第013話
すいません、色々な手続きですっかり遅くなってしまいました。
次回からは元のペースに戻せると思います。
「では、魔王の国に行きましょう!」
古竜に村の近くまで来てもらい、私達を乗せてもらうことにしていた。今はその待ち合わせ場所に来ている。
「おい、本当に大丈夫なんだろうな」
『大丈夫じゃよ。お主等が暴れなければな』
「クワイト、大人しくしておけよ」
「そうよ、あなたが一番危ないんだから」
「おい、おめぇらだって口じゃそう言ってるが、空飛んだことなんかないだろ!」
飛行魔法があるわけでもなし、空飛んだ人間なんて殆どいないと思うよ。
「クワイトは大丈夫。魔物に何度もぶっ飛ばされてるから」
「「ああ…」」
どうやら二人も納得したようだ。クワイトも納得したようだが、こいつ褒められたわけじゃないってことは理解しているのかね?まぁ、本人が気にしていないならいいか。
荷物は私が空間魔法で作った異空間に放り込み、私達は古竜の背にまたがった。
「では、出発!」
『応!』
古竜は翼を広げ、軽く羽ばたくとその身がふわりと浮き始める。どうも翼は空力による浮力を得るためではなく、魔力を放出して飛行魔法の効率を上げるためのようだ。そのまま垂直に浮かび上がっていった古竜は、今度は魔王の国の方を向くと水平に飛び始めた。流石にいきなり全力ではなく、徐々に加速していくようだ。
『障壁はいるか?』
「ううん、私が張るから大丈夫」
『そうか。ならばもう少し速度を上げるから、障壁を張っておくが良い』
古竜の指示に従い、私達の周りに風の障壁を張る。これで風圧で吹き飛ばされる心配はないね。仲間達もほっとしているようだ。
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古竜の背に跨って移動するなんて、竜騎士ですらできない事を体験しています。リリンちゃんやクワイトの脳筋は楽しそうですが、私とゲネートは顔が真っ青です。
「カリーネ、お前顔真っ青だぞ」
「そう言うゲネートも同じじゃないですか」
だって、ものすごく高いんですよ。しかもイマイチ安定しないので、不安で仕方ありません。リリンちゃんは楽しそうに古竜とお話ししているようですが、私達には良く聞こえません。
「皆、古竜が速度上げるから、障壁はるね」
そう言うと、リリンちゃんは風魔法で障壁を張り始めました。その直後、古竜は速度を上げましたが、風の障壁のおかげで風圧は受けずにすみました。ですが、ですが、この速度はいくらなんでも速過ぎです。
前方の雲があっという間に後ろに流れて行きます。怖くて下なんか見てられません。ゲネートも同じようですが、半分魂が抜けているようにも見えます。後でからかう良いネタができました。
先頭のリリンちゃんの後ろに座っているクワイトは、リリンちゃんと楽しそうです。こいつはやっぱり脳筋です。リリンちゃんは既に人間の枠からは外れているような気がするので、このくらいは大丈夫なのでしょう。
「リ、リリンちゃん、あとどのくらいで着くの?」
「あと30分くらいだって」
まだ半分くらいなんですね。気が遠くなりそうですが、落っこちて死ぬのは嫌なので頑張って気を失わないようにします。
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古竜のおかげで、魔王のお城の近くまで送ってもらいましたが、この場所はどこでしょう?近くには村が見えますが、村人達は古竜が怖かったのか警戒心半端ないです。
「カリーネさん、ここはなんて村か分かります?」
「確か魔王のお城に一番近い村だったと思うわよ」
古竜での飛行途中、随分と大人しかったゲネートとカリーネさんですが、地面に降りて元気が出たようです。私の問いにすぐ答えてくれました。
「取りあえず、ここにじっとしていても仕方ない。行きましょう」
私は村に向かいました。村の入口には魔族の方が二人立っていて、明らかに警戒しています。
「お前達、何者だ」
「一応勇者。だけど、魔王さんと戦うつもりはなくてお話ししたいから来たの」
「勇者だぁ?お前がか」
「うん。ステータス見る?」
ステータスプレートを全公開にして門番に見せる。それを見た門番の顔色が変わり、慌ててもう一人に合図を送った。送られた方は走って村の中に入っていったが、村長さんでも連れて来るのだろう。
「お前らは、ここでもう暫く待て」
門番は私達にそう言うと、別の人を呼んで監視させてきました。私達はぼけっと立ちっ放しもなんなので、土魔法で椅子を出してそこに座ります。監視の人にも勧めましたが、断られてしまいました。せっかく作ったのに、勿体ないです。
テーブルも作って皆でお茶を飲んでいると、先程走っていった門番が村長を連れてきました。ここの村長もかなりのお年寄りですが、結構鍛えているのか息を切らした様子は見えません。
「お主等が勇者一行かい?」
「はい、リリンと言います」
元気よく答えると、村長さんはにっこり笑ってくれましたが、その後すぐに顔を引き締めると、また問いかけて来ました。
「ここへはどんな用事で来たのかい?」
「魔王さんとお話しをしにです」
「へぇ、魔王様と戦うんではなくて?」
「はい!神様からも良い人だからって聞いてますから、戦うつもりはないです」
ここはちゃんと答えなくちゃね。誤解されると大変だ。
「そうかい。なら、この村にしばらく泊まっていくがいい。魔王様に謁見のお伺いをしないといけないからね」
「はい、わかりました」
そうか、王様だから、行ってすぐに会うわけにもいかないか。後ろでは三人がちょっと吃驚した顔をしている。私、そんなに常識無しじゃないよ。うちの王が酷いから、あんな対応になっただけなんだよ。
そんなわけで、魔族さん達の村に暫く泊まることになった。因みにお金はこの世界では共通なので、特に両替の必要もない。これって地味に便利だね。
「で、魔王さんに会ったら何を話そう?」
「え!?まずそこから!?」
戦うつもりはありませんって言うだけなんだけど、他にも話題あった方がいいじゃない。そう思って聞いてみたのだが、返ってきたのは「特に何でもいいんじゃない?」だった。むぅ、肝心な時に役に立たないんだから。
取りあえず、普通に挨拶してから戦わない事を約束して、その後は適当にお話しする事で決定した。これって決定で良いの?なんか具体性に欠ける内容だなぁ。
「話題かぁ。あのクソ王を倒す方策でも話題にしようかな」
「「「それはダメ!」」」
おおぅ、満場一致で否決されちゃったよ。冗談ではあったけど、本当に話題にしたら戦争になるかも知れないね。やっぱりやめておこう。
んー、となると良い話題が無いよ。ここ最近の出来事だって、大した話題じゃないだろうし。あ、魔王さんの国って農業改革してるって聞いたな。村に導入できないかな。私の前世は腕っぷしがメインで、そんな雑学には詳しくない。植物を植えたら肥料が必要ってくらいだ。もしかして、魔王さんも転生者なのかな?
「そう言えば、この国って名前は無いの?」
「人族の国は複数あるから国名もあるが、魔王の国ってここだけだからと思っていたが、あるかもな」
「この国の名前ですか?勿論ありますよ」
ちょうど村長さんがやってきた。聞いてみると、この国の名前は「ピース王国」と言うのだそうだ。
「何でピース…」
「どこかの国の言葉で平和って言うらしいです。魔王様も私達魔族も平和主義ですからね。その名前に満場一致で決定しました」
やっぱり転生者だね。「ラブ アンド ピース」なんて名前にしなかったのは、理性が働いたからかな。よし、魔王さんと二人の時に話してみようかな。
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