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139 学園、そしてドルァルエクス【シェルキャッシュの道案内】

シェルキャッシュの道案内に従って、冬威たち一行はドルァルエクスを目指す。エルフの里から出た当初は土の地面に周囲には草が生い茂っていたのだが、進むにつれて1人分ほどであって道幅は広くなり、次第に農道のような道は平らになり、馬車のような車輪の後が目立つようになったかと思えば、ところどころ石畳で舗装されているような道に出くわしたりなどして、だんだんと中心部に近づいてきているんだなと感じられる変化が大きくなってきた。

立ち寄る町や村も、農村地区から商業地区のような街並みに変動し、それに伴い役場のような管理者がキチンと監視する立派なものになっていく。

道がしっかりして行くにしたがって、見回りがしっかりされてきているのか魔物との遭遇率も低くなってきた。あるときにギルドで「街道の監視も冒険者ギルドに依頼されたりするのですか?」と聞いてみたところ、それはその土地の領主が抱える騎士団の仕事らしい。たまに冒険者たちにも依頼が回ってきたりするが、魔物が街道に現れたところに遭遇した場合可能な範囲で討伐するのが暗黙の了解のようだ。それに加えて道の所々に街灯のようなものが立っていて、それが発する光が魔物を追い払う効果が有るらしいと回答を受けた。これもまた魔法の力なのだろうか?詳しくは分からないがさすがである。


途中の町でシロ、クロ、クラック、シェルキャッシュもギルドに登録を済ませた。身分証として使え、大きな都市に入るときには必要になるらしく、その時になって慌てるより良いだろうという判断からだ。クロとシロの種族はどうするべきだろう?と考えたが、見た目は完全に人間だし特に種族を申告する必要も無かったので曖昧な感じで済ませてしまった。ギルドカード作成時にはまた何か問題が起こるかとも思ったが、クロは自分で意識して力をセーブし、シロはまったく何も考えていなかったが幼い個体(?)という事で、冬威たちが登録した時に起きたような問題や、特に騒ぎ立てるような事件は起きなかった。


そして一行は先を目指す。ドルァルエクスはもうすぐだ。



**********



「右を狙うぞ、避けろ黒猫!」

「俺の名前はクラックだってば!覚えてよ!」


ジュリアンに教わって弓を覚えたクロはどうやらとても気に入ってしまったようだ。その後頻繁に弓での攻撃を繰り返していたが、ジュリアンほど命中率は高くないにもかかわらず一撃の破壊力が強い。これはたぶん種族の違いによる弓を弾く力の強さか、もしくはスキルを取得したかのどちらかだと思われる。ただ、最初にお試しで渡した弓は、その怪力ゆえに弓をひいただけで破壊していたため、単純に腕の力の強さが関係しているのかもしれない。そんなクロは遊撃手として立ち回るクラックのサポートに回ることが多くなってきており、初めは竜であるクロにビビッていたクラックだったが何だかんだで慣れてきたようだ。


「まだ残ってる!また突撃するよぉ~!」

「シロ!もう数体だから吹っ飛ばして追いかけないといけない状況にしないでくれる!?」

「えぇ、でもトーイは走るの好きでしょ?」

「どうしてそう思ったのか後で聞いてもいいかな!?」


シロと同じく一番前に多くたつ冬威は自然とシロのお守の役割もしだした。単純に吹き飛ばしていくシロの攻撃は威力も高く大変有効ではあるのだが、その時その時に敵が大きく吹き飛ばされるために近距離の冬威はそれを追いかけていく必要があるのだ。毎回これを繰り返されると肉体的にも精神的にも疲れる。


「あと2体だよ、まだ気を抜かないで」

「ちょっと、前に出過ぎですわよ。あなたがやられたら休息場所が失われる事になります、もう少し下がりなさい」

「あ、はい」


そんな戦闘中の4名とは別に後方に待機するジュリアンとシェルキャッシュ。ジュリアンは単純に戦闘能力が無いため、シェルキャッシュは無駄だと分かっていながら魔法での攻撃を試しているためだ。とりあえず生活魔法の取得をサポートするためにジュリアンが軽く魔力を練る手順を教えたところ、何かを掴んだらしい。ただ「分かりましたわ!」と大声で宣言してから数日たつが、特に何の変化も見られない事実に誰も突っ込むことはしない。

いきなり攻撃は出来ないと理解しているシェルキャッシュは、とりあえず戦闘中でも魔力を練ることが出来る様戦う仲間を見ながら練習しつつ、うち漏らしが通ってしまった時のためのジュリアンの護衛のような役割も兼ねていた。


「女性に守られるなんて…僕だって剣使えるのに」

「分かってますわよ。でも前衛があれほどたくさんいるのですよ?わざわざ突っ込んでいく必要はございませんわ。…って、何をしているの?」

「え、あぁ、薬草見つけたから採取してるんだ。戦闘に置いては役立たずだからね、他の事でカバーしないと」

「ほかの事…宿を持っているというだけでただの役立たずではないと思いますけど」


何度か採取を繰り返したせいだろうか。採取のスキルをいつの間にか獲得していたジュリアンは、雑草にまぎれる薬草を発見するのが上手くなっていた。しかも知らない間に2になっていたのだ。コレを活用して戦闘準備として必要な傷薬や毒消しなどをアナザーワールドを利用して常備している。コレをギルドに持ち込んでお金に換えることもできるので、仲間が戦闘中だったりで時間がふいに出来てしまった時は周囲をよく確認するようになっていた。


そんなこんなで戦闘を交えつつ進んだ一行は、ついに巨大な学園都市をその目にとらえたのだった。

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