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「勝者、エリス=トーモッド!!」

「クソが!!!」


俺は地面に膝をつけて拳を振り下ろす。今日も負けたのだ。


ここは魔導学園の模擬戦の広場だ。学園は凄く広く、クラス全員がペアを組んで、離れて模擬戦をしてもスペースに余裕がある模擬戦場で、しかも3つ設けられている。そのうちの第3戦場を使って今日俺たちのクラスは授業をしていた。


まだ他のペアが戦っている場所もあり、魔法を駆使して戦う奴や、剣術で圧倒する奴、調子に乗って攻めてカウンターを食らって倒れている奴もいる。俺はそいつらを横目に見ていた。


「対戦ありがとうございました。」


そう言いながら俺に手を差し伸べてくる奴がいる。


エリス=トーモッド


黒く、腰まで伸ばした髪、数多く魅了されたであろういつも少しだけ開ききっていない金色の瞳。スタイルもよく、ファンクラブなんてやつもあるらしい。


「……対戦ありがとうございました。」


俺は言いたくもない言葉を言い、伸ばされた手も借りずに起き上がる。

手を借りずに起き上がっただけで俺に非難の目を向けてくる奴が何人かいる。こいつどんなけ愛されてんだクソが。


「前戦った時より貴方強くなってる?」

「あぁ?」


不思議そうな顔で言ってくるエリスに膝についた土を払いながら返事をする。

つーかボロ負けだったんだが?こいつは俺の神経を逆なでするのが得意なのか? お?


「私のアクアガンって自分でいうのもなんだけど結構速いの。」

「……まあそうだな。」

「今まで対戦してきた人は避ける人はおろかガードできる人も限られてたし。」

「なにがいいたいんだ?」

「とっさにでも避けられて、しかもカウンターを狙うのは貴方が初めて。凄い。」




ちょっとてれる。




「でもまだ私には勝てないなぁ。」

「そうかよ。」


そしてクラス全員が模擬戦を終了したタイミングでチャイムがタイミングよく鳴り響く。

この後は昼食の時間だし、食堂で飯を買わなければならない。もたもたしてると売り切れてしまうし、急がねば。


「また対戦しようね。」


気のせいだと思うがエリスは少し寂しそうに不安そうに食堂に向かう俺にいってくる。

何を不安がっているかは知らないけど俺はお前を負かすまで模擬戦を続けるに決まっているだろ。


「何回でも戦ってやるよ。俺が勝つまでな。」

「じゃあずっと対戦するんだね。」

「は?」




*************************************************






「で、また負けたんすか。」

「いやでもあれは仕方がねえよ。勝てねえよ。」

「その話はやめろ。」


昼になり、食堂でいつものメンバーで食事をとる。

負けたかどうか聞いてくる赤髪で制服を少し気崩しているチャラくいつも笑顔なのはライル。茶髪でごつく、いかつく、目だけで人を殺せるんじゃないかと思われる、勝てないと初めから言ってくるのはドーマンだ。

こいつらとは1年前からの友達で今もこうして三人で食堂に来る。口の悪い俺と一緒に修行したり町で遊んだりなかなかに付き合いのいい奴らだ。


「けど正直今回はだダリルもいい線いってたからな。」

「え?マジすか?ダリルちゃんやるじゃないすか。教えてくださいよ内容を。」

「そんないい線というほどでもないだろ。」

「聞きたいっす聞きたいっすどんな内容でも!!」

「よし同じクラスの俺が教えてやる」

「やめろ」


俺とドーマンは同じクラスなので毎回試合を見られる。逆に俺もドーマンの試合を見ることもある。

ドーマンはまさかの弓と剣を使って戦う。ドーマンは魔法が苦手で使える魔法が身体強化しかない。身体強化だけだと距離を取られて魔法を連発されて負けというパターンが多くなる。そこで近距離では剣、距離を取られたら身体強化して威力が高い弓。という戦い方をしており、勝率も悪くない。

ちなみに俺とドーマンは顔が怖いらしく、二人で話すと大変怖がられる。気を付けよう。


そしてライルも剣を使う。クラスは違うし試合も見れないが一緒に修行したときに剣を使って見せてくれた。ライルは攻撃一辺倒な剣筋で、エリスとは全く型が違う。

魔法も結構使いこなしており、雷系統の魔法が得意だ。

ちなみにライルは顔も怖くないし人懐っこいしなんなら整っている顔してるしモテる。なぜだ。


「聞いて驚けライル、だダリルがエリスのアクアガンを避けてカウンターをした。」

「!?!?!?!?!!?!?!?!!?!」

「そしてそのまま攻め続けて勝った。」

「勝った!?!?!?」

「勝ってねえよバカ!」


負けたわ!


「で、どこまでが本当なんすか?」

「勝った以外は本当だ。ただしダリルのカウンターは外れてそのまま劣勢に追い込まれたって感じだ。」

「すっご。あいつのアクアガン避けたの講師の先生以外いなくないすか?」

「その講師を真似してみたんだよ。あの人は強いから……教えてもらったんだ」

「はへぇ。努力家だなダリルちゃん。」

「そのちゃん付けいい加減やめろ」






俺達はそのまま話しながら飯を食い終わり、教室に戻る。ライルと別れて席に着く。まだ休み時間は終わってないが早めに座っておいて損はないだろう。

ちなみに俺の席は窓際の5列ある3列目、ドーマンの席は後ろにあり、たまに、ごくたまーにだが授業中でも話したりする。

そして前の席はなんとエリスが座っている。どこまでも俺の前を行きやがって……今に見てろ。今日も修行だ。


「ダリル。今日も修行か?」

「ああ。お前も一緒にするか?」

「すまん。今日は予定があるんだ。また誘ってくれ。」

「ならしょうがないな。」



ドーマンが後ろから声をかける。ここ最近の俺は特に修行を増やしている。エリスに負けたくないってのもあるが、近々学園で国の騎士も見に来ると言われている武術の大会があるのだ。ぜひとも勝って武勇を知らしめたい。






「私がその特訓手伝ってあげよっか?」

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