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第028話

随分と遅くなってしまい申し訳ありません。

春眠暁を覚えずってのはあるんですねぇ。

新幹線の中では眠気が勝ってしまうようです。

 結局、王都には四日滞在することになった。その間やることと言えば、こちらに向かっていたクーデター軍に投降を呼びかけたり、破壊された王都の街並みを修復したり、王太子の話し相手(但し、この時は必ず他にも人を入れた)をしたりしていた。


「さて、ひと段落ついたかなぁ」

「あぁ、流石に選挙まで居てくれとは言ってこないだろう。僕も国に戻るよ」


 カっちゃんはこのところピース王国とアルファーノ王国を行ったり来たりして、自国の政務を行いながら復興に協力している。トーヤさん達ももう戻っているそうだ。

 だが、今私に用意された部屋のベッドの上で私の右腕を抱えるように抱きしめているナナコちゃんは何故帰っていないのだろう。お父さん何度も帰ってるからその時一緒に帰れたはずなのに、まだこっちに居る。そして私から離れようとしないので、お風呂も寝るのも一緒だ。トイレにまでついて来ようとするのは流石に断ったが。


「そろそろ戻らないと、お母さんとか心配しているんじゃない?」

「ん~、お母さんにもお姉ちゃんにもちゃんと言ってあるから大丈夫だよ」


 どうやらカっちゃん以外の家族には許可をもらっているらしい。しかし、これでは女神様とお話ししにくい。どうしようかと思ったら、その女神様からの連絡だ。


『最近連絡してくれないから、こっちから連絡してみたー。ってだいぶ懐かれちゃってるねぇ』

『うん、そうなんだよ…。少しはプライベートな時間がほしい』

『そっかー。だから連絡できなかったんだね。この子にバレたらすぐ拡散しそう』


 そう、女神様通信はおおっぴらにできるものではない。高位の神官や巫女が神託という形で一方的に女神側から告げられるのがせいぜいだ。なので、お話できると知られると教会連中が確保に走るだろう。


 しかし、右腕にぶら下がるように抱き着いているナナコちゃんに気付かれないように女神様と会話するのは大変だ。ちょっとでも女神様の方の話に集中すると、ナナコちゃんが「どうしたの?」って聞いてくるし、そっちにかまけていると女神様から「話聞いてるー?」って言ってくる。うーむ、やっぱりプライベートな時間は絶対必要だ。


「というわけでね、せめて一時間か二時間くらいは一人の時間が欲しいなーって」

「だめー。リリンお姉様は私とずっと一緒なの」


 まるで幼児退行だ。カっちゃんも苦笑いしている。そう言えば、彼女には姉が居るのだが、そっちには懐いていないのだろうか。


「仲は悪くないが、ベタベタするほど良くもないな」

「ここまでベタベタするってのは殆ど無いでしょ」


 どうやら、幸いにして仲は悪くはないらしい。あまりにも身近すぎて、逆にある程度距離ができてしまっているらしいとの事だった。悪くないならまぁ良い事だろう。私は一人っ子だったので、その辺はよくわからないが。


 結局、ナナコちゃんはその後も私達と一緒に海に行くことになった。カっちゃんが根負けした格好だ。最近ちょっと影が薄かった仲間三人も、賛成に回ってしまったし。


「これで更に修行ができるぞ」

「常識外れが一人から二人になるだけだ」

「ロリ百合って可愛くていいわー」


 なんて奴らだ。特にゲネート、お前は後で〆る。


「カリーネさん、ロリはともかく、百合展開は無いから」

「もう既に百合百合じゃない」


 カリーネさんは、私の右腕に抱き着いているナナコちゃんを指さす。見た目はそうだが、私は無実だ。妹分で可愛がっているだけなのだ。

 結局私の必死の説明にも関わらず、カリーネさんのロリ百合疑惑を解くことはできなかった。むむむ、カっちゃん、あんたお父さんなんだから、そこで苦笑いしてないで何か言ってよね。


