2度目の出会い
今、僕の目の前には好きな人がいる。だが、今の僕には好きという感情は出てこない。というか、何の言葉も出てこない。なぜなら僕の好きなこの人は……………つい先日交通事故で亡くなっているはずだったから。
僕の名前は佐藤清治、高校2年生だ。別に特徴らしい特徴もない。言い忘れていたが僕の通っている学校の名前は山中高校という。名前の通り山の中にある。山にあるといったが田舎というわけではない。ここは一応都市の中心部に位置している。この山には神様がいてその神様についての言い伝えもあるらしい。その神様は、人と人との絆をつなぎ続けるものらしい。というのも………
「初めまして佐藤清治君、私はこの山の神の山城という。君はこの子に選ばれた。急に亡くなったはずの子を目の前にして,こんなこと言ってもよくわからないだろうけどちゃんと説明はしよう」
そう、僕の目の前には今、緑の羽織を着て笑顔でこちらをみて、そう告げてきた神の山城と名乗る者がいた。今は放課後の学校の屋上、日が沈みそうな中、僕は目を開ききって突っ立っていた。
それから説明を受けて取りあえず帰宅して、時間は立って今は夜の10時をまわったくらいの時間帯。僕は僕の部屋にいて僕の好きな人も僕の部屋にいる。僕の好きな人の名前は山本楓という。話によると今は僕にしか見えていないらしい。選ばれた本人にしか見えないというシステムであり、かつ触れるのも自分だけという。だが、僕の頭に残っている言葉で一番重要だと思っているのはここじゃない。楓がこっちの世界に居ることができるのは49日だけという。それを過ぎれば成仏してしまうらしい。今日は11月6日でここから49日………終わりは12月25日のクリスマスだ。
「ね、ね~清治君」
先に声をかけたのは楓だった。
「清治君、びっくり………したよね………ついこないだ死んじゃったはずの私が急に幽霊みたいになってこの世に戻ってきたから」
少し控えめにそう言った。そして僕も返した。
「そりゃびっくりしたよ、でも今でも信じられない」
僕は、聞きたいことがあったが聞かなかった。
「そうだよね、最初は私もびっくりした。車にひかれて、気づいたら零体みたいになってて、そのときに山城さん、あの神様に声をかけられたの」
僕は何と言われたのかを聞き返した。
「君はやり残したことはあるかって聞かれてすぐには信じられなかったから言えなかったけど、あるって 言ったの。それが昨日のことでじゃあ明日からって言われて、今のこの状況になっちゃって。迷惑じゃないかな?」
そう言って僕を横目に見つめている楓。僕は思っていることをそのまま伝えた。
「迷惑じゃない。というか逆に嬉しいよ。僕も楓と話したいことがあったから」
ちょっと安心したのか、ほっとした顔をしていた。それと同時に話したいことって何だろうって頭に?がついたような顔をしているようにも感じた。その時は聞かれなかったけど。それよりも気になることがある。
「で、きょ、今日からどこで生活するんだ。寝るときとか、食事とか、そのお風呂とか」
「そのことなんだけど、ここで生活しちゃダメかな荷物はないから気にしないで」
「ま~いいんだけどいいのか?男子と一緒だぞ?」
「男子と一緒って言われても清治君にしか見えてないし………」
「そうだった」
なら普通に暮らせるのはここだけなのか。安心してもらうには………
「分かった。ここで暮らしてもらっていいよ。自分の家と思って過ごしてもらって大丈夫だから」
「本当?嬉しい、ありがとう。食事とお風呂は気にしなくて大丈夫。空腹は感じないらしいから。でも、味覚は感じるから食べたいものは食べれるし飲み物も飲めるの。お風呂はこの体には必要ないよって言われたから大丈夫………」
あの神様絶対にここにで楓を暮らさせようとしてたな。ま~嬉しいけど。それはさておき睡眠は必要みたいな感じだな。
「布団は出すから気にしないで大丈夫。味覚も聴覚もあるから触覚もあるよな。寒さも感じるだろうし、それに眠くもなるよな」
そう言うとほっとしたのか一気に疲れが出てきているように思えた。
だが本当にいいのだろうか、男女が一つ屋根の下、今になって急に恥ずかしくなってきたな。楓はお世辞抜きに可愛い。ショートカットのきれいな黒髪に、透き通った目、柔らそうな唇、身長は150センチ後半くらいかな、それに割と胸もある。そんな子としばらく一緒って、ちゃんとやっていけるのだろうか。今日のところは取りあえず寝よう。一回寝て起きてまた整理するとしよう。僕はおやすみと言って
でも、この時は残り日数が1日減っていたことを気にしていなかった。残りの時間がどれだけ貴重なのかを実感してなかった。
残り日数………48日
初めて小説を書きました。これは序盤ですのでまだまだ続きます。今は少なくてもいいので読んでくださると幸いです。面白かったら是非いろんな人に勧めて下さい。これからよろしくお願いします。