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生まれた町

「おい!見ない顔だな」


ナッシュとアーシェは、そのまま通り過ぎようとした。


「待て!そこの女、名前を言え」


肩を掴まれたアーシェは、名前を告げた。


「アーシェ」


「アーシェか、今から俺に付き合え」


「は、嫌です」


「いいから、来い!」


強引に手を掴まれたアーシェは、引き摺られそうになったが、ナッシュが引き留めた。


「何処に連れていくの?」


「お前は、要らん、誰かこのガキを引き離せ!」


男達は、ナッシュに手を掛けたが、その手を振り払われた。


「調子乗るなよ!」


手を掛けようとした男は、ナッシュに殴り掛かった。

ナッシュに殴り掛かった男の拳は空を切り、背中を押されて転んだ。

アーシェも男達にうんざりした。


「いい加減、止めて貰える」


「このアマ、この俺が誰なのか知らないのか」


「はい」


「俺は、この街で一番偉いバスク ドラン伯爵家の長男、ブガート ドランだぞ、

 この街で、俺に逆らって生きていけると思うなよ」


「そうですか」


ナッシュとアーシェは、その場を去ろうとしたが、男達は道を塞いだ。


「いい加減諦めて、大人しく付いて来い」


「・・・・・」


返事をしなかった事に、男はナッシュ達が諦めたと思った。


「ハハハ、初めから素直に従えばいいのだ」


ブガートは、アーシェの腕を掴み連れ去ろうとした。

ナッシュは、ブガートに詰め寄り、鳩尾を殴った。

ブガートは、息が出来なくてその場に蹲った。


「アーシェ、行くよ」


ナッシュは、その隙にアーシェの腕を引いてその場を去った。


「ナッシュ、何処に行くの?」


「この街を出る」


「あいつら追って来るよ」


「構わない」


ナッシュは、街を出て行った。

無言で歩くナッシュの後ろをアーシェも付いて歩いていると

後ろの方から馬の足音が近づいて来た。

アーシェが振り向くと追って来ていたのは馬に乗った兵士達だった。


「ナッシュ、不味いよ、あの街の兵士が大勢やってくるよ」


ナッシュは、振り向き止まった。


「アーシェ、戦闘になったら出来るだけ近くにいて」


「あ、うん・・・」


馬は、ナッシュ達の前に回り込んで止まった。


「お前達に聞きたいことがある、大人しく従い、付いて来い」


「聞きたい事があるなら此処で聞いてよ」


「いいから付いて来い」


「嫌です」


「ならば、仕方ない、この者達を捕らえよ!」


兵士達は、馬から降り、ナッシュを捕らえに掛かったが

ナッシュに躱され続けていた。


「もう良い、痛めつけてでも捕らえよ」


指揮官の命令に兵士達は、剣を抜き構えた。

ナッシュは、剣を抜くとそのまま切り掛かり、兵士の腕を切り飛ばした。


「ぎゃぁぁぁぁ!!」


「き、きさまぁぁぁ!」


兵士達は、激高してナッシュに切り掛かったが、

ナッシュは、剣を合わせる事もなく切り伏せて行った。


「お、お前は、一体何者なんだぁぁ!」


兵士を倒され、唯一残っていた指揮官の男は、叫びながらナッシュに切り掛かったが

あっさりと切り倒した。


ナッシュは、持ち物を奪い、兵士たちが乗っていた馬に跨った。


「アーシェ、行くよ」


隠れていたアーシェは、ナッシュの後ろに乗った。

ナッシュは、馬を走らせたが上手く走らなかった。


「ナッシュ、あなた馬を走らせたことは・・・」


「ない・・・」


「わかったわ」


アーシェが前に乗り、後ろにナッシュが乗った。

馬での移動は、思ったより早く次の街に到着した。


次に到着した街は、冒険者登録したガウンの街だった。


「アーシェ、少し待って」


「どうしたの?」


「行きたい場所がある」


アーシェは、ナッシュに従い馬を走らせた。

翌日、ナッシュの指定した場所に到着した。


「ここは?」


「僕の生まれた町だよ」


アーシェの見た光景は、街だった事は分かるのだが、残っていた家屋はボロボロで

馬を止めた広場の真ん中には土の色が変色した場所もあった。

その中を、ナッシュは、一件の家に向かって歩いていった。

アーシェが後を付いて行くと、ナッシュはその家の裏手に回り、

墓の様に並んだ石の前に座り手を合わせた。


「父さん、母さん、姉さん、ただいま」


ナッシュは、立ち上がり家の中に入って行った。

アーシェも付いて行くと、ナッシュに勧められてその場にあった椅子に座った。


「ねぇ、この町はなんでこんな事に」


「うん、この町はね、普通の町だったんだけど、僕が5歳の時に魔物の集団が襲って来たんだ」


「じゃぁ魔物の仕業でこんな事になったの」


「違うよ、やったのは人間だよ」


「え?」


アーシェは、何でと疑問が浮かんだが、黙って聞く事にした。


「魔物が襲って来た後に、貴族の兵がやって来て女の人と食料を求めたんだ。

 でも、町の人は反対したんだ。そうしたら、兵達が町の人を殺し始めて・・・

 皆、逃げようとしたけど捕まって殺された。

 僕は、姉さんのおかげで助かったけど、その姉さんも殺された。

 結局、生き残ったのは、僕だけだったよ。

 それから、5年間、ここで暮らしていたんだ」


「1人で?」


「うん、1人と言えばそうかな・・・・・」


「1人じゃなかったの?」


「う~ん、良くは覚えてないけど色々教えて貰った気がするけど

 思い出せない。

 ただ、魔法や剣の使い方を覚えた事は確かなんだ」


「ナッシュは、これからどうするの?」


「この町の人の仇を討つ」


「そうなんだ、相手は、分かっているの」


「うん、バウマン ラディッシュ」


「そっかぁ~」


「アーシェを巻き込もうとは思っていないから先に話したんだ。

 だから、離れて貰っていいよ」


ナッシュは、そう言ってアーシェの顔を真剣な眼差しで見た。



不定期投稿ですが宜しくお願い致します。

暖かい目で見て頂ければ幸いです。


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