神獣戦争と双竜の共鳴
帝国騎士団による〈ノミナ・エルディア〉への急襲は、理想郷に静かに暮らしていた神獣たちを戦場へと引きずり出した。
カイル=アスカリオンは、白炎竜ヴァルセリウスの背に乗り、帝国の部隊の前に立ちはだかった。
「この地は、神獣と人が共に生きる場所だ。
帝国の秩序がそれを否定するなら、俺はその秩序に問いを突きつける!」
帝国騎士団は、カイルの言葉に動揺しながらも、命令に従い進軍を開始。
神獣たちは、契約者の命令ではなく、自らの意思で応戦を始めた。
神獣たちの咆哮
風鼠ゼフィリスは、リュミエールの呼びかけに応じて空を駆け、雷狼ルクスヴォルフは、かつての敵レオニスと共に帝国の兵を守る。
神獣たちは、契約の枠を超えて、意思で動いていた。
その中で、カイルは異変を感じる。
空が黒く染まり、雷鳴が轟く。
「……ノクトゼルム」
黒雷竜ノクトゼルムが、帝国の空を裂いて現れた。
その瞳は、カイルを見据えていた。
「汝は、真理を選びし者。
だが、理想を拒む者ではない。
ならば、我が力をも受け入れよ」
その瞬間、カイルの聖印が再び輝き、双竜の印が完全に共鳴した。
双竜の共鳴
「神語詠唱・双竜の黙示(ヴァルセリウス&ノクトゼルム)!」
白炎と黒雷が交錯し、戦場を包む。
その力は、破壊ではなく、沈静だった。
帝国の兵も、異端教団の戦士も、神獣たちも、すべてがその光に包まれ、動きを止めた。
「この力は、神々の問いだ。
人間よ、神獣よ——お前たちは、共に歩む意思を持つか?」
その声は、双竜の共鳴によって、すべての者の心に届いた。
沈黙の中、ネオ=ノアが歩み出る。
「カイル。君は、調停者だ。
真理と理想の狭間に立ち、世界を繋ぐ者。
ならば、我々は君に委ねよう。
この世界の未来を」
帝国の騎士団長もまた、剣を収めた。
「神獣が意思を持つならば、我々はそれを尊重すべきだ。
帝国の秩序も、問い直す時が来たのかもしれない」
戦の終焉と新たな旅
戦は終わった。
だが、世界の問いは終わらない。
カイルは、双竜の力を胸に、神獣と人間の共存を探る旅へと出る決意を固めた。
「俺は、答えを探し続ける。
神獣の声に耳を傾け、世界の真理と理想を繋ぐために」
リュミエールもまた、彼の隣に立ち、風鼠ゼフィリスと共に歩み出す。
——神々の黙示録は、今、新たな章へと進み始める。