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第032話

長らく更新が途絶えご迷惑おかけしました。

せっかくの感想も返事返できず申し訳ありません。


仕事はまだまだ忙しいですが、できる限り更新できるよう努力します。

「んー、旨い!」


 串に刺したゲソの欠片を何本か調理場で焙ってもらい、部屋で食べてみた。思ったよりもかなり旨い。

 確かに硬いので噛み切るのに難儀するが、噛み続けているとゲソの味がじわっと溢れ出してくる。これは大当たりだね。

 ただ、これはイカ刺しには向かないかな。何しろ硬すぎる。巨大なスルメイカだと思えばそう遠くはないだろう。


「うーん、こうなるとマヨネーズや醤油が欲しくなるね」

「そうだな、スルメにはマヨネーズだよな。ピース王国では絶賛販売中なので、今度持ってきますよ」


 いつの間にかカっちゃんがいて一本食ってた。いつの間にやってきたのだろうか。あと、やっぱりマヨネーズは作ったんだね。今度と言わずすぐくれ。


「姐さんに報告があって来たんですよ。一応ナナコからどこにいるかは定時連絡させてるんで、ここの領館前に転移させてもらいました」


 そうなんだ。で、報告って何よ。ろくでもないのだったら叩き出す。


「姐さんの居た村、王に目をつけられたみたいだぞ」

「んげ。何でまた」

「やっぱり竜の素材が原因じゃないか?」

「そうなの?どうするつもりなんだろう?」

「何か兵を編成しているみたいだが、裏でも動いているようだ。こっちの諜報機関はまだ育て切れてないから、それ以上は分からないな。ここの諜報機関もクーデター騒ぎで再編中だから、まだしばらくかかるだろうし」


 あのクソ王碌な事しないなー。でも、両国共に諜報機関が稼働しきれてない割には随分と深いところまで探れてるじゃない。


「王子の方は常識人だそうだけどな。この情報も王子から流されてきたそうだし」

「なら、その王子を旗頭にして王を退位させれば良いじゃん」


 カっちゃんも同じ事を考えたそうだが、他国が手を貸したりしたら王子が国民や貴族から非難されるので難しいそうだ。まぁ、その貴族連中も殆どが王と同じで腐ってるんだけどね。


「ふーん、なら一旦村に戻ってみるよ。今後どうするかも考えなきゃねぇ」

「そうしてくれると助かる。あと、村にはこっちの連絡員も置いといたから、何かあったらすぐ連絡してくれ」


 カっちゃんから連絡員の情報を受け取る。ほんの数日なのに、よくここまで諜報機関を作りあげられたものだ。何でも、元々情報を専門に扱う一族がいて以前から交渉していたそうなんだけど、ようやく彼等の協力を得られたのが大きいらしい。まるで伊賀か甲賀か風魔の忍者一族みたいだ。


「考えてることは分かる」


 カっちゃんは苦笑しながらも同意してくれた。


 さて、ゲソを堪能した後は、一旦村に戻るとしましょうか。一応ゲネート達には一人で戻ってくる旨を連絡し、ゲートで家族の様子を見たいと言い張るカリーネさんと村に戻る。


「うーん、これは凄い事になってるね」


 村のそばにある森の中にゲートを開けて出てきた私達は、そこから見える村の様子に困惑を隠しきれなかった。まるで臨戦態勢なのだ。村の周りには堀と塀が張り巡らされ、物見櫓には弓を持った村人が三人、監視を行っている。村の入り口にも槍を持った村人が立っているという物々しさだ。


「とりあえず行ってみよう」

「そうね、でもこれはやっぱり魔王の情報絡みかしら」


 私達は村の入り口に向かって歩いていく。入口に立っていた村人が私達に気付いて、一瞬緊張したようだったが、私に気付くとほっとした表情になっていた。


「お久しぶりです。この物々しさはどうしたんですか?」

「あぁ、王都から急に竜の素材を無償で供出しろって言ってきててな。それを追い返したら十人くらいの兵がやって来たんで返り討ちにしてやったんだ。

 だけど、次はもっと多くの兵が来るだろうから、それに備えようって話になってね」


 やはりそうか。でも、村人が衛兵まがいの事をやってたら本業に差し支えが出そうだ。ゴーレムでも出して入り口は任せる事にしよう。


「それじゃゴーレム作るから、衛兵代わりに使ってね。飛竜の魔石を使うし、魔力は自動で補給できるようにしておくから」

「おおっ、それは助かるな。頼むよ」

「はーい。んじゃ、ゴーレムさん出ておいでー」


 飛竜の魔石を使って作り出したゴーレムは、二メートルくらいの身長でなかなかに均整のとれた身体をしていた。これを十体くらい作成しておく。一体でも門番にはなるが、軍勢が攻めてくるならこのくらいいないといけないだろう。ついでに、塀を土魔法で城壁みたく補強し、その上を兵が歩けるようにしておく。


