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4回目のプロポーズ  作者: LoveDonald
6/10

--- 小5の想い3 ---

 翌日木曜日はシンジと校庭で遊んでやった。


 金曜日の放課後帰り支度をしていると、


 「仙石君いる?仙石君、種田さんが大変なの!」


 この前の飼育掛かりの渡辺さんが呼びに来た。


 「アカネが大変?」


 何があったのかと慌てて3組の教室へ行って見ると、

 アカネが真っ赤な顔をして座っていた。周囲を遠巻きに数人の女子と男子がニタニタしながら様子を伺っていた?


 「アカネどうしたんだ?」


 状況を聞こうとすると、黙って黒板の方を指差した。


 「ん?」


 黒板にアイアイ傘が書いてあり、下には種田、仙石と書いてある。


 「なんだありゃ? あー、そういう事か。」


 そう言うと、タカシは黒板の前まで来て、


 「誰だ?これを書いたのは?」


 と聞いたが、周囲の者たちはニタニタするばかりで誰も名乗ろうとしない。


 「いいですか、言っておきますがこれは間違いです。」


 そう言った時アカネが震えるのが分かった。


 「正しくは、ここをこうして、上にはこうしてと、これが正解です。」


 タカシは、苗字の下に名前も書いて、傘の上にハートマークを付けた。


 アカネは少し涙を浮かべながら笑っていた。


 「じゃあ今日の日直は黒板を綺麗に消しておく様に。」


 「さあ、アカネ帰ろうぜ」


 「うん。」


 タカシは今日も一緒に帰る口実が出来て嬉しかったが、また来週アカネがいじめられないか心配だった。


 「ねえ、タカシ。」


 「なに?」


 「さっきはありがとう。」


 「いいよ、あいつら間違えていたから、正解を教えてやった。」


 「ふふ・・、タカシは凄いね。」


 「そうかな? なにが凄いの。」


 「ねえ、どうして苗字じゃなくて名前まで書いたの?」


 「だって、仙石と種田じゃ家族もいるんだから誰の事か分からないジャン。名前も書いた方が間違いがないからね。」


 「うふふ・・。ハートまで付けて?」


 そう聞いて来たのでアカネの手を取り繫いで歩いた。


 「アカネ、来週もからかわれるかもだけど、授業の前には日直が黒板消すんだからあんまり気にするなよ。」


 「うん、ありがとう」


 「どういたしまして。」


 塾の前で二人は別れた。


 (この状況で告白する意味があるのか? でもそういう事はハッキリさせないと現実に帰れないからな。)


 そして日曜日が来た。10時十分前に改札へ行くと、もうアカネが待っていた。


 「ごめん、まった?」


 「ううん、今来たところ。」


 「じゃあ行こうか」


 動物園は電車で3つ目の駅を降りて直ぐの所にある。


 「はい、じゃあ子供二人で1000円ね。」


 「動物園なんて久しぶりだなー、もう20年くらい来てなかったなー。」


 「うふふ・。タカシって面白い事言うわね。」


 (あ、ついマジな事言っちゃった。)


 「私は去年も来たわよ。」


 「へえ、アカネ動物好きなんだね。」


 「タカシよりはね。」


 タカシは久しぶりに来た動物園を純粋に楽しんでいた。


 「「キリン」でかいなー。首が長いだけじゃないんだなー。」


 「うわー!ゴリ先生迫力あるねー!」


 「うふふ。タカシったら子供みたい。」


 「二人ともまだ子供だろ。」


 お昼になり、近くの売店でアメリカンドックと焼きそばとジュースを買った。


 「美味しいね。」


 「うん、旨い。」


 「あ、後であれに乗りましょうよ。」


 アカネが指を差した先には観覧車があった。


 「ああ、いいよ。観覧車も久しぶりだなー。」


 「また20年ぶり?」


 「ぷっ、ハハハ、そうそう20年ぶり。」


 実際本当に20年くらい乗った記憶がない。お昼を食べ終えて観覧車の列に並んだ。


 タカシ達の順番が来て乗り込んだ。


 「俺はジェットコースターなんかよりこのくらいの方が好きだな。」


 「私も」


 この密閉空間は告白するチャンスだ。


 「ねえタカシ」


 「うん? なに?」


 「あのね、私タカシの事好きだよ。」


 「本当に? 嬉しいな。俺もアカネの事、大好きだよ。もう知ってるよね。」


 「うん、知ってるよ。」


 「アカネ、キスしてもいい?」


 「いいよ。」


 そう言うとアカネは目を瞑っで顔を上げた。タカシはアカネの横に座りそっとアカネの唇にキスをした。


 二人の唇がふれあい「チュ」という音と共に離れた。


 二人とも真っ赤になっていた。


 「あ、アカネと話始めたのって多分、先週の月曜日からだったと思うけどこの一週間色々あって楽しかったなー。」


 「私も。ねえタカシの誕生日っていつ?」


 「12月3日だよ、アカネは?」


 「私も12月、12月20日だよ。」


 (そうか、二人とも12月生まれだったんだ。)


 「私、毎年誕生日会するんだけど、タカシも来てくれる?」


 「ああ、きっと行くよ。」


 アカネとのデートが終わり、家に帰ったタカシは、


 「お母さんお腹空いたご飯まだー?」


 「もう少し待って、じゃあ先にお風呂入ってきなさい。」


 「はーい。」


 お風呂に入りながら、


 (これで一応、帰れるんだよな? するべき事はもうないはずだ。しかしキスまでする事になるとは思いもしなかった。前回のふられる事に比べると随分な進展だ。でもこの後どうなるんだろう? 俺が現実に帰った後のこの俺は今日の事、いやこの1週間の事を覚えているんだろうか?その辺りはアオネに聞いて置かないとダメだな。)


 タカシはお風呂を出てご飯を食べると、早々に寝る事にした。


 「タカシ様、タカシ様、起きて下さい。タカシ様ってば。」 


 「うん?」


 「やあ、アオネやっと会えたな。何日ぶりかな?一つ聞きたい事があるんだけど?」


 「はい、何でございましょう?」


 「あっちの世界で過去変をしてきた後の俺はその事を覚えているのか?」


 「そうでございますね。今のタカシ様とは逆であちらのタカシ様は夢を見ている様な感じで認識していると思われます。」


 (夢か、大丈夫なのだろうか? まあ、フラれた記憶がなくなればいいか。)


 「それではタカシ様、これでタカシ様の願いは叶ったという事で宜しかったでしょうか?」


 「いや、まだだ、前も言っただろ? あと2回ある。だが今日は終りだ、続きはまた明日にしよう。」


 「かしこまりぃー。」


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