2nd 運命
キャラプロフィール
九条隼人
身長 175cm
体重 55kg
誕生日 2/9
年齢 18歳
特技 剣道、ゲーム
あれからどのくらいの時間がたっただろう。目を覚ますとそこはどこかの室内だった。
「あら、ようやく目覚めたみたいね」
声の主を探すと耳の長い金髪碧眼の少女が窓辺に立っていた。ゲームや漫画とかで見るいわゆるエルフと言う奴だろう。
「ここは……、確か猪の化け物との戦いの後気を失って……。そうだ!鈴鹿は!?それから一緒にいた女の子は?!」
「落ち着きなさい。あなたの妹もあの娘も無事よ。倒れたあなた達をあの娘と一緒にここまで運んできたの。もう、ほんと大変だったわ」
「そうか。ありがとな」
「礼はいいわ。色々話したい事はあるけれど一先ず下に降りましょうか。妹さんも待ってるわ」
俺はエルフの少女に連れられて1階へ降りた。そこは酒場のようになっており、その奥の席に鈴鹿は座っていた。
鈴鹿は俺の姿を見るなり涙を浮かべながら走りよってきた。
「兄さん…………!良かった……本当に良かった……」
「鈴鹿も無事みたいでよかった。ごめんな、心配かけて」
俺は鈴鹿の頭を撫でてやる。先に目を覚まして中々目覚めない俺をずっと待ってたんだな。
グ〜
鈴鹿がお腹を抑えて顔を真っ赤にしている。
「食べよっか」
「はい!」
食事は既にテーブルの上に用意されていた。ウエイトレス姿の少女がこちらに近づいてくる。どこかで見たことあるような……
「先程は、助けていただきありがとうございました!」
ああ、あの時の子か。
「無事で良かった。怪我は無い?」
「はい、おかげさまで」
「兄さんは誰にでも優しいんですから勘違いしないでくださいね!」
鈴鹿は頬を膨らませウエイトレスの女性を睨みつけている。頼むからやめてくれ……。
「お礼と言ってはなんですが宿代もこの食事も全部サービスです」
「いいの?」
「はい、ここうちが経営してるんですけどお父さんも是非と」
厨房の方を見るとごつい色黒でスキンヘッドのおじさんがこちらを向いて親指を突き立てウインクしている。もしかしなくてもあれが親父さんだろう。
「あ、助けていただいてまだ名乗ってませんでしたね。私、フレカ・ランドールって言います。フレカって呼んで下さい」
「俺は九条隼人。こっちは妹の鈴鹿だ」
「隼人さんに鈴鹿さんですね。隼人さん、お兄ちゃん……って呼んでもいいですか?」
鈴鹿がついに般若のような形相になっている。
「まぁ呼びやすいように呼んでくれたら……」
今度はこちらに向かって般若と化している。後で何か埋め合わせしとかないとな。
「では……お兄ちゃん。ごゆっくりどうぞ。おかわりも遠慮なくなさってください」
そう言っては仕事に戻っていった。用意された料理はどれも美味しかった。
食事を終え、エルフの少女が口を開いた。
「とりあえず自己紹介ね。私の名前はアニス・ヴァレル。見ての通りエルフよ」
「俺は九条隼人。それでこっちが―――」
「妹の鈴鹿です」
お互い自己紹介を済まし、終わったところでアニスが話し始める。
「さて、じゃあ本題に入りましょうか。率直に言うとあなた達はこの世界を救うために召喚されたの」
「この世界を救う?」
「えぇ。『この世界に邪悪が現れし時、1人の王と7人の巫女がこれを打ち払う』それがこの世界の巫女たちに受け継がれてきたの。そして今がその時なの」
アニスは古びた本を開き、それを見せながら説明する。
「そして、隼人は我らが王。剣の王と呼ばれている」
「俺が……剣の王……。てか、我らがって何だよ」
「いいそびれてたわね」
アニスは外套から腕を出し、袖を肩まで巻くって見せた。
「私も巫女なの。風の巫女。これがその証拠よ」
アニスの二の腕に風を模した痣がうかんでいた。
「7人の巫女、総称して7聖と呼ぶ。7人中6人はこの世界にいる」
「6人?じゃあ、その7人目が……」
「察しがいいわね。そう、あなたの妹、鈴鹿こそが7人目の巫女なの」
「私が、7人目の巫女……」
あの時の力はそれが発現したものなのか。
「なぁ、なんで召喚されたのが俺たちなんだ?」
「それは……」
アニスはそのまま語り出した。
―――今から数百年も前の話。世界は邪悪な魔王によって支配されていたの。けど剣の王と巫女達の活躍により魔王はうち払われ、世界は平和を取り戻した。
その後世界を救った英雄は各々の場所に去っていった。けれど王だけは「いつかまた世界は邪悪に支配されるだろう」と思っていた。
そこでそのいつかに備えるためなるべく力を使わないよう力無き世界へ行く事を決めたの。そして一緒について行ったのがその時の火の巫女。
その後、彼らは幾度となく転生を繰り返しその度に共にいたと言われているわ。
「生まれ変わっても一緒に……兄さんとは、運命……」
鈴鹿が変なモードに入ってしまってる気がするがまぁほっといてやろう。
「なるほどな。何となくわかったよ」
自分でも驚くほどすんなり受け入れることが出来た。覚えてなくても心のどこかに前世の記憶が刻まれてるのかもな。
「もう話は大丈夫かしら?他の巫女は、すでに宮殿に向かっているはずよ。アタシ達も行くわよ」
そう言ってアニスは立ち上がり、店を後にしようとする。俺達も立ち上がりアニスの後を追う。だが、店を出ようとしたとこでかなり慌て気味に男性が駆け込んできた。
「た、大変だ!ワイバーンの群れが……この町に……攻めてくる!」
男は息を切らしながらそう言って町中に知らせに出ていった。
俺たちはそれを聞き、急いで外に出て空を見上げる。そこには細い尻尾を長く伸ばし手と翼が一体となっている太古の昔に生きていた翼竜のような出で立ちをしたものが無数にこちらに向かってきていた。
「あの数、なんなんだ?」
「ワイバーンが群れで動くのは普通のことだけど、あの数は尋常じゃないわ。どうやらマガツキになってるみたいね」
「マガツキ?それって、あの猪みたいな感じか?」
「えぇ。邪悪な瘴気に侵され凶暴化したものをマガツキと呼ぶわ。マガツキ化したモンスターは剣の王と7聖の巫女にしか倒せない。どう、行けそう?」
「行けるも何もあれをどうにかしないとこの町の人達が……!」
「そうですね。私は大丈夫ですが、兄さんは病み上がりですから無理はしないでくださいね」
人気が消えた町で俺たちはワイバーンを待ち受ける。鈴鹿と無事に元の世界に帰る為にも今は俺達に出来ることをするのみだ。
キャラプロフィール
九条鈴鹿
身長 156cm
体重 45kg
誕生日 12/26
年齢 15歳
特技 弓道、暗算