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悪役令嬢と魔王、まちにてしゅうげきにあう

「どうした!」


「賊ですぞ、ロッド様、お嬢様をお願いします!」


「わかった!」


 外から大きな声が聞こえてきます。テオが戦っているようですわ。馬車が止まって、ロッドは私をぎゅうっと抱きしめ、魔法の詠唱をはじめています。

 うわああとか声が聞こえるのはたぶん賊さんです。


「……おい、お前」


 しかし馬車の扉があいて黒ずくめの人が覗き込みます。ロッドが魔法の詠唱を終えて、手を突き出しましたわ。


「バースト!」


 古代魔法のうちの一つらしいですわ。人間でも使える人がいるらしいですが聞いたことないですわ。

 その魔法がさく裂した途端、男が外に吹き飛ばされましたわ。

 風系統の魔法らしいです。


「フリーゼ、俺がお前を守ってやる。だから安心しろ、テオもいる」


「ええ」


 新たな詠唱に入るロッド、詠唱をしていると、外から声が途絶え、テオが顔をだしました。


「お嬢様、ロッド様、お怪我はありませんか? 賊は退治しました。数が多く、危険な目にあわせてしまい申し訳ありません」


「いや大丈夫だ、怪我はない」


「それはよかった。お屋敷に戻りましょう」


「わかりましたわテオ」


 ロッドが詠唱をやめると、テオが馬車は動きますなといって御者に声をかけます。

 こちらは怪我人はいますが、死んでいる人はいないときいてホッとしました。

 賊も怪我をさせただけで、テオがしかるべきところに突き出すそうですわ。

 50人以上いたそうでびっくりですわ。しかも魔法の使い手が多かったらしいですが……。


「ロッド、ありがとうございます」


「いや女を守るのは男の役目だからな」


「頼もしかったです」


「いやお前に怪我がなくてよかった」


 馬車は屋敷に向かいますがしかし襲われたのがわかりませんわ。

 弟なら跡取りですからわかります。しかし王太子の婚約者でもなくなった私を襲う理由?


「どうしたフリーゼ?」


「いえ襲われたのは初めてで驚いただけですわ」


「しかし……お前を襲う理由がわからんな」


「ええ」


 利用価値から見れば、50人以上の魔法の使い手まで投入して私を襲おうとしたのはわかりません。

 テオがいるからだとは思いますが……。


「しかしテオも手間取ることがあるんだな」


「一応テオも人間ですわよ。上級魔法の使い手がその数では一応手間取りますわ」


「ふうん」


 テオは魔法にも耐性がありますが、たぶんあの人たちはテオのことを研究していたと思います。

 テオにもやはり弱点がありますもの。

 手間取っても倒すところはテオですけど。


「でもテオにこう手間取らせるということはテオのことをよく知っている人ですわね」


「そんな人間心あたりあるか?」


「お父様やお母様は除外ですわ、おじい様も除外とすると……」


 私がふと思い出したことを言いますと、あいつ結構恨み買ってるのか? とロッドに聞かれました。


「恨みというか……テオは結構執事である前にいろいろやっていたらしく」


「いろいろ?」


「はい、戦いはどうとか、敵がどうとかたまに言ってますわ」


「あいつの過去が謎すぎるぞ」


 思い当たるところは一つありましたが、しかしあの方、テオをすごい目でにらんでましたわね。

 私と王太子様の婚約も一人反対されてました。

 アリスさんに手を貸しているといううわさもありましたわ。


 しかし私どうして恨まれというか……テオですわね。

 テオはさびしそうに笑って、お嬢様申し訳ありませんと一度謝ってましたわ。


「ふうん、でもお前に恨みってそりゃ変だろ、恨むならテオだろ」


「でもテオには手を出しかねるから憎しみが近くにいる私に向くこともあると思います」


「お前何もしてないのに、人間って変だな」


「魔族はそういうのありませんの?」


「そうだな、その本人以外には復讐なんてしない、だって親父を殺したのは勇者だけど、勇者の親父やお袋なんて関係ないだろ、悪いのは勇者じゃん」


「魔族のほうが……考えが……」


「どうした?」


「なんでもありませんわ」


 人間とは理不尽ですわ。魔族の人が言うとおり、確かに恨むのなら本人ですわ。

 私も反省しないといけません、王太子殿とアリスさん、陛下を恨みに思うにしてもほかの人は関係ありませんでしたもの。

 テオはこれを教えたかったもかもしれませんわ。


「あう、私もまだまだですわ」


「お前はお前だ」


「ありがとうございますロッド」


 落ち込む私を慰めてくれましたわ、でも私もあまり人のことは言えませんわ。

 本当に本当に反省しないといけませんわ。


 そうこうするうちに屋敷につき、両親が心配してテオにいろいろ聞いて、お母様が怪我はない? と聞いてくれました。ロッドが守ってくれましたのと告げるとありがとうとにこりとお母様が笑いかけ、ロッドが恥ずかしそうにしてますわ。


「お前のお袋、優しいな」


「はい」


「ぎゅうっとされたらいい匂いがした」


「うふふ、お母様はいい匂いですわ」


「ああ」


 私たちは笑いあいます。でもでも……恨まれているとすると手を打たないといけませんわ。

 テオはお嬢様、賊は口を割りませんぞと暗い顔で言ってきましたが、心あたりはあるので手を打ちますといってます。


「テオ」


「ご安心ください」

  

 テオはどこか悲しそうです。やっぱり……。

 あまりテオには聞けそうにないですが、少し私も調べてみることにしました。ロッドがお前変なこと考えるなよとボソッと言いましたが、だって……。

 私にもつてがありますもの。絶対に調べて見せますわ。



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