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第023話

「カっちゃん、何か良い方法は無いかな?」

「既に動いている軍を止める方法なんて、そうあるわけないだろ。外交なんてできる状態では無いし、兵を送り込むわけにもいかん」


 私達がカっちゃんのところへ行くと、カっちゃんをはじめとするピース王国首脳部が頭を抱えていた。


「うーん、取りあえず少し休憩させてもらっても良いかな?ゲートって意外と魔力使うから、少し減ってきてるんだ」

「ああ、この部屋の隣が仮眠室だ。暫く休んでいるといい。方針決めたら姉御の仲間に伝えておくよ」

「わかった。それじゃちょっとお邪魔するね」


 私は首脳部の皆に断って仮眠室へと入っていった。

 そこは壁紙も、床も、調度品まで落ち着いた色使いでリラックスしやすい部屋だった。私はそのままソファの上に寝転ぶと、目を閉じて魔力の回復に努めた。


 暫くすると、隣の部屋で行われていた会議も終わったようで、ドアを開く音が聞こえてくる。こちらの部屋へのドアではなく、廊下へのドアだ。それから少しして、カリーネさんがこちらの部屋へ入ってきた。


「リリンちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫。魔力は満タンとは言い難いけど、八分くらいにはなったから戦うのにも問題ないよ」

「そう。それでこの国の方針なんだけどね」


 カリーネさんが教えてくれた内容は、以下の通りだった。


一、ピース王国としては軍は派遣しない。

二、だが、トルテさんを筆頭に編成中の諜報部隊をアルファーノ王国王都へ派遣し、可能であれば王族の身柄を保護する。

三、もし保護できれば、ピース王国に来てもらっても構わない。但し、公表はしない。


 うん、これ以上は無理だろうね。諜報部隊も、かなり危険な任務になりそうだ。ただ、ここで出てきてない私については何もない。カっちゃんが、私は国の駒ではないからその自由を縛るわけにはいかないと言ったのだそうだ。


 私は背伸びしながらソファから起き上がり、カっちゃんの下へ向かう。当然、私のこれからの予定を伝えるためだ。


「カっちゃんいるー?私、これからアルファーノ王国の王都に行くけ…ど…」

「おう、僕も行きますよ。連れてって下さい」

「却下で」


 カっちゃんは、何か怪しい黒ローブを来て、厨二くさい変な仮面をしていた。どうやら正体がばれないようにしたようだが、正体はばれなくてもとてつもなく怪しい人物になってしまっている。それに王自らが他国のクーデター鎮圧に行くなんて、さっきの方針はどうした!


「そこはそれ、謎の魔法剣士って事で」


 宰相さん達も頭を抱えている。私はとても嫌だったが、彼の強硬な姿勢に負けて連れて行くことになってしまった。兎に角時間がないから説得もろくにできなかった。


 まず、第一陣は私とカっちゃん。王都の目立たない場所に到着したらゲートで第二陣である私の仲間達と、ピース王国諜報部隊の皆さんを呼び寄せる。その後は諜報部隊が王族の保護に向かい、私達はクーデター軍を蹴散らすという予定だ。


「そう言えば、カっちゃん全属性持ちだよね。ゲートや飛行魔法も使えるでしょ?」

「そ、そうだね。じゃあ僕のゲートで王都に行こうか」


 こいつ忘れてやがったな。そんなわけで、第一陣も第二陣も同時にカっちゃんのゲートで移動となった。

 着いた場所は、王城内の庭園だった。まだ王城にまでは軍は来ていないようだが、やはり近衛師団だけで他の軍を食い止めるのは難しそうで、あちこち火の手があがりその場所もだんだん近づいてきている。


