のんべぇに話し合いは通じない☆
私の周りにのんべぇが多い事から思いついた話しです。
しかも無駄にお酒に強い…
彼ら程では無いですが(笑)
「今日も一日お疲れ様、かんぱーい」
「かんぱーい」
チン、とグラスの軽快な音をたててぐびぐびとお酒を飲み出す“学生達”と比成。その学生達とは、憂麻、至軟、麻矢、琉峡である。憂麻と麻矢は財閥の息子達という事から公の場では無いが、付き合いで飲む事が度々あった為、多少の耐性が出来ている。至軟と琉峡も親が親なだけに幼い頃から飲むことが多々あったのだ。という事でいっちょまえにお酒と夕飯の時間。
ちなみに一番強いのは麻矢だったりする。
でもさ、だからって……
「ウォッカのストレートは無いだろ!!」
思わずでかい声を出してしまう比成である。そんな比成に対しても涼しい顔。いっそすがすがしい。これからの対策を練る為に彼らの豪邸に来た訳だが。
まぁお酒でも飲みましょうよにも驚いたが、麻矢の飲みっぷりには最早感服だ。
「気にしないで下さい。麻矢が酒に強いのはのは昔からなので」
「とか言いながら、憂麻……お前もあり得ないぞ、芋焼酎の水割りって何だ」
完全にオヤジじゃないか。
『とじゅ』とラベルに書かれた芋焼酎を片手に、至軟の作った夕飯をあぐあぐしながらまんべんの笑みを浮かべている。
だけど確かに至軟の夕飯は極上だ。
今日のメニューはひじきの鶏つくね、わかめとイカの酢の物、かつおのたたき、ツナサラダ。流石お年頃。このメニューの多さときたら。ふぅ、とため息をついて今日あった事を振り返る。
一日目から三日目は文化祭を堪能してくれ。勝負は四日目からだ。それでも細心の注意を払って行動する事。
オレにそう言われた通り文化祭を楽しむ事にしたようだ。
午前はそれぞれ好きに行動し、午後はホストクラブでおもてなし。亜美と甘音の睨んだ通り、女装メンバーをリードしながらのチームでの接客は大成功。利益は一日目にして五十万円に達した。
ただし効率が異常に悪い為、比等学園にSOSを頼むらしい。だったらチームでの接客は止めれば良いだろうと言ったら却下された。それでは今年の醍醐味が無くなると長ったらしく説明してくれた。彼女達にも感服だ。
にしても。
「麻矢、次は葡萄酒か…………?」
すげぇこいつ。オレも飲んだけど(流石に水割り)、それだって2杯位。ほぼ一人で空けちゃったよ……。
でももっと凄いのは、こんなに飲んでるのに頬が少し赤くなっている程度。何かもう常識外れだ。
「美味しいですよ」
にこーっと微笑む常識外れ君。
ほぼ酔っていないと思っていたけど、そうでもないようだ。
普段むっつりしている麻矢がにっこりである。実に似合わない。
「理事長、失礼です」
「はいすみません」
どうやらアルコールが入ると勘の良さがグレードアップするみたいだ、恐ろしい、気をつけよう。
内心そう誓っていると、知ってか知らずか類香がこっそりと携帯の画面を見せてきて。
『麻矢はアルコールが入ると勘所かほぼ心を読むに近くなるので気をつけて下さい』
そこにはこんな事が……。
うん、忠告は嬉しいけど二人して人の心を読まないで欲しいな……。若干青くなる比成。
お疲れな事だ。
「あぁうめぇ。それでどうするんだ?」
「えっと、とりあえず――はっ?!」
至軟……お前もか!!
「何でお前らはそうのんべぇなんだよ」
「え、美味いよこれ」
「……そうじゃねぇ」
何て突っ込み所満載なんだ。
呆れたを通り越して関心するわ、まじで。
「氷結かよ」
「やっぱりグレープ!!」
お前ら飲みすぎだ……。
これではいつ本題に入れば良いのか分からない。
「ほら、比成も飲んで」
「はいはい」
分かった。無駄だと分かった。
よし、話し合いは明日に回そう。
こうなったら負けてらんない。
「飲み比べだっ!」
「乗った」
既に相当な量を飲んでいる麻矢が直ぐに名乗り出る。
そして憂麻も琉峡も乗るけれど。
「オレは良いや」
何故か至軟がパス宣言。
そこまで酔ってる感じしないけど。
「領がそれ以上飲んだら相手にしてあげないって言うんだもん。オレは酒より何より領優先だから」
ごちそうさまー
律儀に手を合わせて領の分もついでにお皿を下げる。洗い物もしてから、領可をぎゅうーと抱きしめながらクスリと笑って耳元で呟いた。
「さてと。じゃ、きっちり相手してもらうからな」
おーおー酔っ払いの相手は大変だなおい。
「やっぱりオレも遠慮しとく。類が寝た」
麻矢の膝枕でくーくーと気持ちそうに寝ている類香の頬を、愛しそうに愛撫して姫抱き。それじゃあ。
そう言う麻矢は既に酔いがさめたようで、足取りはしっかりしている。
「相変わらずの純情カップルだな」
「いつもの事だよ」
マッコリをあおりながら何でもない様に琉峡が返事をする。
おいし~!
そして極上の姫スマイル。
ハグする憂麻。キスする琉峡。
押し倒す憂麻。足を絡める琉峡。よしもういい今日はやめだ。
手早く皿類を片付けてリビングを後にする。
純白の生地に金色の刺繍が入った絨毯を、さっさと歩いて借りる事になっている部屋に向かった。
家と言うより豪邸。住んでるのは見た目はみんな綺麗で、中身はオヤジ率高いのが半数以上。
学園の生徒の憧れである彼らの意外な一面が見れた気がして、何だか距離が縮まったと思った。
――さぁ、歯を磨いてオレも寝るか。
良質な酒と適度な疲れで良い眠りにつけそうだ。




