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PRICE-プライス  作者: タヌキ
4/8

とある少年の始まりの日 3

「•••どういうことだ?」


ウィルはコンパスに問いかける。

コンパスは質問を待っていたかのように、悠長に話し出した。


「よく言えば君をヘッドハンティングしようというわけさ。残念なことに、現状我らリングヴルドは劣勢に立たされている。簡単に言うと兵士の数が足りないんだよね。そこで考えた。兵士がいなければ、捕虜を使えばいいじゃない!」


コンパスは立ち上がり両手を広げて、相変のわらずふざけた口調で熱弁する。


「ヘッドハンティング、ね。念のため聞くけど、断ればどうなる?」


「それは、そうだね」


コンパスは体をくの字にするように、ぐっとウィルに顔を近づけた。


「差し伸べられた救いの手を取らない愚か者まで、私達が面倒を見る必要はない、とわたしは考えている。これで回答になったかな?」


以前と同じトーンの低い声で言う。


「•••ああ、よくわかった」


それはつまり、断れば命はない、という意味だ。

祖国を裏切るか、命を諦めるか。

コンパスはどちらかを選べと言っている。


(俺は•••)


「さあ、選びたまえ! 首輪か、処刑台か! 君の望む未来はどちらなのか!」


「協力しよう」


間髪入れず答える。

これにはコンパスも予想外だったようで、手を広げたまま固まっている。


「わかっているのかい? こっちに付くということは、君はかつての仲間と殺し合うかもしれない、ということだよ」


「もちろんわかっている。でも、あいにく今の俺に自分の命より大事な物はないんだ。それに•••俺は生きることには貪欲でいたい。生きる代償というのなら、なんであろうと払う覚悟はできている」


ウィルはコンパスの目を見て言う。

そう、迷うことなどない。

もともと、自国愛なんて物は持っていない。

生きることに貪欲である。

この生き方こそ、ウィル=バーネットが唯一正しいと信じる生き方だった。

たとえアギトでもリングヴルドでも、それは曲げないと決めていた。

コンパスはしばらく値踏みするように黙っていたが、しばらくするとポツリと独り言を発した。


「代償、ね•••。なるほど、実に君達らしい考え方だ。納得したよ」


コンパスの唇が不気味に釣り上がる。

コンパスは机の上の首輪を手に取り、ウィルに差し出した。


「受け取りたまえ。今より君は我がリングヴルドの手先であり忠犬となった。これはそのお祝いだ」


ズシリと、手に重みが伝わる。

首輪は予想以上に重く、そして冷たかった。


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