街
イヴの亡骸の横で眠っていたナッシュは、夢を見ていた。
父さんと母さんと姉さんが、ナッシュを抱き締めている。
すると、ノーマンが話し出した。
「ナッシュ、1人にしてしまってすまん。
父さん、皆を、守れなかったよ。
でも、シルビィとイヴのおかげで、おまえが生きているから嬉しいよ。
ナッシュ、これからも父さん達の分まで生きてくれよ」
次に母さんが話し出した。
「ナッシュ、一緒にいてあげられなくてごめんね。
でも、母さんは、ナッシュの事、ずっと応援してるからね」
最後に姉さんが話し出した。
「ナッシュ、迎えに行けなくてごめんね。
行こうと思っていたんだけど、途中で力が入らなくなって・・・
でも、会えたね。見つけてくれてありがとう。
あとね、もう、お姉ちゃんは、傍にいてあげられないから
好きな人が出来たら、結婚していいよ」
「「「ナッシュの事、皆で見守っているからね!!」」」
ナッシュは目が覚めると、横に居る姉を見た。
「姉ちゃん、大好きだよ・・・」
ナッシュは、姉の亡骸を背負い、町に戻って行った。
町に戻ると、家に入り、食べ物を見つけて食べた。
その後、父と母と姉の遺体を家の裏に持って行き、
穴を掘って、埋めた。
3人を埋葬した後、手を合わせた。
「父さん、母さん、姉ちゃん、皆、近くに埋めたから寂しくないよね、
僕は、寂しいけど、頑張るよ」
ナッシュは、町を回り、食料と武器を集めて、家に持って帰った。
それから、毎日、体の中心にあった塊は、前世のラノベやアニメにあった魔力だと思い
毎日、使える様に訓練をした。
他にも、自分が、何が出来るかを確かめた。
勿論、体も鍛えたし、剣の稽古もした。
そうして、ナッシュは、この廃墟と化した町で5年間、1人で生き抜いた。
普通の子供なら。生き延びる事は、不可能な事だが、
加護と前世の知識を使いこの町で生き続けた。
5年前、ナッシュが、戻って来た時は、屍の山だったが、毎日、皆を埋葬し、畑を耕した。
そして、我が家を修復した。
5歳の子供だったので時間も掛ったが、それでも毎日続けて行った。
年齢が、増す毎に作業も捗り、技術も魔法も上達した。
そして、10歳になった今、ナッシュは、この町を去る事に決めて大きな街へと歩き出した。
町を離れた事の無い、ナッシュにとっては、何処に街があるのかも分からないから
取り敢えず、道に沿って歩く事にした。
町から持って来た物は、剣を2本と食べ物、それと、皆の家や死体から貰ったお金だった。
なので、ナッシュの持っているお金には血がついている物もあるがナッシュは、気にしなかった。
野宿をしながら数日間歩いていると、街が見えた。
ナッシュは、街に向かって歩き、入り口となる門に到着した。
門の前では、多くの人達が、順番待ちをしていたので、並んだ。
前に並んでいた人を真似て、通行税を払った。
街に入ったナッシュは、ギルドを探して歩いていると、いかにも冒険者という格好の人達を
見つけたので、後をつけた。
途中から、前を歩いていた冒険者達がナッシュの事をチラチラと見始めた。
それでもナッシュは、気にせずに付いて行くと、誰もいない空き地に着いた。
「おい!兄ちゃん、どうして俺達を付けているんだ」
「ギルドに行きたいから」
「分かった。
教えてやるから、金を出しな」
ナッシュは、教えてくれるならと適当にお金を渡した。
「おい!何だこの金は、血がべっとりと付いているじゃねえか」
男達は、血の付いたお金を持っているナッシュに、怯えた。
「ギルドを教えて」
「気味の悪いガキだな」
「もういい、何処かに行きな!」
「ギルドは?」
「はぁ、知らねぇよ。
勝手に探せ!」
ナッシュは、騙されたと思い、相手の腕を切り落とした。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「おじさんが嘘を吐くからだよ」
ナッシュは、振り向き、他の冒険者に聞いた。
「ギルドを教えてよ。
僕、お金払ったよ」
「ああ、わかった。
連れて行ってやるから」
ナッシュは、腕の無い男に向かって唱えた。
「治癒の神、ベレヌスの名において命ずる、この者の腕を元の場所へ」
ナッシュが唱え終えると、男の腕が治り、傷も無くなっていた。
「!!!」
「兄ちゃん、何をした」
「ギルドに行きたいから治した」
男達は立ち上がり、ナッシュを見つめた。
「兄ちゃんは、治癒士なのか?」
「治癒士?」
「ああ、傷を治す人だ」
「傷を治すことは、出来るよ」
「そうか・・・」
「それより、ギルドに案内してよ」
「そうだったな」
男達は、ナッシュをギルドに連れて行った。
ギルドに着くと、ナッシュは、受付に行った。
「冒険者になりたいのです」
「はい、では此方の用紙に、名前と年齢を記入して下さい」
「すいません、字が書けません」
「わかりました。
代筆しますので答えて下さい」
ナッシュは、受付の人の質問に答えた。
「用紙の方は、これで終わりです。
後、登録料が銅貨10枚です」
ナッシュは、持っていたお金を受付テーブルに出した。
受付の人が数えて銅貨10枚を貰い、残りをナッシュに返した。
「これが、登録証です。
無くさないで下さいね」
「はい、有難う御座います」
「それと、ランクは7段階あり、初めはFランクからです。
依頼は、あちらから、ランクにあったものを選んでください」
「ありがとう」
ナッシュは、お礼を言って、受付を離れた。
不定期投稿ですが宜しくお願い致します。
暖かい目で見て頂ければ幸いです。