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134 レベルアップ、そしてcheatの片鱗【「トーイ、右から来てるよ!」】

「トーイ、右から来てるよ!」

「おう!」

「飛び出した1匹はわたくしが仕留めますわ!」

「シロも頑張るか…ぐえ」

「おぬしは待て!下手に突っ込むんじゃない」

「ラック、前に出過ぎている、下がって!」

「わ、分かった!」


一番前に出て切り込むのは冬威。盾持ちのタンクが居ないので、切込み役であると同時に後ろの仲間に攻撃がいかないようにする一番の踏ん張りどころだ。そして逆に一番後ろにジュリアンがいて、広い視野で支持を飛ばし、その間に立つのがクラック。男子メンバー3人を主軸として、その攻撃範囲から外れていくハグレを、身体能力強化の魔法を使えば一番速度のあるシェルキャッシュが仕留めに回り、よくわからずに飛び出そうとするシロはクロが頑張って抑えていた。


武器は冬威とクラックの武器は相変わらず剣とナイフなのだが、ジュリアンは後ろで弓矢を構えていた。

ギリギリと音をさせながら引き絞り、狙いを定めて矢を放つ。

矢は、ヒュンと風を切ってまっすぐ飛び、冬威とクラックが移動して出来た隙間を縫うように飛んでいく。そしてそれは散々行く手に出現していた魔物、プレタの眉間に吸い込まれるように飛んでいき突き刺さった。魔物と言えど生物。見た目は化け物のようでゾンビのように見えるとしても、頭を射抜かれたプレタはその生命活動を終えて地面に沈んむ。


「おぉ!またヘッドショット!さっきから全然外さないよな、百発百中じゃん。でもう弓スキル出たんじゃね?」

「ちょっと待って、確認する…。…う~ん、まだみたいだ」

「えぇ~!あれでまだ出てないのかよ」

「え、スキル出てないのに命中させられるの?…です?」

「あぁ、今は良いんだよ。敬語は偉い人に対して…いや、タイミングは教えてあげるよ」

「うん。よろしく…お願いです」


軽いきっかけでスキルが発生した経験から、1、2回でゲットなるかと思われた弓スキルだが、なぜか一向に現れる気配は無かった。今まで通りならば物理的性のないジュリアンであれば、こういったスキルを発現させるのは簡単だと思ったのだが、予想が外れる。

仕方なく、これまで磨いて来た狩の勘と、過去の(別世界での)経験をもとにこの命中率をたたき出しているのだ。これに「弓スキル」、あるいは「命中度アップ」が付いた日には、たとえ的が岩の裏でも、たとえ自分が目をつぶっていても、命中させることが出来るようになるかもしれない。

しかしとりあえず現時点ではこの完成度で不便はしていない。相手が魔法らしい攻撃もしてこないというのも大きいだろうが、あくまで学園都市に行くまでの仮の攻撃手段なのだ。上出来だろう。


少しだけ教えた敬語という言葉遣いをたどたどしくも使ってくるクラックに笑顔を向けながら、ジュリアンは彼が持つナイフを指さした。


「ふふっ。そうだ、武器の調子はどう?」

「石のナイフはちょっと重いけど、振り回すにはいいかも…です」

「うーん、やっぱ敬語、無しでよくね?」


自身の弓もそうだが、クラックが使っている石のナイフはジュリアンが作成した物だった。


初めは銀色のナイフを使っていたが、使用するたびに丁寧に手入れをしているので、手間じゃないか?と聞いたのが始まりである。

初めて人からもらった大切なものだから、輝きをいつまでも保ちたい。

そういわれて、あげた方としては嬉しい限りなのだが、ナイフは武器だ。使用しつつ、いつまでも輝きを保つというのは難しい。そのためどうにかならないか…とアナザーワールド(もうすでにアイテムボックスの倉庫扱い)に代わりになるようなものが無いかと探索をかけた時だった。


スキル一覧のアナザーワールドの側にあった『職人』スキルの横にプラスの表記が増えていた。

何だろう?と思いながら触れてみる。


****

職人

 武器職人

 装備職人

 道具職人

****


すると職人の項目が出てきた。いったい何の意味があるのか…と思いながらとりあえず一番上の武器職人を選んだみると、


****

武器職人

木の剣

木の棒

石のナイフ

石の剣

**** 


と、武器の名前がズラズラと出てきた。

これを見て「もしかして…」と一番上の木の剣を選んでみると、


****

木の剣=木の枝×3

****


とレシピが現れたのだ。これを見て適当にそこらへんに転がっていた枝、しかも剣には到底適さないだろう細い物を手に取って見る。しかしこれを実行することは出来なかった。

やはり武器になりそうな大きさが必要なのかと、大きめの枝でも試してみるが効果は無い。

もしかして、この武器を作るときに必要な素材を教えてくれるだけなのだろうか?と考えながらも、拾った枝は薪にでもしようとアナザーワールドに放り込んだときに

『木の剣を作りますか?』

という問いかけが現れた。


成程。

素材はアナザーワールドに入っていればいいのか。

そう結論付けたジュリアンはとりあえず木の剣を作成。

この時フォルムを選ぶ場面もあった。普通に両手剣のような木の剣にするのか、木刀のような刀タイプにするのか。


「なんだかおもしろいぞ」


と調子に乗ってそこらへんの物を適当に入れて遊んだ結果でできた石のナイフをクラックにあげたのだ。

銀のナイフはお守りとして持つことにして、普段は折れても無くしてもかまわない石のナイフで戦闘に臨む。


それにしても、なぜいきなりこんな機能が現れたのか?

と思ったら、アナザーワールドが+2になっていた。

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