しながら、しかも俺の全力の戦斧の攻撃で弾き飛ばされながらも俺に魔法で攻撃してきた。


しかも今回の魔法はアクアバレット……アクアガンの強化で何個もの水の塊が俺に飛んでくる。

戦斧を振りかぶっていた俺は避けたり防御はできるはずもなく何個も水がぶつかってきて、俺はその場に倒れてしまう。


まずい。早く立ち上がらなければ。



「はい。私の勝ち。」


しかし急いで立ち上がる前に、すでにこちらに来ていたエリスが俺の顔の前に剣を突き立てていた。

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