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002 死亡、そして始まり【まずは自分自身の事】

まずは自分自身の事。


名前:ジュリアン・グロウ/愛称・ジュン

年齢:16 男

くすんだ金髪に紫の瞳は八月一日アコンの本来の姿に酷似している。髪は後ろで1つに縛れるくらいの長さがあるが…鬱陶しいな。頃合いを見計らって切ってしまおう。

田舎の農家の二男で、兄と姉が1人ずつ。3兄弟の末っ子。優しい家族ではあったが、どちらかというと貧困層にいたので、食いぶちを減らすため、それに実家にしおくりする(が出来たら良いな)ために、冒険者になるか迷ったが、ある程度安定した稼ぎが入る騎士団に入団を決意。

成人とみなされる13歳で家を出て2年間訓練兵として身体を鍛え、16歳になった時に見習い卒業試験も兼ねた巡回に参加。

そして魔物にやられて命を落とす。


「初陣だったのに…何と悲惨な」


自身の身体だが他人の事。運が無かったんだな、かわいそうに。

だが、2年間訓練していた割には細っこい身体じゃなかろうか?身長は160後半で…170はなさそう。それに剣を振るったり走り込みしてたりしたんだから、もうちょっとがっちりしていても良い気がするが…あぁ、年齢がまだ若いから身体が出来きっていないのかもしれない。性格は兵士向きでは無く、良く言えば優しい、悪く言えばビビり。人だけではく、獣にも刃を向けられない奴だったようだ。

あと一人称は「僕」か。僕、僕、僕。普段が俺だから、間違えないようにしないと。

そうして記憶を整理していると、人の能力値を数字として表わす「ステイタス」が見られるという記憶を探り当てる。


「これは…どっかの世界でもそうだったな。ゲームみたいに経験値を得てレベルを上げるタイプか。レベル機能がつくと見た目が華奢でも怪力を持てたりして、肉体が成長出来ない俺には便利だったはず…」


八月一日アコンは魂のみ。ゆえに世界に降りるために死人に入る。宿った身体はあくまで死体。

そのため自身の体を成長させる事が出来ない。筋トレしても筋力は増加しないし強化もしない、子供が大人になるように身長が伸びたりすることも無い。それなのに筋肉痛だけはしっかりと発生するし、怪我も病気も自然治癒でき、髪も伸びる。良く分からないこの機能ばかりは不親切な気がした。

だがレベルで強くなる事が出来る世界は、見た目や実際の筋肉量が変わらなくても強く成れる可能性がある。


ジュリアンが死ぬ前にみたステイタスではレベルが6だったはず。実年齢÷2が適正レベルと言われているこの世界では、ちょっと低めなレベルだな。今も変わらず6だろうか?ちょっと見てみよう。そう思ってゆっくりとベッドから起き上がろうとすると再び声がかけられた。


「なにしてるんだジュリアン、もう少し寝ていろ」

「あ。いえ、もう大丈夫です」

「無理をするな。怪我をして運び込まれたのは昨日の事なんだぞ」


白い服を着た美女を連れて帰ってきた彼は、ジュリアンが所属する巡回兵団の副隊長だ。


名前:エンリケ・フクス

年齢:18 男

フクス伯爵家の三男坊。かなり良い所のぼっちゃまなのだが、家を継ぐ可能性の低い三番目という事で、兄を支える力を得るため騎士団に入ったらしい。身長は180半ば。がっちりした体格だが、筋肉で身体がごついという訳ではなく、細マッチョで爽やかイケメンだ。剣も使えるが騎馬でランスを持つ事を得意とする。また、今回の巡回で彼は初めて「副隊長」という率いる立場に任命された。そういう意味では彼もまた、初陣だったわけだ。

初陣同士でソワソワしていたら、何故かいつの間にか中良くなっていた。伯爵という身分をかさにきないでフランクに接してくれたからだろう。おかげで自分と同じ新人だと思っていたジュリアンは、彼が副隊長で貴族だと知って土下座する勢いで謝ったのは出発直前の事だ。


「みたところ傷は完全にふさがったようですわね。他に身体に異常はあります?」


そしてからだを見てくれている美女。赤い腕章をしていることから彼女がここに居る医者らしい。という事は、白魔法使いという事だ。


この世界には魔法があり、怪我はヒール、毒はキュアで治療する事が出来た。医者が腹の包帯を取って確認をして居るのを自分も見ながら、傷跡すら残っていない身体を確認して…ってあれ?何時の間に脱がされた!?早業過ぎて気付かなかった。


「身体に痛みはありません。ただ、ちょっと頭が重いというか…」

「おそらく魔物の毒気に当てられてしまったのでしょう。でもこの施設には邪気払いが出来る神官職の人がいませんの。…あぁ、心配無さらないで。街中は一応安全地帯ですから、此処にいれば自然に抜けるはずですよ。うふふ、何なら私と添い寝でも…」

「からかうのはやめてやって下さい。彼は目覚めたばかりなんですよ?」

「…もう。つれないんだから。でもそうね、まだ日が昇ったばかり。…良いわ、まだ夜には早いものね」


大人の女性だ。どう言い返したらいいものかと考えて無言になってしまったら、エンリケが助けてくれた。

最初はジュリアンに絡んでみたが、エンリケに注意されて病み上がりという事も考慮したのだろう。出ていくまでターゲットを彼に変えて絡みまくっていたが、暫くして満足したのか「何かあったらまた呼んでね」と言って出て行った。

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