追われるアリス
▼最初で最後の警告▽
BL やおい などの単語がわからない
苦手 な方はお引き取りください
作者の趣味がかなり反映されてるのでご了承ください
ちなみに作者はこの様な注意書を
作品に入れる行為が好きではないのでこの様な注意書はこれ以降存在しません
残酷な描写や15禁な描写も予告なくスタートします。
その辺を考慮しながら お楽しみください
それでは ようこそ
私立晴嵐高校
別名『御伽の学園』の世界へ
4月の入学式。
真新しいブレザーを着て、真新しい上履きを履いて、この入学の為に新調した女顔を隠すための眼鏡。
進学の確約の看板掲げている超エリート校に入学する為の涙ぐましい努力を重ねた受験勉強の日々を乗り越え、俺はこの北陽への入学チケットを手に入れた。
そう、俺の準備は万全だったのだ。なのに、人生とは虚しくも悲しくもあるもので…。
と言うのも俺、有栖川 咲は、現在絶賛逃走中だった。
何故かと言うと答えは単純明快。俺は追われているからだ。
追ってくるのは先輩達で、喧嘩で鍛えているのか体育会系張りの体格と体力で(もしかしたらほんとに運動部なのかもしれないが)逃げても逃げても一定の距離を保つ事で精一杯だった。
同級生が混じっていないことは不幸中の幸いだったのかもしれない。
いや、不幸には変わりないのだが…。
ここは俺が猛勉強の末に望んで入った超エリート進学校北陽高等学校ではない。
廊下に女子の一人も居らず身に付けている制服が学ランの現状が何よりの証拠だ。
もう虚しすぎる。神様が居るならなんて無慈悲なんだろうか…少しくらいこの容姿で苦労した俺を救ってくれたって良いじゃないか…。
そう。今追われているのは俺の容姿と、季節外れにやってきた転入生(俺のこと)について書かれた校内新聞が原因だった。
身長162センチ、綺麗に手入れされたサラサラ黒髪のショートヘア、色白な肌に薔薇色の頬、浮かべる円らな黒い瞳は伏し目がちにしながら長い睫毛に縁取られている美少女級の転校生。
新聞を要約するとこんな感じだろうか……八割形間違っているが。
確かに、美少女と言われても仕方がない容姿をしているとは思う……断固として認めたくないが。
時々寝惚けて鏡見ると自分でも「誰この女」って思って自己嫌するくらいだし、町でナンパしてくんのはほとんど男。(時々レズっぽいお姉さんとか)
ほんと悲しいほど見事な女顔……。言うまでもなくコンプレックスである。
だが、そうだとしてもこの記事は流石に大袈裟に書きすぎだ。
悔しいが低身長は合ってる。黒髪も合ってるが特に手入れと言う程のことはしていない。
肌の色が白いのも生まれつき白くて焼けにくいからだが、薔薇色の頬ってなんだ。どこの白雪姫だっつーの。
長い睫毛に黒目も合っているが、円らと言うほど丸くない。どちらかと言えば二重で上がり目な猫目に近い感じだと思う。
だからこの記事から連想される可憐で気弱そうで、おしとやかっぽい容姿なんかじゃない。むしろ気は強い方だし。
つまる所、この記事の上乗せにつられてまた今日もこの先輩達は俺を追いかけてきているわけである。
***
ここは私立晴嵐。しかも男子校であり、不良校と悪名高い高校でもある。
こんな外見の俺にとって男子校は正に地獄だ。
本当なら今ごろ共学の超エリート校に通ってたはずだったんだ。そう『超』のつくエリート校…北陽にだ。
猛勉強の末、奇跡的に受かったあの学校にまだ通いたかった…通いたかったんだよ!!
そうすればこんなこんな女の子みたいに可愛いとか言われるような俺でも顔が悪い訳じゃないはずで彼女くらいは作れたはずだし、普通の友達だって作れたはずなんだ………多分。
なぜこの高校に入ることになったのか。遡ることそれは三日前のことだ。
丁度、前の高校に慣れたかなーどうかなーって感じの曖昧な桜の花も葉桜になる時期で、そんな時にうちの親とその親友の所為でこの学校に通うことになった。
『あれ』がなければ、男子校なんかに通わなくてもよかったのに…とか思っちゃうわけで。
北陽ならきっとこうゆうごつい先輩たちに追い回されなくて済んだかもしれない……とか思っちゃうわけで!
少なくとも、あそこには希望があった。希望だらけだった。希望に満ち溢れてた。むしろ希望しかなかったって位だ。
それをあの親は子を売るような真似を…!!
あいつらの所為で俺の人生はお先真っ暗だ。
そうやって一人嘆いていると、ダダダダッと近くの廊下で足音が聞こえる。
(うわ、まだ撒けてなかったのか……っ)
聞こえた途端に背筋にゾクリと寒気が走って、心臓が悪い意味でドキリと跳ね上がる。
兎にも角にも今は逃げないといけない。俺は必死に校内を走り回った。
俺は思った。
こんなこと考えてる場合じゃないけど俺は思った。逃げなきゃ待つのは一方的な搾取(大袈裟かもしれないけど、俺はこの時そのくらい怖かった)
これがほんとの『リアル鬼ごっこ』ってやつだ。
アホみたいだが俺の頭は、こんなことを考えてしまうほど焦っていた。