序章 「この世界の当たり前」
ーー今日はちょっと特別なお勉強をしましょう。
じゃあ、"明るい時間に急にお外が暗くなった"のを一回でも見たことあるよー!って人、手上げてみて。
うんうん。そうだね。皆、見たことあるよね。
先生も何回も見たことあるよ。
この、暗くなっちゃう事を『閃時』って言います。
ん?"なんで暗くなっちゃうの"って?
それはねーー、
先生も"わからない"んだ。ごめんね。
いっぱい本を読んでも、沢山の人にお話を聞いてもどこにも"書いてない"し、皆"知らない"って言うの。
そう。だからごめんね?
"そういうもの"って覚えてて?
次のお話行くよ?
その、『閃時』の時、お父さんお母さんに言われてることあると思うんだけど……
そうそう。皆よくお家の人の言うこと覚えてるね。偉いね。
お外がまだ明るい時間に暗くなっちゃったら、持ってるもの…例えば懐中電灯を使って、"周りを明るくしましょう"って。
ね、明るい方が怖く無いもんね。
じゃあ、この『閃時』にいてもう少し知っておこうか!
まず、一つ目!
暗くなってから、どれくらい時間が経ったらあかりが点くでしょうか?
これはね。意識してないとわかんないんだよ〜。
難しい?そうだよね。わかるわかる。
先生も、普段あんまり意識してないから皆の気持ちわかるよ。
でもね、この時間がどれだけあるのか覚えとく事が大事なんだよ?
なんでって?
それはね……答えの時一緒に教えてあげる!
ん?もう無理?もう無理かぁ。じゃあ先生、答え言っても良いかな?
答えは、十分。
"暗くなってから十分経っても『閃時』が終わらない時は、公園とか道路のあかりが点く"ようになってるからね。
覚えといてね?
二つ目いくよー?
じゃあ、なんで明るくしないといけないでしょうか!
うん?お化けが出るから?ほぼ正解!流石、ちゃんと知ってて偉い!!!
"『煤』って名前の真っ黒な悪い奴が急に現れて、皆のこと連れていっちゃう"の。
――先生?先生はまだ見たことないかな。
でも、"人を食べちゃったりする悪い奴"だから、"明るくして近くに来ないように"気をつけようね。
お家の中には入ってこないの?って。
『閃時』の間は、"家の中も暗いところには入って来るかもしれないからちゃんと電気をつけて明るく"するんだよ。
じゃあ、そんな怖い『煤』を倒してくれる強い人達がいるんだけど皆知ってるかな?
お!知ってる?それなら、せーの、
「「「「「フォスタシスーーー!!!!」」」」」
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これは僕、燈下海音が小学生の頃、この町――葵出町に現れるとされる『煤』について、入学してすぐに習った時の記憶だ。