「まぁ、もういいや。それじゃ、皆、出発しましょうか」

「「「「はーい」」」


 なんだか遠足の引率になった気分だよ。私はがっくりと肩を落としながら、王様や王太子、自国に戻るカっちゃん達に挨拶して海に向けて出発した。

 ここからは、徒歩ではなく馬車での旅になる。王家から、迷惑料代わりに貰ったのだ。勿論王家の人が乗るような派手なのではなく、高級ではあるが、目立たない地味なものになっている。そしてそれを引く馬は三頭。これはクワイトが選んでくれた。よく馬と意思を通じ合わせる主人公が多いが、私にはそんな能力はない。ただ、クワイトは馬の良し悪しがわかるそうで、完全にお任せしてしまった。


「こいつら頭も良いし、力も強い。最初にたてた予定よりかなり早く着きそうだぞ」

「へぇ、これは良いものを貰ったね」

「まぁ飾りとは言っても王家は国の顔だ。それなりに良いものは揃えてあるさ」


 アルファーノ王国の王家には、実権は殆どない。だけど、国の公式行事や外交で賓客をおもてなしする際の主催をするのは王家の役目となっている。そのために作りの良いものがあるのだろう。


「二キロ先、ゴブリン三体」

「ほいよっ」


 私は探知魔法を展開し、半径二キロはこうして索敵を行っている。ゴブリンくらいなら迂回も必要無いだろう。そのまま突っ込んで蹂躙だ。


「おっ、見えてきたぞ」

「私行きたい!」


 ナナコちゃんが立候補か。ここは譲ってあげよう。でも、次は私の番だからね。って、あれ?これは。


「クワイト、このゴブリンはパスで。この先馬車がオークの集団に襲われてる!」

「何っ!」


 ゴブリン退治ができなかったナナコちゃんはちょっと不服そうだったが、人命がかかっているので不満を口にすることはなかった。だが、フォローは必要だ。


「ナナコちゃん、私と一緒に先陣ね」

「はいっ!お姉様!」


 うん、元気でよろしい。そこのカリーネさん、微笑ましい顔をしないで下さいよ。


 ゴブリン三体を馬車で跳ね飛ばし、そのままオークに襲われている馬車に向かう。ちょっとオークの数が多いな。三十体はいる。対して馬車側は戦っているのは四人。それなりの実力はあるようでこれだけの数に対して戦闘不能になった者はいないが、守勢に偏っているのかオークも減っていない。


「見えたぞ!」

「ナナコちゃん、行くよ!」

「はい!」


 クワイトが馬車でオークの集団に突っ込むと、ドアを開けて私とナナコちゃんが飛び降りる。オーク達は突如乱入してきた私達に混乱していたが、降りてきたのが少女だと知ると、いやらしい笑い声を出しながら向かってきた。


「そこの!助太刀します!」

「助かる!」


 お、この護衛の人はすぐに私達を受け入れてくれたようだ。初対面でこんな少女達を受け入れるなんて普通はないのだが、この人達は何者なんだろう。


「リリンちゃん!指示!」

「カリーネさんは馬車の周囲に結界を!ゲネートは攻撃魔法で比較的遠くの敵を倒して。クワイトは馬車を止めたら自由にオークの相手してて」

「おーい、俺の扱い酷くない?」

「「まぁ、クワイトだからな」」


 クワイトにはあまり細かい指示を出しても仕方ない。なんせ近接特化も良いところだ。周囲を見て動くなんてできそうにないから、目の前の敵を倒していくことに専念してもらおう。 ゲネートとカリーネさんは逆に魔法使いだから、守備はカリーネさん、攻撃はゲネートに割り振って、それぞれ専念してもらう。まぁ、私達パーティの鉄板布陣だね。


「でも、この数はちょっと多いね。三十体くらいかと思ったけど、どっから湧いてくるのだか」

「確かにちょっとおかしいわね。何か分かりませんか?」


 ナナコちゃんと話しながらオークを屠っていく。その間に探知魔法を再度展開して、このオーク達がどこから来ているのか調べてみる。うーん?何もないところから湧いている?


「ちょっとここお願い」

「はいっ!」


 私は襲撃場所から少し離れた草叢に向かう。やってくるオークは一太刀で倒して行く。こうして見つかったのは、驚くべきものだった。


「魔法陣。何でこんなところに」


 そう、魔法陣が輝き、そこからオークが現れている。召喚魔法だ。だが、これだけ継続性の高い召喚魔法は見たことがない。誰がこんなものを作ったのだろう?


 とりあえずは召喚陣を壊さないと。私は土魔法で召喚陣を壊し、オークが湧き出るのを止めたのだった。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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