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第1楽章 展開部 その2
月が上りきった頃、チェーザレの病室に一人の枢機卿が現れた。
チェーザレがピサの大学に通っていた時の恩師だった。
「チェーザレ、具合いはどうかね」
「決して良いとは言えません」
「わたしはある方の伝言を君に伝えるために訪ねているんだ」
チェーザレの耳元で囁いた。チェーザレは静かに頷くと枢機卿は病室を後にした。
月が傾きはじめた。
一司祭がチェーザレの病室にやってきた。
「チェーザレ殿、条件は」
「わたくしの教会軍司令官、教会の旗手の地位の保証」
「それだけかね」
「わたくしが回復するまでの身の安全」
「わたしの名誉にかけて承知した」
二人は文書に署名した。
一人はチェーザレ・ボルジア、いま一人はラファエロ・リアーリオ枢機卿。
チェーザレを残しリアーリオ枢機卿は病室を後にした。




