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第035話

半分閑話的な話です。

 雲一つない快晴の中、私は古竜とお空の散歩中。王子やニンジョールノ領主さんには警戒任務だと言っておいたが、今の状態で警戒するものはあまりない。

 竜の移住も順調に進んでいて、森からはたまに竜の声も聞こえてくる。そんな状態の森に潜む敵はいない。いや、最初は居たのだが、全員竜の威圧で動けなくなったところを巡回中のゴーレム達に捕らえられてしまっていたのだ。

 ゴーレム兵は、私がいくつかの魔石を使って作り出したもので、全部で百体いる。これが私直属となって、街の周辺地域の巡回任務にあたっているのだ。


『神様ー、王都周辺はどうなってるの?』

『リリンちゃん、私は便利な見張り役じゃないのよ。今回は特別に教えてあげるけど、王都周辺は少々混乱しているみたいねぇ。王子がニンジョールノに入り、反攻準備を整えてるって公表したのが効いてるみたいよ』

『それって、私が王子側についているのもあるのかな』

『何と言っても勇者だからね。』

『勇者の称号ってのも、たまには役にたつんだね』

『そうなのよ。リリンちゃんはあまり気にしてないけど、勇者というのはそれだけの重みのある称号なのよ』

『わかってますって。だから最近はちゃんと勇者って名乗ってるでしょ』

『なら良いけど…。あ、それとあの王様には気をつけてね。まだ何か隠し玉があるみたいよ』

『ありがとう、神様。あのクソ王には気をつけるよ』

『頑張ってねー』

『はーい』


 うん、大体予想通りだ。王子がニンジョールノから兵を率いて王都へ攻め入り、クソ王から王位を奪い取れば問題はない。神様が気をつけろって言ってたけど、多分この前の変な魔物とかの事だろう。何が起きようと対処できるようにしっかりと準備をしておけば良い。


『そろそろ戻ろうか、ニンジョールノの義勇軍with第一王子の準備も終わる頃だろうし』

『そうじゃの、ではしっかり捕まっておれ』


 古竜はニンジョールノに向かって高速ターンアンド急加速を行い、リリンを少しだけ慌てさせるのに成功したのだった。




「それでは、予定通り明日の朝に出陣する事にします」


 王子のこの言葉に頷くニンジョールノ義勇軍の指揮官達。数は五百人程度の義勇軍だけど、王子の下に集まった人達は皆精悍で戦意も高かった。

 元はとある街の衛兵を率いていたという男性は、その街で狼藉を働いていた領主の息子を諫めただけでその職を解かれ、おまけに家が何者かに襲われたと言う。何とか家族を連れて街を脱出してニンジョールノに王子が現れたという情報を入手し、そこまで追っ手を返り討ちにしながら逃げてきたのだった。

 また、元は盗賊という男は、べらぼうに高い税のせいで貧しい村のために悪徳商人や貴族にターゲットを絞って襲っていたという。いわゆる義賊だね。ただ、その村も税が払えなくなり離散してしまったというので、今回の義勇軍に仲間共々応募してきたそうだ。


「先ずは王都を落とし、王権を奪取する。その後各地の貴族のうち反攻的な者、規定以上の税を取り立てている者は全て爵位と財産を剥奪の上処刑する。その後義勇軍を正式な近衛軍として組織し、内政は有能な平民を登用することで滞りの無いようにする。基本方針は以上だ」


 かなり大雑把な基本方針だが、とりあえずはこれで行くしかないだろう。先に聞いた話だと下級官吏に王子の味方となる人物が多く、彼等を引き上げればある程度は内政もまわせるそうなので、混乱も最小限に抑えられる可能性が高い。それに、カリーネさんやゲネートのご家族の方々も有能だ。彼等が現役復帰すれば尚の事内政には問題がないだろう。


「リリン殿、明日はゴーレムの方をお願い致します」

「王子なんだから、私に敬語は不要です。ゴーレムの方は任されました。王都までの道は彼等が露払いしてくれますので、王都での戦いに注力してください」


 私は王子に恭しくお辞儀をしながら答える。これでも一応前世では礼儀作法も一通りこなせたのだ。今でもこれくらいはできる。そして、ゴーレム達だが、今朝の散歩中にゴブリン等の魔物を集落毎殲滅して回り、それなりに魔石の確保ができたので更に五百体増やしておいた。道中はこの五百体が主戦力になる。


 会議の後はそれぞれが率いる兵達の下へ散っていく。私は勇者パーティーであるカリーネさん、ゲネート、クワイトのところだ。尚、ゴーレム達には特に話すこともないし、こっちが指示すればちゃんと聞いてくれるので、明日まではニンジョールノ周辺の警戒任務にあたってもらっている。


「ゲネート、クワイト、準備はどう?」


 まず向かったのはゲネートとクワイトの部屋だ。私達は領主の館にお世話になっているが、王子達も受け入れたため手狭になってきている。なので、男性陣は王子以外四人部屋を使っているのだ。因みに、ゲネートとクワイト以外は、先程の元衛兵さんと元盗賊さんだったが、彼等はそれぞれの部下のところに行っているのでここにはいない。


「ああ、こっちはほぼ終わりだ。そっちはどうなんだい?」

「私の方はいつでも大丈夫。カリーネさんの方はこれから確認」


 明日の事を伝え、自分の部屋に戻る。私はカリーネさんと同室なのだ。私達の部屋は他の女性達が遠慮したらしく、四人部屋にもかかわらず二人しかいない。まさか私を怖がって遠慮したんじゃないわよね?


「カリーネさん、準備でき…た?」


 カリーネさんは部屋いっぱいに服を広げて、どれを持っていくかまだ迷っているようだった。いや、戦いに行くんだからおしゃれに気を遣う時間はあまりないんじゃないかなぁ。


「あ、リリンちゃん。こっちの服とこっちの服、どっちが似合うと思う?」

「…右かな」


 言ってはなんだが、私にファッションセンスは無い。前世でもそうだった。私の室内着はジャージ、普段着はTシャツにジーパンだ。要人警護の時はスーツだったが、量販店の一着一万くらいの安物で済ませていた。なので、どっちでもいいから適当に答えておく。


 結局カリーネさんの準備が終わったのは夜もだいぶ遅くなってからになってしまったので、少々寝不足気味になってしまったのは仕方ないのかもしれない。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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