騎士団への入団と神獣解放戦線
神獣学院での試練を終えたカイル=アスカリオンは、帝国の聖印騎士団本部へと赴いた。
そこでは、帝国中から選ばれた契約者たちが集い、神獣の力をもって帝国の秩序を守る任務に就いていた。
「双竜の契約者、カイル=アスカリオン。神々の御名において、聖印騎士団への入団を認める」
騎士団長の宣言とともに、カイルは正式な騎士としての地位を得た。
リュミエールもまた、補佐官として騎士団に配属され、風鼠ゼフィリスと共にカイルの支援に回ることとなった。
神獣管理施設の異変
入団から数日後、帝都郊外にある神獣管理施設〈セラフィム・ヴォルト〉に異変が起きた。
そこは、契約されていない神獣たちが保護・研究されている帝国の重要施設だった。
「異端教団〈リベラ・ノミナ〉が、神獣の解放を目的に襲撃を仕掛けたとの報告です!」
騎士団本部が騒然とする中、カイルは即座に出動を志願した。
「俺が行く。神獣の“叫び”を、確かめたい」
騎士団の精鋭部隊と共に、カイルとリュミエールは〈セラフィム・ヴォルト〉へ向かった。
解放戦線との交戦
施設に到着すると、すでに戦闘は始まっていた。
黒衣の契約者たちが、封印された神獣の檻を破壊し、次々と解放していた。
「神獣は人のものではない! 彼らは、神々の意志を伝える者だ!」
異端教団の戦士が叫ぶ。
カイルは、白炎竜ヴァルセリウスを召喚し、戦線に突入した。
「神語詠唱・白炎の審判!」
炎が敵の神獣を包み、戦場を浄化する。
だが、その中で、カイルは一体の神獣の“声”を聞いた。
「我は、縛られし者。契約なきまま、力を奪われし者。
解放を……望むか、否か……」
それは、古代の水竜〈アクアリウス〉の声だった。
封印されていたその神獣は、カイルの問いに応えようとしていた。
「……俺は、答えを探している。神獣が人に仕えるとは、どういうことなのか。
その答えを、お前が持っているなら——俺に力を貸してくれ!」
その瞬間、アクアリウスが封印を破り、カイルの前に姿を現した。
「汝の問い、受け取った。契約は未だ成らずとも、共に歩もう」
カイルは、ヴァルセリウスとアクアリウスの力を合わせ、異端教団の戦士たちを退けた。
揺れる帝国の秩序
戦闘後、騎士団本部では議論が巻き起こっていた。
「神獣の声を聞く者」が、帝国の秩序を揺るがす可能性があると。
「カイル=アスカリオンは、神獣と対話した。
それは、神選者ネオ=ノアと同じ力を持つ者だ」
帝国上層部は、彼を“危険な契約者”として監視対象に置くことを決定する。
だが、カイルは迷わなかった。
「俺は、神獣の声を聞く。
それが、帝国の秩序を揺るがすなら——その秩序こそ、問い直すべきだ」
彼の旅は、神々の黙示録の核心へと、さらに深く踏み込んでいく。