「これだと安心だ。いくら俺達が竜を倒せるくらいレベルが上がったと言っても、多勢に無勢だからな」

「…今竜を倒せない村の人って何人くらいなの?」

「女性と子供、あと年寄りは無理だな。うーん、竜を倒せるのは全部で村の三分の二、百人くらいじゃないか」

「え!そんなに居るの!?」


 私が居た時は十人くらいだったじゃない。


「最近は冒険者もやってきててな。はぐれで悪さをする竜は討伐対象だということで、数が少ないから討伐の競争になっている。競争に漏れたやつらはそこそこの強さの魔物を狩りまくっているから、そちらもレベルが上がって行っているんだよな。

 例え怪我しても、今は治癒魔法の使い手が居るから死亡率もだいぶ下がった。そこのお嬢さんのご家族も、治癒魔法で村に無くてはならない人達になっているぞ」


 そうなんだ、最近は戻ってなかったから知らなかったよ。


「はぁ、私の家族も村の一員に認められて良かったです」


 カリーネさんも安心したようだ。


 私達はそのまま、カリーネさんのご家族が住む家に向かって歩いていく。カリーネさんは最初は反対していたが、顔くらい見せてあげたら、という私と門番さん(すでに門番ではないが)に抗いきれなくなったようだ。でも、顔は嬉しそうなので、勧めて良かったと思う。


 そうして村の中央あたりまで来たところで、物見櫓から大声で警告が発せられた。


「騎馬の人物が三騎、こちらに駆けて来てるぞ!更にその後ろに十騎!」


 ふむ、私は門の方に戻った方が良さそうだ。私は今までカリーネさんに合わせてゆっくり歩いてきた道を、全速力で戻っていった。



□■□■□■□■□■



「もう少しでリリン様がおっしゃっていた村に到着するはずです!頑張りましょう!」

「「はっ!」」


 私、マーガレット・フォン・ニンジョールノの住むニンジョールノの街は、王国から突然謀反の疑いをかけられて包囲されてしまいました。勿論そんな事実はありません。これはきっと、最近景気が良くなってきた我が領を手中にして私腹を肥やそうとしている人達の讒言を王が受け入れてしまったのだと思われます。


「お嬢様、城壁が見えてまいりました!」


 城壁ですか?この近辺に城壁を作るような街や砦は無かったはずですが。

 私が首を傾げるのに気付いたもう一人の騎士が、補足説明説明をしてくれました。


「きっと勇者殿でしょう。最近では勇者殿の村に国から竜の素材の件を徴収しようとする動きがありましたから」


 そうですか。ならばその村で間違いないでしょうね。もう一息です。



「止まれ!止まらんと攻撃するぞ!」


 しつこいですね。止まっても攻撃してくるのは間違いありません。彼等は私を捕らえて人質にしてニンジョールノの街を明け渡せる為に追ってきているので、投稿しても護衛の騎士は殺されてしまうでしょう。

 それに、私は乗馬の経験があまりないので今は殆ど馬さん任せです。幸い私によく懐いてくれている子なので私のお願いをよく聞いてはくれますが、ここで止まることはないでしょう。


「奴等本当に撃ってきやがった!」


 威嚇でしょう。ですが、あまり腕は良くないようです。私は有らん限りの声で城壁に向かって叫びました。


「ニンジョールノの娘、マーガレットです!リリン様にお願いがあって参りました!」


 すると、物見に居た人が私達に気付いたのか、慌ただしく動き始めました。


「あちらも気づいてくれたようです!」

「お嬢様、先に行ってください!ここは我々が食い止めます!」

「そんな!」


 護衛とは言え、ここまで一緒に駆けてきたのです。このまま村まで一緒に行くと思ったのですが、彼らは私が確実に村に入れるよう時間稼ぎをすると言ってくださいました。


「リリン様、助けて」

「はーい、呼んだ?」


 突然、気の抜けた返事をしつつ、リリン様が現れました。手には相変わらずの木の棒を持ちそのまま私達とすれ違って王国兵に対峙します。


「何者だ!」

「あんたたちの言う勇者だよ。ちょっと機嫌が悪くて殺してしまうかもしれないから、降参するなら今のうちだよ」

「勇者は旅に出ているはずだ!こんなところに居るはずがない!」


 リリン様を偽物と断じて攻撃を仕掛けようとする王国兵。リリン様はそんな彼等を一瞥すると、木の棒を横なぎに振り払いました。


 ズバババン!


 振り払った木の棒から発せられた衝撃波が王国兵を襲います。私達は思わず足を止めて、その光景を眺めてしまっていました。私の乗る馬ももう安全とばかりに止まってそこらへんに生えている雑草を食べてます。


「さて、慈悲だ。もう一度だけ聞く。降参するかい?」


 衝撃波をうけた王国兵達は、全員落馬し、何人かは気絶までしています。意識がある人も満足には動けないようで、うめき声を出すだけでした。

 リリン様はそんな彼等を冷ややかな目で見降ろすと、追いついてきた村人に指示をし、王国兵達を捕縛していきました。


「マーガレットちゃん、一体どうしたの?」


 私達に振り返ったリリン様は、以前会ったときと同じ柔らかな笑顔でした。私は馬から何とか降りて、リリン様と一緒に村へと入って行くのでした。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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