「では、保護部隊は至急王族の保護に向かってくれ。他の皆はまず議事堂に向かおう」


 カっちゃんの提案で、私達は議事堂に向かった。カっちゃんは何度か来ているらしく、迷いなく駆けて行く。私達はその後を一緒について行った。


「やはり、王宮の中の衛兵までクーデター軍に対抗するため出ているようだな。っと、そこを曲がれば着くぞ」


 私達は議事堂のドアを勢いよく開け、飛び込んだ。そこで目にしたのは、おろおろしている議員達だった。一段高いところに居るはずの王様の姿はない。


「おい、王様はどこに向かわれた!?」


 そこら辺に居た議員をとっ捕まえて聞いてみると、近衛師団のところへ向かったのだという。急がないとヤバいかもしれない。

 私達はその議員をほっぽり出すと、今度は近衛兵団が居るであろう一番戦闘の激しそうなところへ向かおうとしたが、トルテさんが侍従長と名乗り出た老人を連れて現れた。


「ピース王国で王族を保護して頂けるというのは本当でございましょうか」

「ああ、ここの王族には、今まで我が国に攻め込まなかったという恩義がある。今回の一件が無事終了するまで責任をもって保護致しましょう」


 せっかく変装したのに、何故かマスクを取って王として接するカっちゃん。まぁ、怪しい人と王様とどっちが信用あるかと言われたら、当然王様だよね。

「そう言うわけだ。姉御、トルテたちをゲートでピース王国まで送ってくれないか。僕たちはこのままクーデター軍にあたる」

「仕方ないわね。貸しにしとくよ」


 ここでの地理に疎い私が残るより、カっちゃんが皆を率いてくれた方がより早く着けるだろう。それに、私より弱いとは言えそんじょそこらの兵士ではとても敵わないくらい強い。カっちゃんの考えを理解したので貸し程度で済ませておき、王族達が集まっている部屋へ向かう。


「ここでございます」


 侍従長さんがとある部屋のドアの前に立ち、ノックをする。


「侍従長殿か?入ってくれ」


 許可を得て侍従長さんに続いて私も入る。そこには、王妃様らしき年配の女性と、その子供達、そして更にその子供達がひと固まりになって不安げな表情でこちらを見つめていた。


「ピース王国から王族の方々を保護するために参りました、リリンと申します。これからピース王国にゲートを開きますので、トルテの後に続いてお通り下さい」


 できるだけ丁寧な言葉遣いでそう告げ、ゲートを開く。ゲートの向こう側はピース王国の王城だ。宰相さんや近衛兵達の姿も見える。


「では、私から通ります」


 トルテさんがゲートを通っていく。それに続いて小さな子供達を連れた王太子らしき人の家族、そして最後に王妃様が通る。その時、王妃様は私に簡単ではあるが礼を言ってくれた。随分腰の低い王妃様だなぁ。でも、その方が良いや。


「よし、これで全員かな。侍従長さんも向こうに行っとく?」

「いえ、私は陛下の下へ戻ります」

「私もこの後は向かうつもりだったから、案内してくれるとありがたいな」

「分かりました。では、こちらへどうぞ」


 侍従長さんの後ろについて走りだす。侍従長さんは、いつの間にか剣を手にしていた。私も用意しておこう。


 暫く走っていたら、どうやら王宮の門近くまで来ていたようだ。戦闘中の気配が強くなってきている。うーん、近衛師団は更に戦線を後退してしまったようだ。このままでは王宮に火が放たれてしまうだろう。


「王宮に結界を張ります」


 私は侍従長さんにそう言って、王宮の周囲を囲うように結界を作り上げる。この結界は決して強いものではないが、少しは時間稼ぎになるだろう。

 その結界から出ると、もうすぐそこに戦場が広がっていた。カっちゃんも魔法と刀でクーデター軍を蹴散らしている。私の仲間達もそれぞれ頑張っているようだ。


「姉御、とにかく敵の数が多い!減らすの手伝って!」

「分かった!」


 こういう時は落とし穴だ。まずは新たな援軍が現れないよう、敵軍の後方の道路は陥没させよう。あと、探査魔法も併用してだれもいない家も一緒に落とすしかないか。


「うわぁっ!」


 深さは五メートルくらい、幅も五メートルくらいにしたので、そうそう渡ってはこれないはずだ。ついでにその時に出た土砂でゴーレム部隊を作っておこう。


「いけっ!ゴーレム部隊!」


 何故か屈強なゴーレムが百体程出来上がったので、敵軍の一角から切り込ませる。核にはレッドドラゴンの魔石を使っているので、普通の軍隊では対抗できるはずがない。

 前線のクーデター軍は崩壊していく。近衛師団は、正体を現したカっちゃんの説明を受けて一旦下がって部隊再編に移った。これからはこっちのターンだよ。


ここまで読んで頂きありがとうございます。

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