問いの継承と未来の契約者たち
神域〈アストラ・ノヴァ〉での審判を経て、カイル=アスカリオンは「契約者」ではなく、「共問者」として新たな立場を得た。
彼は、神獣と人間が互いに問い合い、共に歩む未来を信じて旅を続けていた。
帝国と異端教団〈リベラ・ノミナ〉の対立は終息し、世界は静かに再構築の時を迎えていた。
神獣学院の再生
帝都〈ルミナ・グラディア〉では、かつての神獣学院が「共問学院」として再建されていた。
そこでは、神獣と人間が対等に学び合い、契約ではなく共鳴と対話を重視する教育が行われていた。
リュミエールは、学院の初代導師として、若き契約者たちを導いていた。
彼女の隣には、今も風鼠ゼフィリスが寄り添っている。
「問いを持つことを恐れないで。
神獣は、あなたの問いに応えてくれるわ」
新たな旅立ち
一方、カイルは旅を続けていた。
彼の目的は、世界各地に残る古代神獣の痕跡を辿り、
まだ言葉を持たぬ神獣たちの声を“記録”することだった。
彼の背には、三竜の力が宿る剣——**共問の剣〈アスクレイヴ〉**がある。
それは、問いを切り裂く剣ではなく、問いを繋ぐ剣。
ある日、彼は辺境の村で、一人の少年と出会う。
その少年は、かつてのカイルのように、神獣との契約を夢見ていた。
「ねえ、神獣って、どうすれば言葉を交わせるの?」
カイルは微笑み、答える。
「まずは、問いを持つことだ。
“なぜ”と“どうして”を忘れなければ、神獣はきっと応えてくれる」
少年の瞳が輝いた。
神々の黙示録、その先へ
空には、白炎、黒雷、そして虚無の気配が静かに漂っていた。
三竜は、今もカイルの問いに耳を傾けている。
「問いは終わらない。
答えは、常にその先にある」
神々の黙示録は、終わりではなかった。
それは、問いを継ぐ者たちの物語の始まりだった。
そして、世界は今日もまた、問いと共に歩み続ける。